表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

一夜を共に……。

作者: 名木雪乃

皆さまは、霊感のある体質ですか?

私は全くない体質です。

このお話は、そういうテーマのお話です。

苦手な方は、お気をつけてお読みください。

 かつて会社員として、働いていた頃の話。


 東京へ一泊の出張だった。

 会社の方で某ビジネスホテルを予約してくれていたので、一緒に来ていた同僚Aさんとそこへ。


 ◆


 ホテルの部屋はツインで、窓側にテレビとソファがあった。

 よくあるシンプルな部屋だったと思う。


 私は壁側のベッドを使わせてもらって、疲れていたので早々にシャワーを浴びて、Aさんより先に寝た。



 そして真夜中。


 いつも一度寝ると、夜中に目覚めることは滅多にないのだが、その夜は目が覚めた。


 なぜか部屋の照明はすべて煌々(こうこう)とついていて、テレビもつけっぱなしで、画面は砂嵐。

 確か、記憶では砂嵐。

 Aさんはというと、ベッドで布団も掛けずにうつ伏せで倒れているような状態で寝ている。


 その時、ぷぅーっと彼女から音がした。


 ……。


 私は、呆気にとられた。


 まあ、そのままという訳にもいかないので、私はベッドから起き上がり、Aさんを起こすことなく彼女になんとか布団をかけた。

 そして砂嵐のテレビを消し、いくつかある照明を暗くしたり消したりすると、ベッドへ戻ってまた寝た。




 翌朝、目を覚ました同僚Aさんに、


「夜中、電気もテレビもつけっぱなしで寝てましたよ」


とさっそく伝えた。


 ぷーの件は、必要ないので伏せておいた。

 

 まあ、そうだよね。


 

 すると、彼女からとんでもない事実が告げられた。


「ごめん。だって、あのソファに女の人座ってて、怖かったから、テレビも電気もつけたままにしておいたの!」

「……!?」


 私は絶句した。

 私はかつてそういうのを見たことは無かった。

 一時期、墓地の隣に住んでいたこともあったけど、それでも見たことは無かった。



「この部屋に入った時、なんか怪しい感じしたんだよね。わたし、霊感あるの」


 事も無げにそう言ってのけるAさん。


 聞いてないよ~。それなら、そうと言ってくれれば!


 いや、言われても困るというか、なんというか。

 よくよく考えたら、夜中に怖いからと言って、私を起こさずに凌いでくれたAさんに感謝すべきか。



 そう、Aさんも私も、その女の人の霊と一夜を共に過ごしてしまったのだった。


 後にも先にもそれっきり、そういう経験は今のところ無い。

 ほぼ実話です。

 因みに、その某ホテルはすでに取り壊されていて、今はありませんのでご安心下さい。


 最後になりましたが、家紋武範さま、このような素敵な企画に参加させていただきまして、どうもありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 私は全く見えない人ですが、ホラー大好きな怖がりなので、とても面白かったです。 ぷぅーのくだりは微笑ましくて笑ってしまいました。 ……が、よくよく考えてみると、布団をかけずにうつ伏せ寝って…
[一言]  あとから言われて「そのとき言ってよ!」  そのとき言われて「黙っててくれれば!」  どっちも、文句が来そうですね(汗)
[良い点] よ、読んでしまいました。 短いので、読めてしまいました。 短いのに、詳しく伝わっちゃいました。 ちゃんと前書きがあるのに、タイトルに刺激されて、 本文から読んでしまいました。 怖かったです…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ