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無力と有力

 シャルルさんにはただ迷惑しかかけていない。見るなと言われた箱の中身を見て、俺は迷惑ばかりをかけた。


「どうしたの、これ」


「この子が、もう死にそうです。助ける方法はありませんか?」


 最後に、シャルルさんに頼るしかなかった。俺は無力すぎて何もできない。


「・・・・・・僕は、即再生が可能なポーションを持っている。君は、一生分の借金して、例え奴隷になるとしてもその子を助けることができる?」


「できます。だからこの子を助けてください」


「・・・・・・!わかった」


 シャルルさんの胸ポケットから小ビンが出てきた。中から透明な液体がエリちゃんのお腹にこぼれ落ちた。


 あとは修復していくだけだった。あんなに少量だったのに、部位欠損レベルの怪我も再生できるなんて。


「アカザにも、かけておく」


 残った液体を俺の右腕にかけてくれた。瞬く間に治っていき、力が入るようになった。もう催眠は解いても良さそうだな。エリちゃんの催眠もお腹を触って解いておいた。


「ありがとうございます、お姉さん!」


「お姉さん、ありがとう!」


「うん、どういたしまして」


「お姉さん名前なんていうの!?」


「お姉さんはね、シャルルさんって言うんだよ!」


 兄妹がシャルルさんにお礼を言っていた。礼儀正しいな。


 それにしてもよかった。本当に助かった。シャルルさんのおかげだ。


「・・・・・・君達は、お礼を言う相手を、間違えている。なんで、アカザに言わないの?本来なら僕より、先にアカザだ。それを見過ごしたのは、あくまで持ち主の僕に、お礼をするのも間違って、いないから。君達が、すぐにアカザにお礼するなら、別に気にしなかった。でも、アカザ、君は、助ける相手を間違えた」


「え?いやいや大丈夫ですよ。俺は全然いいです。この二人が生きていてくれるだけでよかったですよ」


「・・・・・・君は、優しいね。でも、僕は怒る。君達兄妹は、なんでアカザに早くお礼を言わない?」


「ご、ごめんなさい」


「ごめんなさい」


「僕は、お礼と言った。それは謝罪、ふざけないで。君達は、モンスターからも助けて貰ってるよね?あのモンスターは強い。僕の見立てじゃ、アカザには手があまりすぎる。なのに君達を助けている。そもそも君達二人はなんでここにいる?ここはモンスターがいっぱい、いる所で、有名。それなのに、君達の親は何をしているの?」


「シャルルさん!それぐらいにしてください!二人は泣いてますよ!」


 シャルルさんの静かな怒りに二人は泣いてしまった。


 こんなにシャルルさんが怒るなんて、俺は予想ができていなかった。


「・・・・・・僕、子供、苦手なんだよね」


「そんなに怒らないで下さい。俺は借金をしただけですから」


「何を言ってるの?君の、借金は、奴隷になるレベル、だよ?」


 ・・・・・・え?マジ?奴隷ですか?


「それは嫌なんですけど、さっき使ったポーションってどの位の値段を?」


「五千万ゴールドだよ」


 やばい、価値が全くわからない。五千万円と同じ考え方でいい?


「何とかなりません?」


「・・・・・・そうだね。じゃあ、僕の場所で借金返すまで、働いて?」


「わかりました」


「・・・・・・早いね。覚悟はできてる、のかな?」


 仕事が欲しかったんだ。ついでに仕事を貰えるなんて嬉しい。


 ブラックな職場なら逃げたいんだけどね。


「仕事を持っていませんから。これからの生計をどう立てるか悩んでいたところなんです」


「・・・・・・この子達、どうする?」


 その発言で二人はビクッと怖がった。


「親元に届けてあげましょう。このままこの平野に放り投げても可哀想なだけです」


「でもこの子達、箱の中身を見た。それなりの対処をしなきゃ」


「やっぱり、この箱の中身は内緒なんですか?」


「アカザはもう、僕の奴隷だから、大丈夫。でも、これはそもそも目については、ダメなもの。どうにかして、記憶を消したい」


 この宝物達、違法な物とかなの?


 俺の『催眠』で記憶の改ざんもできるかもしれないけど、持続性があるかと言われればそれは困ってしまう。


「頭叩いて記憶消すとかできません?」


「流石に、無理。困ったなぁ」


「じゃあ、この二人も仲間に入れるのはどうですか?」


「・・・・・・それ名案。だけど、親の許可は、欲しくない?」


「確かに、そうですね」


 確かにそうだなぁ。じゃあ他の案を考えた方がいいか。


 いや、でもこの案以外の良案が見つからない。


「・・・・・・あ、わかった。アカザの、借金はこの子達に移す。総額五千万ゴールド分、この子達に働かせる」


「いくらなんでもそれは、この子達が可哀想じゃないですか?まだ子供です、子供に借金を背負わせるのは賛成できません。」


「・・・・・・あとで、理由は言うけど、これを、知ってしまった以上、殺される可能性が、あるのは事実」


 それは、小さな声で話しても、この子達に聞こえないようにするためだろう。


「でも、それを俺達やこの子達が言わない限り大丈夫なのでは?」


「記憶操作の、魔術使いはいるには、いる。僕とか君が、記憶を見られたら、この子達が関わっちゃう。だから、逆にこっちに取り入る作戦、グッジョブ」


 無の表情でグッジョブはなんか可愛い。


 この人、表情に出ないタイプの人間なんだな。


「じゃ、説得、よろ?」


「え、俺がするんですか?」


「うん、お願い」


 まあシャルルさんにはこの短時間で助けられてばっかりだからなぁ。


 でもどうやって話せばいいんだ?借金の押しつけをする感じか?それはなんか嫌だ。かと言って、強制する感じも嫌いだ。


 内緒話を終え、軽くぐずった状態でいる二人に話しかける。


「ねぇ、二人とも」


「は、はい!ありがとうございます!」


「ありがとうございます!」


 ダメだこれ、俺にまでビビってしまっている。


 こうなったら、とことんビビらせるしかないか。


「おい、お前ら」


「ひぃ!」


「は、はひぃ!」


「お前らさっきポーション使ったからよぉ。俺の代わりに借金してくれるよなぁ?あぁん?」


「アカザ、怖くない」


 ぼそっとシャルルさんが呟いた。


「シャルルさん!口出ししないで!」


 小声で反応する。


「う、うん、俺考えたよ。お兄さんに俺達のためのポーションのお金を、払ってもらうのは違うって。俺と、エリ二人で払うのが普通だよね!」


「・・・・・・え?」


 なんかこの子、頭良くね?そこまで考えたの?俺小学生のころ消防車になることぐらいしか考えていなかったよ?消防士すら思いつかなかったよ?


「ううん。私のために使ってくれたから、私が払うの!」


 エリちゃんも、なんていい子達なんだ。


 騙すのは心苦しいけど、真実を知ってしまったら毎日がより不安になってしまう。


「あのな、二人はこれから借金を返すために、俺達と一緒に働くんだ。それでもいいか?」


「うん!お兄さん優しいし、大丈夫だよ!」


 あれ、怖がっていないのか?さっきのってもしかして、シャルルさんのことでビビってたのか?


「お兄さんについていく!」


「そっか、よかった。これから大変だと思うけど、よろしくな?」


「「うん!」」


「じゃあシャルルさん、まずはこの子達の家に行きますか」


「そうだね、僕、運転するから、相手よろ」


「分かりました」



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