やさしいカン違いとウォッシュらんど
1.お店にくるお客さん
ここは、私の大切なお店。
汚れたものをキレイにするの。
こうやって棒を使って、
やさしく、やさしく。
トントン、トントン。
あなたの大切なものが、
いつまでも使えるように。
みんなのステキな笑顔が、
いつまでもみられるように。
でも、最近、
お店に不思議なお客さんがくるの。
小さな小さなお客さん。
フラッとお店にきて、
汚れたものをだすわけでもなく、
私にお話をしてくれるの。
どうしたのかな。
もしかして、寂しいのかしら。
2.お店にいるおばあちゃん
ぼくは、
最近、あるお店に行っているんだ。
汚れたものをキレイにするお店。
大きな棒を使って、
やさしく、やさしく。
トントン、トントン。
このお店にきたら、
お父さんの大切な服がピカピカになった。
このお店にきたら、
みんなの大切な布団がフワフワになった。
でも、このお店には、
おばあちゃんがいつもひとり。
いつきても、ひとりきり。
ひとりで、トントン。
やさしく、トントン。
もしかして、寂しいんじゃないかなぁ。
そうだ!
ぼくが、もっといっぱい一緒にいてあげよう!
3.ひとりきりの小さなお客さん
フラッとお店にくる不思議で小さなお客さん。
汚れたものをだすわけでもなく、
お話をしてくれるの。
でも、いつもひとりきり。
お店にいても、楽しいこともないのに。
どうしたら、寂しくなくなるかしら。
私は、汚れたものを
キレイにするしかできないの。
棒を使って、やさしく、トントン。
そうだわ。
おとなりのおじいさんにきてもらおう。
とっても物知りで、賢いおじいさん。
色んなお話を聞けたら、
ひとりきりの小さなお客さんも、
きっと、寂しくない。
きっと、喜んでくれるわ。
4.ひとりきりのおばあちゃん
汚れたものをキレイにするおばあちゃん。
いつきても、ひとりきり。
ひとりで、トントン。
やさしく、トントン。
みんなを笑顔にするステキなおばあちゃん。
どうしたら、寂しくなくなるかなぁ。
ぼくの話はいっぱいしたけど、
ほかにも、できることないかなぁ。
そうだ!
ぼくの友だちも連れてこよう。
みんなといっぱい話をして、
おばあちゃんも一緒に遊べば、
きっと、寂しくないぞ!
よし!
さっそくやってみよう!
5.小さなお客さんと小さなお友達
ある日、
ひとりきりの小さなお客さんは
小さなお友だちと一緒にお店にやってきたの。
その日は、ちょうど
おとなりのおじいさんも、
お店にきてくれていたの。
とっても物知りで、賢いおじいさん。
お話上手のおじいさんのおかげか、
お客さんも、お友だちも、とっても楽しそう。
私は、うれしかったわ。
これで、小さなお客さんも寂しくないもの。
私の大切なお店で、
小さい人も、大きい人も、みんな笑っている。
私は、この時、汚れたものをキレイにするだけが、
みんなを笑顔にする方法じゃないんだなって、
気づけたの。
6.ステキなおばあちゃんとお話上手のおじいちゃん
ある日、
ひとりきりのおばあちゃんは、
お話上手のおじいちゃんと一緒にお店にいたんだ。
その日は、ちょうど
ぼくは、友だちをたくさん連れてお店にいったんだ。
とっても仲が良い、ぼくの自慢の友だち。
友だちのおかげか、
おばあちゃんも、おじいちゃんも、
とっても楽しそう。
ぼくは、うれしかった。
これで、おばあちゃんも寂しくないもんね。
いつも静かだったお店が、
にぎやかで、みんなが笑っている。
おばあちゃんだけじゃなく、
おじいちゃんも、友だちも、みんな笑顔だ。
『この笑顔が、もっと広がればいけばいいのに』
ぼくは、このとき、そう思ったんだ。
7.ウォッシュらんど
ここは、みんなの笑顔が集まる場所。
あるところでは、
みんなが汚れたものをトントン、
まるで、太鼓をたたくように楽しんでいます。
また、あるところでは、
みんなが泡だらけになりながら、
まるで、トランポリンのように
布団の上でジャンプしています。
ここには、
楽しいことがほかにもいっぱい。
ペダルをこぐと、ぬれたものが乾く
『みずきり自転車』
入るだけで、体も服もピカピカになる
『うずまきプール』
大きな人も、小さな人も、
大切なものをいつまでも使えるように。
大きな人も、小さな人も、
ステキな笑顔をいつまでもみられるように。
ここは、
みんなが、協力しながらつくりあげられた場所。
すべては、ふたりのカン違いがうみだした世界。
はじまりは、
寂しさに寄りそおうとした『やさしいカン違い』
ふんわり
ほんわか
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変わっていたら嬉しいな〜