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飛ぶナマコ


 地面を這いつくばっていたはずの私だけど、現在洞窟内を飛んでいる。移動速度は格段にあがり、この身体の弱点を克服することが出来た。

 まぁ本当に飛んでいる訳ではない。ナマコが飛んでたら気持ち悪すぎる。

 実はコレにはカラクリがあって、蜘蛛が吐いた糸を食べて覚えて魔法。『フィールン』が、糸を吐ける魔法だったんだ。この魔法は蜘蛛がそうしていたように、獲物に向かって飛ばして拘束する事もできそう。

 でも別の使い方があって、粘着性のある糸を飛ばす事ができるので先端を洞窟内の天井にくっつけ、糸の出所である私を糸に引っ張ってもらう事によって移動できるようになった。まるで飛んでいるかのようにね。

 ナマコの身体では不可能だった移動速度だ。もしかしたら私は、とんでもない能力を手に入れてしまったのかもしれない。


 あと、蜘蛛の身体を突き破って出て来た緑色の液体だけど、どうやらアレは蜘蛛が吐いていた毒霧の元だったらしい。アレを食べて覚えた『ガオウサム』という魔法が、毒霧だったからね。『フィールン』も、糸を食べて覚えた物だ。

 どうやらスキルイーターは、スキル以外にも食べた物も魔法として覚える事ができるみたい。


 おっと。調子にのって空を洞窟内を飛んでいたら、下方に強そうなモンスターを発見した。


 名前:── 種族:ヒルブロ

 Lv :112  状態:空腹

HP :4090 MP :0


 それは地面を這うように歩いている、大きめのトカゲだ。背中にトゲトゲがはえていて、刺さったら痛そう。状態が空腹とあり、グルグルと呻りながら周囲を警戒してエサを求めているようだ。

 見た目の割に、レベルは高くない。これなら勝てる。そう判断した私は天井から下がっていた糸を自分から切り離し、トカゲに向かってダイブした。

 すると、何故かトカゲに気づかれた。顔がこちらを向き、降ってくる私を完全に捉えた。大した音は出していないはずなんだけどな。この暗い洞窟内で生きていると言う事は、暗闇耐性のスキルは持っているのだろう。それ以外の何かの力によって、彼は私の存在に気づいたのだ。

 降ってくる私に対し、トカゲは私に背を向ける。どうやら私を背中のトゲトゲによって串刺しにするつもりのようだ。頭が良い。


 でも、残念でしたー。


 トゲは私の身体に確かに当たったけど、それが私の身体を貫通する事はない。私は棘と棘の間に入り込むと、その付け根に食いついて食事を開始した。


「ギギャアアアァァァァ!」


 痛かったのか、トカゲが叫んで暴れ始める。でも私の食事は止まらない。食べる。食べ続ける。皮を突き破り、肉を食らい、内臓も食べ尽くすまで止まらない。

 これも不味かったけど、カエルや蜘蛛よりはだいぶマシだったかな。気持ち悪くておえおえする程では……おおおえぇぇ。あるけど、だいぶマシ。骨になるまで不味くいただきました、と。


 私よりも格下だったのでさすがにレベルは上がらなかった。その代わり、スキル『嗅覚強化Lv1』を覚える事ができた。


 スキル『嗅覚強化Lv1』

 嗅覚が強化される。


 説明はそのまんまだった。トカゲが私の存在に気づいたのは、このスキルのおかげか。

 くんくん……。

 なるほど、何か色んな匂いを感じられるようになった。でもけっこう臭い匂いが多いからすぐに嗅ぐのをやめた。


 さて。この調子で色んなモンスターを狩って行こう。もとい。食べて行こう。


 その後も、コウモリ型のモンスターを食べて『聴覚強化Lv1』を手に入れ、私に似たミミズ型のモンスターを食べては『土壌再生』、『土内移動』。キノコ型のモンスターを食べて『菌可視化』の力を手に入れたりした。

 聴覚強化はともかくとして、土壌再生とか土内移動、菌可視化はあまり役にたたないかな。私は土の中で生きていく気はないし、ましてや農家じゃない。菌可視化は試してみたけど文字通りで、ちょっとグロかった。

 この3つは間違いなくネタ枠である。特に菌可視化は全くよく分からない。キノコだから、仲間の菌が見えるって事なのかな。いらね。


 で、戦いながら気づいたんだけどどうやら『物理攻撃耐性』の力は、別に攻撃を無効化している訳ではないようだ。相手の攻撃を極端にカットしてくれてはいるみたいなんだけど、それに加えてカエルから奪った『自動回復』のスキルが、すぐにHPを回復させてダメージを受けていないように見えるだけみたい。


 スキル『自動回復』

 体内に蓄えたエネルギーを元にして、減ったHPを自動的に回復させる。

 消費するエネルギーがない時やスリップ状態の時は無効。


 体内に蓄えたエネルギーとは、すなわち食べたモンスター達だ。今私の中には数百匹分のモンスターのエネルギーがある。食欲は無尽蔵に湧き上がってくるので、私はエネルギーとやらを貯めまくれると言う訳だ。

 つまり、食べて食べて食べまくっておけば、ダメージを受けても即回復。凄いでしょ。


 もはや敵なしである。

 私は目に付く敵に喧嘩を売りまくり、食べまくった。


 名前:──  種族:──

 Lv :569  状態:普通

 HP:8899  MP:1420


 『──』習得スキル一覧

 ・亜空間操作

 ・スキルイーター

 ・アナライズ

 ・自動回復

 ・菌可視化

 ・土壌再生

 ・土内移動

 ・言語理解:人族

 ・言語理解:竜族

 ・言語理解:魔族

 ・物理攻撃耐性Lv2

 ・攻撃魔法耐性Lv1

 ・弱体魔法耐性Lv1

 ・全状態異常耐性Lv2

 ・暗闇耐性Lv1

 ・自然環境耐性:熱Lv1

 ・自然環境耐性:水Lv1

 ・聴覚強化Lv1

 ・嗅覚強化Lv1


 『──』習得魔法一覧

 ・フィオガ

 ・ラグラス

 ・シャモール

 ・テラ

 ・グロム

 ・ネロ

 ・ガオウサム

 ・フィールン


 現在のステータスと、習得済みのスキルと魔法はこんな感じ。

 レベルがあがっても、魔法は全く覚えなくなった。スキルも食べずに自力では全く増えないし、レベルもあがらない。状態異常耐性は割とあっさりと上がったんだけどなぁ。もしかしたら何か条件があるのかもしれない。

 例えば、状態異常に陥って死を乗り越えるとか。或いは状態異常になるような物を口にする、とかね。その辺はただの予想だ。


 魔法に関しては、一つ思い浮かぶことがある。

 アリスエデンの神殺しの世界では、魔法を増やすにはレベルアップする事で覚えらられる初期魔法を使用して経験値をため、魔法のランクをあげる必要があった。

 例えば初期の火属性魔法の『フィオガ』を使いまくると、『フィオガバース』という火の上位魔法を使えるようになる。ここまで全然魔法を使ってきていないので、そろそろ戦闘にまじえてもいいかもしれない。レベルもあがってきたから、それなりの威力にはなるでしょ。


 じゃ、そう言う事で。次の戦闘からは1回1魔法。ここは地底だし、とりあえず土属性の『テラ』を中心に使って経験値をためていこうか。

 テラを選択したのは別に理由があって、アリスエデンの世界と同じなら土と氷と水の魔法を強化していくと、闇属性のつよーい魔法を覚えられるんだよね。

 あと、土の一番強い魔法がけっこう強いんだ。楽しみー。


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