九.動物を苦しめない
※本話は狩られる動物の気持ちを伝えるため、バイリンガル放送となっております。
狩る側、狩られる側の気持ちを存分にお楽しみください。
もちろん、気分を害すると思われる読者様は次話に行っても大丈夫です。
ではどうぞ。
狩場に到着!
狩猟箱開封!
狩猟スタートッ!!
というわけで、勢子は獣を狩り出さんと、一斉に喚声を上げ始めた。
「おいコラァ!出てこんかい!いるのはわかっとんのやぞ!!」バンバン!
「獣の分際で耳が聞こえんのか?サーバルちゃんを見習わんかい!!」ドンドン!
「いてまうどオラァ!五秒以内に出てこんと、森林伐採して住処なくすぞ!!」ガンガン!!
喚声が辺りをおおうと、「ややややや、やべぇよ・・・!やべぇよぉぉぉぉぉ!」と、一匹の白兎が草の波を飛び越えて来た。
帝は眼早く、
「あ!やせいの うさぎが とびだしてきた! いけ!りゅうび!!」
と、早口に言われた。
「はっ!」と劉備は馬に鞭打ち、逃げる兎と並行しながら弓に矢をつがえた。
「いやだああああぁぁぁぁ!死にたくないいいいぃぃぃぃ!!」
白兎は地を駆けた。
四本のしなやかな脚を巧みに使い、地を蹴って、自身の最高速度で草野を駆け抜けた。
しかし、そんな彼を追い駆けるのは、広大な野を駆けまわるスタミナの帝王『馬』である。
脚速はほぼ同じ、いや、馬の方がやや速かった。
こうなると兎は絶望的である。
「はぁはぁはぁはぁ・・・。ち、ちくしょう!ちくしょーーーーーッ!!」
兎は逃げられない。死の運命からは逃げられない。
いくら駆けまわっても、死が迫り来てしまうのである。
うさぎはにげだした!しかし まわりこまれてしまった!
うさぎはにげだした!しかし まわりこまれてしまった!
うさぎはにげだした!しかし まわりこまれてしまった!
うさぎはにげだした!しかし まわりこまれてしまった!
某ゲームのように、四回逃げるコマンドを実行すれば確定逃げという訳にはいかないのだ。
「た、助けて!誰か助けてくれえええええぇぇぇぇ!!」
絶望。真の絶望とは今の兎の状況をいうのだろう。
そんな兎に対し、劉備は弓を構えた。
そして・・・
ぴゅっん!と言う音が空に鳴った。
放たれた矢は見事に兎に突き刺さった。
「ぐわああああーーーッ!動物愛護団体さーーーーんッ!!」
鳴き声を上げ、白兎は草の根に転がった。
白兎絶命!!
その様子を見た帝は、この日初めて笑顔を見せた。
帝はその日、朝門を出御ある折から、終始、ふさぎがちであった。
しかし、自身が信頼を置く劉備の雄姿を見て、
「見事!」
と、彼を笑顔で褒め称えたのであった。