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異世界還りのおっさんは終末世界で無双する【漫画版5巻6/25発売!!】  作者: 羽々音色
三章

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七十四話


あてもなく、ただゾンビ共を屠り夜の街を駆ける毎日だった。


織田さんたちのいた地域からさらに人口密集地帯へと足を向ければ、そこは地獄といってもいい有様だった。

道路には車がおそらくはパンデミックが起こった日のまま渋滞の状態で放置され、その間や歩道にはびっしりとゾンビがひしめき合っている。

何かしらで火の手が上がったが雨で消火されるまでそのままだったのだろう、焼け焦げたもはや廃墟と言って差し支え無い建物の残骸がそこかしこに見えた。


すでにパンデミック発生から2ヶ月ほど経つ計算だ。

この状況では、同じような都市部ではまず生存者はいないと考えてもいいだろう。

普通の人間がこの中を生身で移動するなど無理だろうし、また車で移動することも不可能だ。


俺は今、生存者を探したり、それを救おうなどと言う高尚な目的がある訳ではなかった。

それでも万が一生き残っている人がいたら結果としてそいつのためになるだろうと、目につくゾンビ共を片っ端から斬っていた。

それにこのゾンビ共が流れ流れて、織田さんたちのいる場所へたどり着かないとも限らない。


人口密集地帯を抜けると、ごくごく稀に、視線感知が反応するようになった。

生き残りや、おそらくはそのコミュニティがあったりするのだろう。


だが俺は、それに関わろうとはしなかった。

一言で言ってしまえば、面倒だったのだ。


別に、人との触れ合いを求めているわけではない。

それならば、織田さんに懇願してでもあの場にいることを望んだはずだ。


別に、人助けがしたいわけでもない。

それならば、力を隠すことなどせずそれをさらけ出せばいいだけだ。


また、そいつらが善人だと決まっているわけでもない。

もし悪人ならば、じゃあまた俺は俺の価値観でそいつらを殺し尽くすとでも言うのだろうか。


何より、またあんな目に合うのが嫌だったのかもしれない。

親しくなったと思った者に、突き放される虚しさ。

それが怖いからこそ、力を隠したと言うのに。

しかし力を隠したままでいるのだからこそ、そうなってもある意味仕方ない話だったりするのかもしれない。


ぼんやりと考え事をしながらゾンビを倒していると、気付けば周りはうっすらと明るくなっていた。

いつの間にか夜が明けていたらしい。


普段はマンションなどの上層階で仮の宿を取るのだが、日が差してしまっている中で移動するのも面倒だと、今いるアーケード街のシャッターの閉まった店舗へと、力任せに鍵を壊して侵入する。


元々は喫茶店か何かだったのだろう。

手前にはテーブルがいくつか置かれ、奥側はレジカウンターを挟んで厨房があった。

中には何体かゾンビの姿があったが綺麗に掃除し、隅の方に寄せた。


テーブルを移動し、親指に嵌めた指輪に魔力を込めアイテムボックスを開くと、バックパックを取り出してそれを床に置き枕代わりに寝転んだ。

ここで、また夜になるまで時間を潰すとしよう。


しかし、この状況で俺は何をするべきなのだろうか。

夜に移動し、日の出ている間はこうしている生活を続けていた俺がここ数日考えていたことだ。


異世界から日本へ帰還したと思えばこんなゾンビが闊歩する世界になっていて、最初俺はユキのメールを頼りにただ生存者を探しに家を出た。

その途中でカエデと出会い、彼女を助けた。

そして助けると決めたからにはある程度は生活出来るようにと避難所を求めたが、取り敢えずその目的は果たせたと言ってもいいはずだ。


自衛隊が健在なことも確認出来て、少なくともこの世界が滅んでいるということはないことがわかった。

もっとも、ゾンビ共はこうして道に溢れ、また死ねばゾンビになるという現象から、ゆっくりと滅びに向かっているのは間違い無いのだろうが。


このゾンビの存在や、俺の知らない死ねばゾンビになるという現象は一体何なのだろうか。

皆の話を聞く限り、まだ通信回線などが使えていた頃の情報では、このパンデミックは世界中で起こっていたという。

俺は異世界帰りのこの力を使ってこの原因や解決方法などを探そうかと思ったが、しかし世界に広がっているものをどう調べればいいものなのか。

やはりまずは自衛隊でも探して国に力を貸す形で協力する他ないのだろうか。


そうなると結局この力を見せることになる。


異世界での仲間、勇者リンドウならそんなことなど考えず皆を助ける為と力を存分に振るったことだろう。

聖女イーリスもおそらく同様だろう、あいつの慈愛の心は全ての他者、それこそ魔族にすらも向けられていた。

大賢者ロベリアならこの状況だけでも何か原因の類は分かるものなのだろうか。


目を瞑りながら、懐かしい仲間達を思い出す。

皆は無事なのだろうか。

異界の門から帰還した時のことを考えれば、すでに向こうでは五年以上の月日が経っているはずだ。

俺やロベリアの考えたように、戦争など起こっていなければいいんだが。


そんなことを考えながら、俺はゆっくりと眠りについた。




週末に一話ずつ更新することにしました!

金〜日か、土日か、日曜だけか、ストック具合によって不安定な感じでorz

ご不便かけますがお付き合いいただけると有難いです!

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