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儀式の夜に、星に捧げる。
少女は祈った。気高き月の元、神に命を捧げた。
ー神様、どうか世界をお救いください。
ー私の大切な人をお護りください。
ー私は舞います。あなたが下さった、この力で。あなたに頂いた、この命で。
ーだから、どうか大切な人をお護りください。
少女の舞と共に、月は輝きを取り戻し始めた。
燃え盛る炎によって焦土と化した地で、少女は舞い、尊き命は尽きた。
かつて神と結ばれた結は切れ、少女はゆっくりと倒れた。
守り手の命絶たれし時、全てが終わり扉は閉じる。
ー今までありがとう、さようなら。
ー元気でね、幸せになって。
ー君と、あなたと出会えてよかった。
ー幸せな時間をありがとう。
ー君のことが、あなたのことが大好き。
伝えたいことはたくさんあった。
でも、これが、君が僕に、あなたが私に残した最後の言葉。
たくさんの言葉の中から選ばれた一言。
大切な君といつかまた巡り逢えますように。
ありがとうございました。




