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外伝Ⅳ 北の魔物③

☆★☆★ 本日コミカライズが更新 ☆★☆★

ニコニコ漫画でコミカライズ最新話が掲載されました。

是非読んで下さいね。


挿絵(By みてみん)

 ポーン……。スキルポイントを獲得しました。

 ポーン……。スキルポイントを獲得しました。

 ポーン……。スキルポイントを獲得しました。


 魔物どもを殲滅する度に、頭に響く鐘の音と「スキルポイントを獲得しました」という福音の声が聞こえる。


 まるで頭の中で金貨が貯まっているかのようだ。

 戦闘の最中だというのに、どうしても口端が緩む。

 後で魔法窓を開いて、貯まったスキルポイントを獲得するのが楽しみだ。


 俺は山を縦横無尽に走り回っていた。

 指定された受け持ちはない。

 とにかく教官殿に言い渡されたのは、好きにしていいとのことだ。


 鎖から解き放たれた俺は、魔物の巣窟となり、半ばダンジョン化した山を走り回り続ける。

 他の者には目もくれず、とにかく目の端に止まった魔物を片っ端から潰していく。

 強さとしてはまあまあだが、この際は文句は言わない。

 今の状態から考えると、強者と戦うよりは、【魔導士(ウィザード)】の戦闘になれるための経験を積めるチャンスがほしい。


 つまり、質よりも数なのだよ、数。


【大地鎚】


 俺は手を掲げると、巨大な岩が魔物たちの頭上に現れた。

 そのまま地面にいる魔物たちを押しつぶす。


 ポーン……。スキルポイントを獲得しました。

 ポーン……。スキルポイントを獲得しました。

 ポーン……。スキルポイントを獲得しました。


「やばい……。癖になりそうだな」


 また口端が吊り上がる。

 気が付いた時には、魔物の気配がなくなっていた。

 この辺りは大方刈り尽くしてしまったらしい。


「ならば場所を変えるか」


 こういう時【探索者(シーカー)】の【気配探知】があれば簡単なんだがな。

 【探索者(シーカー)】の中でも、あの職業魔法はとにかく優秀だった。

 1番の利点は、【探索者(シーカー)】になれば、高確率で初期魔法として装備されていることだろう。


 あの力を使って、魔物を狩りまくったものだ。


 だが、【魔導士(ウィザード)】とてただ攻撃力に秀でた職業魔法ではない。

 俺はしばらく留まっていると、空から何かが落ちてきた。

 ポテン、と音を立てて、俺の手の平に乗ったのは、光の玉だ。

 目も口もなく、当然言葉も話さない。

 ただユラユラと揺れている。


 これは光の精霊だ。

 俺は【精霊召喚】を使って、あらかじめ光の精霊を放って、周囲の状況をつぶさに光の精霊に監視させていた。


 【精霊召喚】自体、さほどスキルポイントはいらない。

 ただ強い精霊と契約すると、かなりのスキルポイントを持っていかれる。

 光の精霊でも「格」によっては、今持っているスキルポイントを全部つぎ込んでも契約できないものもいるが、これぐらいの小さな精霊なら初期魔法を覚える程度で契約をすることができる。


 しかも、大量にだ。


 山の四方八方に放った光の精霊が戻ってくる。

 ユラユラと揺れているだけだが、その動きによって危険度を表すように俺は教育していた。

 その中で、かなり震えて、光が青くなっている精霊がいる。

 どうやら、大物に出会ったようだ。


「どこだ?」


 質問すると、ちょうど山頂付近の方を指差す。

 あそこには他の訓練兵もいるはずだ。

 無事だといいがな。


 ……やれやれ。仕方がない。


 同じ釜の飯を食った仲だ。

 袖触れ合うも多生の縁という言葉を、いつの時代だったか聞いたことがある。


 俺は風の魔法を起こし、それに乗って高く跳躍する。

 一気に山頂を越え、山を見下ろした。


「あれか……」


 わかる。

 わかるぞ。

 この濃い獣臭……。強者の気配だ。

 なるほど。確かに精霊が反応をするわけだな。


 ダンッ!


 降り立つ。

 そこにいたのは、震えて動けない訓練生。

 対するは、大きな棍棒を振りかざした大猿だった。


「君は!?」


 まずいち早く反応したのは、女の訓練生だ。

 確か俺と同じ【魔導士(ウィザード)】。それなりに優秀だったと覚えている。


 さすがにこいつらを守っては難しいな。


 俺は手の平をかざした。


「ちょ! 君!!」


「お前たちは邪魔だ!!」



 【突風】!



 風が巻き起こると、4人ほどいた訓練生は吹き飛んでいく。

 そのまま山頂から転がるように落下していった。

 少々乱暴だったか。

 まあ、それなりに鍛えているから大丈夫だろう。

 あの程度に死ぬようじゃ、戦地に行っても役に立たないだろうしな。


 さて――――俺は振り向いた。


 黄金の毛並み。

 赤黒く輝き、怒りに吊り上がった瞳。

 四肢は巨木の幹を思わせるが太く、特に胸筋が発達していた。

 その胸をボコボコと叩きながら、俺を威嚇する。


 こういうのもなんだが、俺を敵として認めてくれたらしい。


「ゴールドヘッド……。Bランクか」


 ゆっくりと口端が裂けていく。


 ここに来て、よもや最高の腕試しに出会えるとはな。

 少々今の身体には、無茶な相手かもしれないが、存分に今の力を試させてもらうぞ。


 俺はゆっくりと構えるのだった。


四月がもう終わりそう……!

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