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外伝 Ⅷ 勇者暴走⑥

☆★☆★ コミカライズ更新 コミック3巻 7月19日発売 ☆★☆★


ニコニコ漫画でコミカライズ更新されました。

無料で読めますので、是非よろしくお願いします。


またコミックス3巻、いよいよ今週発売です。

休み明け発売なので、よろしくお願いしますね。


挿絵(By みてみん)

 俺の目的は強くなることである。


 そのスタンスは初めて【戦士(ウォーリア)】として六大職業魔法の恩恵を授かってから変わらない。

 その度に、その時代における魔王を倒してきたが、別に英雄になりたかった空ではない。六大職業魔法を全取得し、自分が理想とする強さを手に入れるためだ。

 魔王を倒し、その度に人類を救ってきたのは、あくまで結果でしかない。


 【戦士(ウォーリア)】としての生を終えた後、俺の前に現れたのは、神と呼ばれる存在だった。


 神曰く、俺はどうやら人間よりも神に近い精神を持っているらしい。

 色々とよくわからないことばかり言われたが、俺が理想とする六大職業魔法の全取得について、手伝ってくれるそうだ。


 そこで俺は【転生】という稀有な魔法を得るに至った。

 次の世界あるい時代において、前世の記憶を引き継いだまま人生を始めることができる便利な魔法である。

 おかげで、俺は前世の知識を生かして、最短で強くなる方法を得た。


 そしてもう1つ神から授かったものである。


 それが度々口にしている英雄ポイントと言われるものだ。


 名前の通り、英雄的行為を行うと、スキルポイントを得られるというものである。難易度が上がれば上がるほど、大量のポイントがもらえるのだ。


 すでに俺は中級魔法の全てを納め、残るは上級の魔法とさらにそれを習得すると現れる超上級の魔法しか残されていない。はっきり言うが、Sランクの魔獣ならともかくとして、Aランク程度でももはや雀の涙、焼け石に水程度ぐらいの恩恵しか感じない。


 そこで大量のスキルポイントを狙うためには、英雄ポイントを狙うしかない。


 ハイクラスとはいえ、サキュバスの能力によって寝返った勇者を止める。

 戦力的に今魔族が優勢だろう。このまま勇者を放置していれば、もしかしたら、人類軍が全滅なんてこともあり得る。


 英雄ポイントが付与される条件は明確化されていないが、今人類軍が置かれている状況を覆すことができれば、ポイントが付与されるはずだ。


「俺を勇者の下へ案内しろ。この絶望的な戦況を覆すことができるのは、俺だけだ」


「貴様……、何を言って……!」


 初めてレナ副官は動揺を見せる。

 銃口を突きつけるが、俺にはそんな脅しは効かない。


「待て! レナ!! ラセルが言ったことは本当なのか?」


「違う! ゼナレスト様は裏切ったりしない!! 彼は、あの方は人類の希望……英雄なんだぞ!!」


 と、激昂する。


「そいつは無理があるだろ」


 反論したのは、デグナンだった。

 先程までレナ副官に詰め寄られていた新米隊士は、今度はその睨みを真っ向から受け止める。怒髪天を衝かんばかりに怒っている副官に対して、デグナンは非常に冷静だった。


「あんたたちは勇者様ご一行なんだろ。だったら、なんで勇者がいないんだ」


 デグナンの指摘にレンも同調する。


「それに他の隊士の顔を見れば、一目瞭然だしね。勇者が魔族に寝返るとか前代未聞の危機じゃない? 僕たちに説教してる暇なんてあるの?」


「お前たち……」


 レナ副官が魔法銃を振り上げた時、前に現れたのは、シェリム隊長だった。


「冷静になれ、レナ。お前らしくないぞ(ヽヽヽヽヽヽヽヽ)


 先ほど、レナ副官がシェリムに突きつけた言葉を返される。


 だが、その言葉ですら、今のレナ副官の精神を癒すものではなかったらしい。


「うるさい! 黙れぇええええ!!」


 魔法銃の引き金に指をかける。

 まずいな。本当に撃つつもりだ。


 俺はいよいよ立ち上がる。

 腰に刺していたショートソードを抜く。

 直後、魔法銃がついに火を吹いた。

 魔法銀の弾丸から文字通り火が噴き出す。

 回転をすることによって、本来必要な呪唱を省略化する。

 そして普通の魔法より速い速度で、魔法を目標に到達させ、炸裂させる。

 それが、魔法銃の最大のメリットである。


 つまり、弾丸を無力化すれば、呪唱はキャンセルされ、魔法は発動しない。


 平たくいえば、斬ればいいのだ。


 ギィン!!


 乾いた金属音が森に響く。

 強い光が閃き、一瞬森全体を明るく照らす。


「なっ!」

「ウソっ!?」

「斬った?」

「バカな!!」

「ラセルくん、すごっ!」


 俺が見せた芸当に、みんなが驚いていた。


 特に驚くことでもない。

 銃口の傾きと、タイミングさえ掴めばこれぐらいの芸当など誰でもできる。 


 レナ副官も棒立ちになっていた。

 俺はその隙を見逃さずに、距離を詰める。

 そしてほぼ何の抵抗もないまま、レナ副官の喉にショートソードの切先を向けた。


「貴様!!」


「待て!!」


 流石に俺の行動に他の隊士は動く。

 それを諌めたのは、シェリムだった。


「レナ、もうわかっただろ? 確かに我々に問題行動があったかもしれない。だが、私の隊士たちの実力は本物だ。彼らがいなければ、私は犬死にし、軍事学校の同窓生とこうして顔を合わせることもなかっただろう」


「犬……死に……?」


「特にそのラセルの実力は本物だ。Aランクのキングサーペントを一撃で葬り去った」


「キング……!」

「Aランクの魔物を」

「一撃で?」

「こんな子どもが……」

「信じられん」


 他の隊士たちは悪夢を振り払うように首を振る。


「別に信じなくてもいい。だが、お前たちの副官が奇襲とはいえ、距離を詰められ、動けないのは事実だ。【魔砲使い(キャスター)】にとって距離感は生命線のはず。それをあっさりと詰められた、これがどういうことかわからないお前たちではないだろう。そして、レナ……。お前もな」


 ついにはシェリムに凄まれたレナ副官は、肩を落とす。


「よし。まずは私たちの事情を聞いてくれ。納得したら、行こう」



 私とお前の隊なら、この未曾有の危機を乗り越えることができるかもしれない。



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挿絵(By みてみん)

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