六十五.一発芸はしたくない
「あぁ~~~ん!そんなとこ攻めちゃらめぇええええ!!」
というような拷問が行われていた。
あらゆる方法を駆使して、吉平の肉体をいじめつけている。
気を失いそうになると水をかけ、体に朱の落書きが刻まれていった。
ところが・・・
「曹操様ダメですわ~~ん!奴は全然吐きまちぇん!!」
仲間は売らないという吉平の意思は本物であった。
乾魚のように枯れるだけで、口を動かそうとする様子は見られない。
「大した奴だ。―――ならば、別の手を使おう」
曹操は一計を案じることにした。
『曹孟徳回復記念会開催!病が治って元気百倍!回復!回復ぅ!!!』
彼は知己に、自身が快癒したと報告し、同時にその祝宴を開くことを伝え回った。
無論、断ることなど出来はしない。
その日の夕方、相府の宴の席には、都の重鎮たちが揃いに揃った。
廊下や庇には装飾が施され、灯りに揺られて輝きが重ねられている。
「~~~♪」
曹操は誰の目からみても機嫌が良いように感じられた。
自ら酒瓶を持ち、合間を歩いて賓客のもてなしをしているので、来客者たちは皆、心を緩めていた。
御馳走をたいらげ、詩を歌い、楽士が奏でる音楽に酔いしれ、宴もたけなわになったその時、主人の曹操が立って、
「私は無骨者ですが、興を用いて皆様をもてなす術は心得ております。ここでちょっと一風変わったモノをご覧いただきたい。どうか酒をお醒ましならぬように」
断りの挨拶をすますと、傍らの待臣に小言で命令した。
((何だ!何だ!何が起きるのだ!超楽しみ~~!!))
何か余興が起きるのかと、来客一同は拍手を送った。
とっころが!
―――やがてそこへ連れられたのは、十名の獄卒と、縄で縛られた一人の罪人であった。




