牽制
名前:アリス 種族:邪神
Lv :2030 状態:普通
HP:39127 MP:21931
『アリス』習得スキル一覧
・???
・亜空間操作
・スキルイーター
・アナライズ
・自動回復
・菌可視化
・土壌再生
・土内移動
・言語理解:人族
・言語理解:竜族
・言語理解:魔族
・邪神Lv2
・怪力LV1
・遠目Lv1
・隠密行動Lv1
・気配遮断Lv1
・暗闇耐性Lv2
・自然環境耐性:熱Lv1
・自然環境耐性:水Lv1
・聴覚強化Lv3
・嗅覚強化Lv2
・感覚強化Lv3
・即死耐性
『アリス』習得魔法一覧
・フィオガ
・ラグラス
・ラグジクス
・ラグネルフ
・シャモール
・テラ
・テラブロー
・テラブラッシュ
・テラガルド
・テラルード
・テラクェール
・グロム
・ネロ
・ネロレック
・ネロエグザム
・ガオウサム
・フィールン
・風刃
・ハスタリク
・エンドスカーム
・消滅魔法
現在の私のステータスはこんな感じで、洞窟を出た時よりは格段に強くなっている。あの化け物ぞろいの洞窟ですら、もう今の私に敵う者はいないんじゃないかな。
例外として、偉そうなおじさんと白い化け物がいるんだけど……彼らのレベルって一体いくつなんだろう。アナライズで彼らのステータスを覗けなかった事が気がかりで、彼らに勝てるレベルの目安が分からない。
名前:リーリア・シルフィーネ 種族:リンク族
Lv :578 状態:普通
HP:6810 MP:6468
『リーリア・シルフィーネ』習得スキル一覧
・言語理解:竜族
・斬撃強化Lv3
・感覚強化Lv1
・気配遮断Lv4
・隠密行動Lv4
・病気耐性Lv2
・麻痺耐性Lv1
・威圧耐性Lv3
・毒耐性Lv1
一方でリーリアちゃんもレベルが上がり、こんな感じになっている。スキルのレベルがそれぞれちょっと上がっていて、毒耐性も増えているね。毒霧をくらって回復したからかな。
こちらも、洞窟内で例えると中堅くらいの強さではないだろうか。中々良い感じ。この子、私が育てました。
使者のおじさん──名前をウルスっていうんだけど、ウルスさんの話によると魔族が人の領域に攻め入ると言う事は、人族全てに喧嘩を売る事になるので通常はあり得ない事らしい。それこそ、大きな戦いにまで発展してしまうので魔族も人間も、正面切っては普通は闘わない。それが何故か突然、今回アスラ神仰国に攻めて来た。周辺国に喧嘩売りまくりで、戦力の大半を私に殺されたアスラ神仰国に、突然の魔族の侵攻に対応する力はもう残っていない。そこで各方面に援軍のお願いをしに、ウルスさんのように援軍の使者が送られたらしい。人間全体の存亡にかかわる事なので、人族の中には応じてくれそうな国もあるみたい。ただ、応じてくれそうな国はとても遠い。すぐに援軍が欲しいのに、間に合わない可能性が高い。
更に情報として、こんな面白い話を聞かせてもらった。
魔族には、魔王と言う強大な力を持つ人がいて、それがけっこうヤバイらしい。もしかしてだけど、その魔王ってあの偉そうなおじさんなんじゃないだろうか。偉そうだったし、凄く強いし凄くあり得てしまう。
そしてそんな魔王に対応するため、勇者なる存在がいるらしい。勇者は勇者の加護を授かった存在で、魔王に対して絶対的優位に戦える潜在能力を有しているのだとか。アレが?あの程度の強さのが?笑っちゃうよね。
ちなみにその勇者だけど、先日私が重傷を負わせました。生きているかどうかもわかりません。でもその事は黙っておいた。リーリアちゃんも、笑うだけで余計な事は言わないでくれた。
さて。一気にゲームじみてきた。なんだよ、魔王って。なんだよ、勇者って。勇者を見た時から、なんとなく魔王もいるような気がしてたけど本当にいたんだね。
そんなこんなで、目的地へと到着した。所要時間は五日間。長いようで短く、でも中々に楽しい旅路だった。
途中で盗賊に襲われたりもしたんだけど、私とリーリアちゃんの敵ではない。倒してすぐに出発となり、私達の力をウルスさんに証明する形となった。
ギギルス国──今はアスラ神仰国と名乗るその国、その中心の町は、デサリットよりも守りが薄そう。町を囲う壁は低く、防御への意識が足りないように見える。その代わり、壁の中の町は全てが石造りの建物で構成されていて、盾としても使えるようになっているようだ。大勢の赤い鎧を身にまとった兵士が家々に配備されていて、壁と家の二重の防御網が出来上がっている。
町の風景としては、こちらの方がキレイかもしれない。白い石造りの家々。その中に一際大きな白い石のお城がそびえたち、そのお城はまるで美術館のような静かな佇まいで、美しい。ま、その辺は好みが別れるところだ。
ちなみに町の規模はデサリットとは比べ物にならい物となっている。勿論こちらの方がデカい。さすが、圧倒的な兵力をもってしてデサリットに攻め込んで来ただけの事はあるって感じ。
「ああ、よかった……!まだ無事だったんだな!」
町の様子を見て、喜ぶウルスさん。だけど無事というにはあまりにも絶望的だ。
町は、その全周囲を異形の化け物によって囲まれている。周囲だけではない。後方には別の軍勢が待機しており、その団体が複数確認できる。
魔族の中には、骸骨やら大きな体躯の牛頭の化け物。背に羽根のはえた、鳥頭の化け物もいる。人型も混じってはいるけど、角が生えたり尻尾がついていたりと、やはり人とは違う。
デカイ骸骨やら、おじさんは見た事あるけど、やはりリンク族や人間とは根本的に何かが違う。恐ろしい。でも美味しそう。特に、牛頭のやつ。どんな味がするのだろうか。
一方で、神様関連の人のせいで異臭がする。こんなに強烈な臭いは初めて。恐らくあそこに、大勢の神様関連の人がいるせいだろう。さっさと全部食べて臭いを消したい衝動にかられる。
そのためにはまず、あの魔族の大軍をなんとかしなければいけない。約束通り彼らを退ければ、はれて私はこの臭いの元をたつ権利を得る事が出来るから。
「……アレが、魔族」
魔族を見て、リーリアちゃんが呟いた。思えば、リーリアちゃんは魔族を見た事がないはずだ。私もほぼ初見なのでちょっとビビってるんだけど、リーリアちゃんはビビっている様子を見せたりはしない。むしろ笑い、これから始まろうとしている戦いに興奮しているようにすら見える。
一方で私はというと、やっぱり不安だ。だって、どうしても洞窟で遭遇した偉そうなおじさんが頭に浮かんでしまうから。別に彼に恋している訳ではない。もしアレが魔王だったりした暁には、私は彼に喧嘩を売る事になってしまう訳で不安にならずにはいられない。
「どうする、アリス様。まだ攻撃は始まっていないようだが、あの様子だといつおっぱじめてもおかしくないぞ」
「とりあえずは、もう少し近づいて私の魔法で牽制する。それで相手の反応を窺う」
「ま、魔法で……?」
町の作戦としては、籠城戦だろう。町の外に出ている赤い人はいない。なら、割と自由に行動する事が出来る。
ウルスさんに頷いてこたえると、馬車がゆっくりと移動しだした。さすがにウルスさんも、あの魔族の数ににビビっているようだ。この町へ向かう時に見せたテンションはどこかに置き忘れ、緊張感をもって慎重に町へと近づいて行く。
「──テラブラッシュ」
やがて、私の魔法の射程圏内にはいった。その瞬間、私は手をあげて魔力を解放。魔族の軍勢の地面が隆起し始めた。