第1話
我の名は、魔王。
魔界の神によって生み出された、存在である。
魔界の神から、地上の世界を手に入れて来いと言われるまま、遙々と1000年という年月を掛けながら、地上へとやって来たのである。
何しろ、1000年という年月の間、我は、この世に生を受けてから、ひたすらに≪伝説のスコップ≫で掘り続けたのだ。因みに伝説のスコップというのは、この世界に生を受けた時、全知全能なる神から授かり、どんな土でも掘れてしまうという、魔界限定のアイテムなのだよ。
そんな訳で我は、地上の世界で第一地上人(?)が黙々と何か作業をしている中、魔王として名を売るため、こう叫んだのである。
「我の名は魔王!!!!!!!!!!!この…」
「うっさいわ!」
地上人は、魔王だと名乗った我に向かって持っていた、何の変哲の無さそうな鍬で、スパパっと千切りにしてしまい、我は呆気なく死を迎えてしまったのだった。
「ったく…人が転生してすぐ畑作業をしている中、いきなり魔王だとデカデカと名乗るバカがいるかねぇ…」
さすがは、剣と魔法の世界あるあるだな…と、魔王を呆気なく倒してしまった、地上人は、ぼやいたのであった。
「いきなり魔王だと名乗るバカがいるとは思わなかったぞ。とりあえず、大金貨1000枚支払おう。我が息子、魔王を生き返らせてくれ」
「はいはい。暫しお待ちを…」
魔界へとクール便で、千切りにされた状態の死人として速達で送られて来た、魔王の保護者である魔界の神は、魔界の神殿に派遣されてから、代々と魔界に仕えている、蘇生魔法の秘術を持つ人間の神官に頼みながら、蘇生を行うことにしたのである。
アレコレソレドレと気にしないで下さい。