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【コミカライズ配信中】劣等職の最強賢者~底辺の【村人】から余裕で世界最強~《外伝》  作者: 延野正行
外伝 Ⅷ

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外伝 Ⅷ 勇者暴走②

☆★☆★ コミックス3巻発売決定 ☆★☆★


コミックス3巻発売決定。

7月19日発売です。書籍情報作りましたので、

書店ご予約にお使いください。


挿絵(By みてみん)

「ラセルくん、何を作るの?」


 今日の食事係である俺は、隊から離れ、獲物を探した。

 日持ちのする食料はすでに切れている。そのためシェリム隊はここまでずっと食事係を順番に回しながら、野生の獣や魚を取って、飢えを凌いでいた。


 だが、森全体がフォレストサーペントの巣になっていたのは大きい。大概の大型の生物が逃げ出し、小動物も穴蔵からなかなか出てこようとしない。

 だから、ここのところ食草や小さな川魚ばかりだ。俺としても体力が付く食事がしたいところだった。


 栄養価が足りないと、成長にも響いてくるしな。栄養価たっぷりの食事が成長に必要なのは、ラフィナを見ればわかるだろう。


「なんか言った、ラセルくん?」


「何も……。それより何故ついてくるんだ? お前は食事係じゃないだろ?」


「わたしはラセルくんの保護者係だから当然でしょ?」


 保護者係ってなんだよ。誰もそんなこと頼んでいないのだが……。あと、その首を傾げて「何を言ってるの?」って顔をやめろ。普通に腹が立つ。


「それで何を作るの? 鹿かなあ、猪かなあ。でも、うさぎさんはやめてほしいなあ。悲しくなるから」


「フォレストサーペントの巣だった森に、普通の野生動物がいるはずないだろ?」


「そうなのよねぇ。なら、うさぎさんも仕方ないか。あれでおいしいし」


 ラフィナはガックリと肩を落とす。

 ツッコみどころは色々あるが、いちいち反応してたら、身が持たない。そもそもラフィナとまともに会話したら、疲れるだけだ。


「だから、俺が狙うのはあれだ」


「あれって」


 ラフィナは俺が指を向ける先を見つめる。


 そこには大きな巨木があった。


 陽は沈みきり、薄暮の空が広がっている。

 森の中はすでに真っ暗になっていて、視界が悪くなっていた。


 だが、目の前の巨木の枝葉に目をこらすと、宝石を2つ並べたような瞳がこちらを見ていることに気づく。


「ひっ! フォレストサーペント!!」


 次の瞬間、フォレストサーペントを大きく口を開けて威嚇する。

 シー、という音を立てて、遅いかかってきた。


 悲鳴を上げるラフィナを、俺は担ぎ上げ、フォレストサーペントの初撃を躱す。


「ここが魔獣の巣だということを忘れるなよ、ラフィナ」


「う、うん。ありがとう、ラセルくん」


 ラフィナは素直に頷く。


 そのラフィナを立たせると、改めてフォレストサーペントを見上げる。

 キングサーペントほどではないが、なかなか大きい個体だ。


「大きい……。まだこんなフォレストサーペントが残っていたなんて」


「なかなかいい獲物(ヽヽ)だな」


「へ? 獲物??」


 横のラフィナの頭に「?」マークが浮かぶ。

 それよりも先に俺は飛び出していた。反応したのはフォレスサーペントだ。牙を剥きだし、向かってきた人間の子どもへと蛇頭を伸ばしてくる。


 俺は攻撃をかいくぐり、振り向きざまに魔法を放った。


 【落雷】!!


 青い閃光がフォレストサーペントを貫く。

 雷撃を諸に浴びた魔物は青白く光る。何か身が焼けたような臭いが漂ってくると、俺は魔法を解いた。


 巨体はそのまま地面に倒れる。

 ピクピクと痙攣していた。


「まだ生きてる?」


「半死半生といったところだな。だが、雷撃を受けては動けまい」


「殺さないの?」


「殺す? そんなわけないだろ。大事な獲物なのに」


「獲物って……。もしかして、ラセルくん……、魔獣を食べるつもり!?」


 ラフィナが叫ぶ。

 こいつ、俺がさっき言ったことを忘れているな。

 魔獣の住処だと言ってるだろ。やれやれ……。


「その通りだが」


「え? え? 魔獣を食べられるの?」


「ん? 普通に食べることができるぞ。知らないのか?」


「知らないよ。むしろ知りたくもなかったよ! そもそも魔獣って、完全停止すると消えちゃうのに」


「ああ。だが、完全停止するまで時間があるだろ。その間に牙や角なんかを素材として取るじゃないか。それと同じだ」


「同じだって……。鱗とかならわかるけど、魔獣のお肉を食べるってことでしょ?」


「そうだが……。心配するな。解体は俺がやる」


 今日は俺が食事係だからな。



 ◆◇◆◇◆



「フォレストサーペントだと!!」


 シェリム隊の夜営地に戻り、俺が報告すると、デグナンが報告を聞いて叫んだ。


 まったく……。

 ラフィナにしても、デグナンにしても。どうしてシェリム隊には声のでかい奴が2人もいるんだ。


 ここが魔獣の住処だということを何度も言わせるんだよ。


 俺が肩を竦めようとすると、呆れたのは向こうも同じのようだ。


「かーっ! これだからお子様は……。魔獣なんて食べられるわけないだろ! ラフィナ! お前がついていながら何やってんだ」


「だって、ラセルくんが……」


 ラフィナは口を尖らせる。


「別に嫌なら食べてくれなくても構わない。一応、食草も取ってきたしな」


「ああ。そうさせてもらうぜ」


「ただ……、俺が解体した魔獣を見てからにするんだな」


 俺は【収納】から、解体したフォレストサーペントの肉を取り出した。


「なっ……」

「へぇ……」

「これは」


 ラフィナと俺を除くシェリム隊の一同が息を呑む。


 大きな葉にくるまれていたのは、綺麗な霜降り肉だ。

 それも隊の誰も見たことがないほど分厚い。

 赤身はルビーのように綺麗で、脂肪分は雲のようにフワフワして見える。

 見るからにおいしそうだった。


「これが魔獣の肉なのかよ」


「ああ。信じられないな」


「隊長も食べたことないんですか?」


 ラフィナの質問に、シェリムは首を振った。


「いや……。試みたものがいるようだが、あまりおいしくなかった、と。だが、これは……!」


 肉は肉でも、動物によって美味かそうでないかは出てくるように、魔獣にもそういうのはある。


「フォレスサーペントはその中でもうまい方だぞ」


「お前、魔獣なんてどこで食べてきたんだよ」


「デグナンくん、それは言っちゃダメ。魔獣を食べなければ生きていけなかったぐらい、ラセルくんは辛い人生を送ってきたってことだよ」


 ラフィナが勝手に泣き出す。


 もういいか。

 そろそろ飯を作りたいんだが……。





 作るといっても、大したことはしない。


 すでに魔法で血抜きを終え、軽く塩を振って馴染ませた後、手頃なサイズに切った肉を平鍋に並べていく。


 そこにハーブと大蒜を入れて香り付けする。すると、いい香りが漂ってきた。


「いい匂い……」


 さっきまでごちゃごちゃ言っていたラフィナがナイフとフォークを握りしめて、声を唸らせる。


 ちなみに食器一式は俺の【収納】の中に入っていたものだ。

 【魔導士(ウィザード)】の【収納】はかなり便利な代物で、人数分ぐらいの食料や装備を入れることができる。

 魔力量によっては、さらに巨大なものを収納することも可能だ。


 【魔導士(ウィザード)】はこうした隊の中での最強の攻撃力を持つと同時に、隊の補給を支える重要なポジションを担っているのである。


 さて料理の方に話を戻そう。


「いい感じで焼き目がついてきたな」


 隊長のシェリムもまた息を呑んだ。

 本狂いのレンも珍しく読んでいた本から顔を上げて、こちらを見ていた。


「最後に魚醤をかけて……」



 フォレストサーペントのステーキの出来上がりだ。


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挿絵(By みてみん)

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