プロローグ。
世界には、ごく稀に前世の記憶を持って生まれてくる者がいる。
二人の少女もそうだった。
魂は現世と幽世の間にある境界を通る時に清められる。
そして、前世の記憶を失うのだ。
だが、彼女たちの魂は常に幽世にある。
故に、すべての記憶を受けついでいるのだった。
彼女たちは世界を救う存在。
命をかけて、魂を削って。
守護者の魂は世界の狭間、境界にある。
そこで守られているのだ。
狭間の番人によって。
永遠に汚れなきように。
夜空に散りばめられた星々。
星の輝きと共に夢の世界への扉が開く。
これは、二人の少女の物語。夢を見ることで過去と未来を知る力を持った者の物語。
いくつもの時を見、未来を知り、悪しき者をこの世より追放する。邪悪なる力よりこの世界を守る。それが少女たちの宿命だった。
それぞれの守り神を探し出し、その者たちの導きによって夢の道をたどる。見たことすべては自らの前世やその前、さらに前に関わること。そして、悪しき者を封じる手がかりとなることだった。
神々が輪を作り封印の術を唱えた時、時空の扉は閉ざされ、悪しき者は消え去る。すべては、天と地と時の間にある時空の歪みから始まった。
すべてをかけて命をも捨てる覚悟で立ち向かう。運命にあがらうことなく。
少女たちは天地の声、時の声を聞く力を持って生まれてきた。少女たちの行動は世界の行く末を左右する。
これが天地の理。定められた運命。
二人の少女の出会いがこの世界の行く末を変える。希望か絶望か。すべては遥か昔から始まっていた。
時の流れを見ることで多くを知る。夜空の星のように散りばめられた、パーツを集めて真実を見出す。本当に求める者のみが知る真実。
夢は多くを語らない。そして守り神も。語られたことから、見たことから、自らの力で見つけ出すのだ。よく見、聞き、考えた者にしか分からないことを。
今、少女たちはさらなる扉を開いた。この先へ踏み出せば、もう二度と自分の力では戻ってこられない。
それでも少女たちは歩き続ける。一つ道を誤れば、世界を破滅に導く人生を。恐れずに顔をあげて。まっすぐに前を見て。逆風にも負けず。
運命。そう名付けられた柵。
でもそれは、すべて自分の選択の上にある。自らが選んだことなのだ。
二人の少女は夢を見ることを選んだ。荷を背負うことを、世界を救うことを選んだ。
二人の選択が世界を導く。
夜が、闇が、悲しみが、いつまでも続くわけではない。
月が明るく照っているのも、太陽の代わりに世界を見守っているから。
懸命に光輝いているのだ。
月がない日でも、星が輝いている。
小さな光は、太陽や月には及ばないけれど、確かな輝きを持っている。
いつでも光が、希望があることを教えてくれる。
夜の闇に打ちひしがれ、希望の光を見失った者に、必ず朝が訪れることを教えてくれる。
明日があることを信れば、明日はやってくる。
祈れば、叶えてくれる者がいる。
正しい知恵と勇気を持って、明日へ歩み続ける。
誰もが幸せを求め彷徨う世界。
幸せとはなんだろうか。
自由に楽しく生きることなのだろうか。
なんでも手に入る生活なのだろうか。
ここに生きる人々の幸せは、試行錯誤し迷いながらも掴み取って行く生活。
大切な人の幸せ。
祈りを捧げ、人々を救う。
他者から見たら幸せとは言えないかもしれない運命。
それでも彼らは生き続ける。
闇の先で待っている光を探し求めて。
これは、永遠の物語。
願いの力はどこまでも届く。
夢を見て、真実を知って、願い、求めて。
その先にある幸せを、希望を見つけるために。




