第16話 夢。
ワインを飲んでから久しぶりに踊ったので、足元がふわふわする。
レースの手袋は外せなかったが、フェリはそれでもいいと言ってくれた。いい子だなあ。
マノンに手を引かれてジルがお休みのキスをしに来てくれた。おやすみ、いい夢をね。私のプレゼントのウサギのぬいぐるみを抱っこして、部屋に下がった。
フェリも頑張っていたが、さすがに眠そうだったので、部屋まで送っていく。
大人の皆さんはまだまだ続きそうだ。珍しく執事さんも飲んでいる。お酒は強いらしい。
「みんな、ありがとう。おやすみなさい。」
ちゃんと気遣いも出来る8歳児。偉いなあ。
フェリの部屋で、布団に入ったフェリの横に潜り込んで少し寝る。
夜半に、夢を見た。意外なほどリアルな夢。
そっとドアが開いて、廊下の明かりが部屋に入り込む。
「フェリ?」
すっかり大きくなったフェリが、そこに立っていた。
銀髪に、綺麗な緑色の瞳。いつかの格子のベストに緑のタイ。黒のスーツ。
「どうしたの?フェリ?眠れないの?」
「お前…。」
「うん。思った通り、いい男に育ったわね。迎えに来てくれたの?うふふっ。」
「・・・・・」
ああ、いい夢だなあ、と、夢の中で思う。でもまた寝そう。
「お休みのキスを忘れたのね?おやすみ。良い夢をね。」
フェリの緑色のタイを引っ張って、頬にキスをする。
朝、目が覚めたら、フェリは8歳児に戻っていた。隣で普通に眠っている。
いい夢だったなあ。我ながら呆れて笑ってしまう。フェリの髪をそっと撫でた。




