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堕落モード


 と言う事で、レヴと協力して皆で神殺しをする事になった。

 まるで、アリスエデンの神殺しの世界のようだ。レヴにとっては千年ぶり2度目の神殺しである。

 そこで疑問に思ったんだけど、レヴって一体何歳なんだろう。女性に年齢を聞くのはマナー違反だとよく聞くけど、気になる。

 王様やらに挨拶をしたらすぐに帰ると言っていたので、聞くチャンスは少ない。別れ際にでも聞いてみようか。


 さて。私にとって、このデサリットはなんていうか……休憩場所として文句のつけようがない。先日は魔族達と連続して戦いに戦い、しかも死にかけたので超絶的に疲れている。なので、しばらくは休憩する。誰が何と言おうが、私は休む。


 次の日、私は再び堕落モードへと突入した。


「──だからネルル、私は今日ここから一歩も動かない。お世話して」

「えー……」


 自室のベッドの上に座り込んだ私は、私の専属メイド。ネルルちゃんに向かってそう言い放った。

 そんな事を言われてもと、ネルルちゃんは困っている。困っているメイドさんって、けっこういいな。美味しそう。


 そういえば、この食欲は消えないな。邪神が聖女の力によって抑えられていても、所詮身体は邪神。生物を食べ物として見てしまうのは変えられないらしい。


 ちなみに今の私のステータスはこんな感じになっている。


 名前:アリス  種族:邪神

 Lv :3124  状態:普通

 HP:61991  MP:32511


 『アリス』習得スキル一覧

 ・聖女

 ・亜空間操作

 ・スキルイーター

 ・アナライズ

 ・自動回復

 ・菌可視化

 ・土壌再生

 ・土内移動

 ・言語理解:人族

 ・言語理解:竜族

 ・言語理解:魔族

 ・邪神Lv4

 ・怪力LV3

 ・遠目Lv2

 ・俊足Lv2

 ・透視Lv1

 ・隠密行動Lv1

 ・気配遮断Lv1

 ・暗闇耐性Lv3

 ・自然環境耐性:熱Lv1

 ・自然環境耐性:水Lv1

 ・聴覚強化Lv4

 ・嗅覚強化Lv4

 ・感覚強化Lv4

 ・即死耐性


 レベル自体は、ほぼ負け続きだったからかバニシュさんやレヴと戦う前から変わっていない。スキル関連は少しレベルがあがっていて、あとスキルに聖女が増えている。『???』は消えて、ね。

 聖女の効果は、闇属性に強い耐性を得ると言う物。これにより、私はレヴの闇魔法ですら効かない身体になってしまった。闇以外は普通に効くけどね。あと、光属性の魔法にもボーナスを得る事が出来るらしい。まぁ光属性の魔法を覚えていない私にとって、現状関係ない部分だ。

 魔法の方は、新しく覚えた魔法はなく変化がない。私の戦闘って、スキルイーターに頼った触手で食べる戦法が主だから、魔法の経験値を貯めるのって意識しないと難しいんだよね。格上相手だと本当に魔法を使う余裕すらないから、せっかくの魔法の経験値を貯めるチャンスを逃しやすい。


「はぁー……」

「え、えっと、お疲れ様ですアリス様。大変だったんですよね。私に出来る事なら、なんでもしますよ。全力で、頑張りますっ」


 私が深くため息を吐くと、ネルルちゃんが意を決したようにそう言ってくれた。

 なんでも、かぁ。ダメだよそう言う事言ったら、なんでも言う事を聞くと言ってしまい、国民の命を差し出すように要求された人だっているんだからね。でもネルルちゃんの場合、そのうら若き身体を要求されてもおかしくない。

 て、私は女だ。リーリアちゃんに告白され、カトレアにはどこか歪んだ愛を注がれているので、ちょっと感覚が狂っている気がする。そんな要求はしないので安心してほしい。

 けど、ちょっとだけなら……。


「……なら、お願いがある」

「はい。へ、あ……」


 私は触手をネルルちゃんに向かって伸ばすと、その身体を絡めとって引き寄せた。そして彼女を隣に座らせる。

 一瞬驚いたネルルちゃんだけど、抵抗はしない。おとなしくされるがままで、それがまたちょろくて不安になる。

 というか、顔を赤くして身体をもじもじとさせるその姿は、まるで何かを期待しているかのように見えてしまう。いや、気のせいだ。断じて気のせいに決まっている。こんなに若く可愛いメイドさんが、そんな事を考えている訳がない。

 私は邪な考えを振り払うと、身体を傾けてネルルちゃんの膝の上へと自らの頭を乗せた。


「あ、アリス様!?」

「……メイドさんの、膝枕。ちょっと憧れてた。から、お願い」

「……はい」


 ネルルちゃんはこんなお願いを呆れる事もなく受け入れ、そして私の頭の上に手を乗せてくれた。


「少しだけ、ビックリしました。姿は大人っぽくなったのに、アリス様なんだか前より子供っぽいです」

「そう?」

「はい」


 自分では分からないけど、ネルルちゃんがそう言うならそうなのだろうか。

 いやそれにしても、メイドさんの膝枕って破壊力が凄まじいな。ヤバイよ、コレ。なんていうか……全てを包み込んでくれる安らぎの地にいるみたいな感じ。頭を撫でてくれるその手から、謎エネルギーを注入されてどんどん疲れが癒えていく。

 外側に顔を向けていたけど、今度はネルルちゃん側に寝返りを打ってみる。この体勢だと、顔面にネルルちゃんの熱や体温をもろに浴びる事ができる。そして良い匂いがする。


「あ、アリス様。さすがにこちらに顔を向けられると、ちょっと恥ずかしいと言うか……息がくすぐったいです」


 視線をあげると、超ローアングルでネルルちゃんの赤く染まった顔を拝める事が出来た。

 まぁ確かに、この体勢はアウト気味のセーフな気がする。もっと匂いに包まれていたかったけど、仕方がない。という訳で体勢を変えた。


「あ、アリス様!?」


 膝の上で、太ももとに顔を押し付けるうつ伏せの体勢を取ってみた。顔に、ネルルちゃんの太ももを感じる。しかもこちらの方がよりよく匂いを嗅ぐことが出来て合理的だと気づいた。


「あああああの、コレは膝枕と言えるのでしょうか!?」

「私はうつ伏せ寝も好きだから」

「か、かと言って私の膝の上でそれは……!あ」

「問題ない。ネルルの膝は、気持ちいい。いい匂いもする。できれば服を脱いだ状態で枕を堪能したくなった。スカートをめくって、生の太ももで膝枕をしてもらいたい」

「……」


 返事がない。コレはもしかして、いいよと言う事なのだろうか。

 と期待したところで、私の襟を何者かが掴み、引き上げて来た。


「……あんた、何してんの?」


 そこには、リーリアちゃんがいた。私を片手で持ち上げ、瞳孔の開いた目で睨みつけて来る。


「……軽い冗談」

「冗談にしては、随分と楽しそうだったじゃない」


 まぁ確かに、楽しかった。ネルルちゃんに甘えると言う行為は、私にとって安らぎの行為である。勿論リーリアちゃんに甘えるのも安らぎなんだけど、それとこれとは全くの別のジャンルである。


「ところで、何か用?」

「……アルメラが、会いたがってる」

「アルメラが……なら、仕方ない」


 ここから動かずネルルちゃんに甘えるつもりだったけど、アルメラちゃんが会いたがっていると言うなら動くしかないだろう。

 リーリアちゃんに離してもらった私は自分の足で立ち上がると、ネルルちゃんの頭を触手でナデナデする。先程の膝枕のお礼という訳じゃないけど、私の戯れに付き合ってくれた感謝を行動で示した形である。


「じゃあ、行ってくる。ありがとう、ネルル」

「は、はい、こちらこそ。いってらっしゃい、アリス様」


 部屋を出る際、ペコリと頭を下げてから、手を軽く振ってお見送りをしてくれた。

 私も触手で手を振り返して部屋を後にする。

 なんていうか……やっぱりメイドさんっていいわ。


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