6.フェンのステータスと譲渡
フェンのステータスが出ます
今回、フェンとの会話が多いです
最後はギルマン視点です
俺はギルマン以外の男達を《クトゥルフの抱擁》で無力化すると、次の魔術を用意しながら残ったギルマンを見る
驚愕と困惑の表情を浮かべながらギルマンは顔を動かさず、目だけで周りを見回していたが、その目が何かを見て止まった。俺は《旧き鍵》を確認してギルマンが何を見ているか、そして何を考えているか理解した
(フェンを狙う気か)
俺は用意していた魔術を取り消すと別の魔術を構築する。そして、斧が投擲されるのと同時に発動する
「狂気にのまれろ《心壊》」
「あハ…、アは、あハははハはハハは」
俺が飛んできた斧を《倉庫》に入れる中、ギルマンは狂い笑っていた
「終わったぞ」
「見ていたから分かっている。それよりもそこの笑っている彼に何したの?」
「魔術で一時的に発狂させただけだよ?」
「さらっと酷い事してるね」
「フェンが狙われてると思ったらついね」
「えっ、あ、ありがと」
「大した事じゃないさ」
俺は言いながらギルマンを拘束しようとして、この部屋に縛る物がない事に気付いた
「こいつら縛りたいからちょっと右の部屋にあるロープ持ってきてくれ。こいつら以外に盗賊はいないしな」
「分かった」
フェンが右の部屋に消えると同時に俺は
「やかましい」
そう言ってギルマンを殴って気絶させた
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フェンが持ってきたロープでギルマン達を縛った後、俺はフェンに
「ちょっとステータス見ていいか?」
と尋ねた
「えっ、いいけど今まで見てなかったの?」
「女の子の情報を盗み見るのは気が進まなくてね」
「でもどうして今なの?」
「誰も見てないし、互いのステータスを確認しようと思ってね」
「でも私、鑑定持ってないんだけど」
「俺のスキルで何とかする」
そう言って俺は《旧き鍵》でウィンドウを出して、フェンにも見えるように設定する。そして俺とフェンのステータスを表示した
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名:フェン・オルト
性別:女 STR95
種族:獣人 (狼人族) CON58
スキル:身体能力強化 DEX47
:器用 POW19
:幸運 (未開放) DEF52
MDE34
HP291
MP130
状態:隷属
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「貴方、何者なの」
俺がフェンのステータスを見て、普通はこんなものかと思っているとフェンがそう問いかけてきた
「何者というと?」
「とぼけないで。この異常なステータスは何?それに種族名の【無貌の怪物】ってどういう事?」
「悪いが【無貌の怪物】については知らんし、異常なステータスについても全ては分からない。だが、異常な数値と幾つかのスキルは俺がかつていた世界で得たものだ」
「どういう事?」
「じゃあ、説明もかねて自己紹介をしよう。俺は大洲拓郎、【フェルグリア王国】に召喚された異世界人だ。まぁ正確には異世界の元人間だよ。昔、色々あってね、あまり詮索しないでもらえるとありがたい」
「…分かった。聞かないでおく。でも【フェルグリア王国】に召喚されたってどういう事?」
「なんか魔王と戦わせるために勇者として召喚したんだと。逃げ出したけど」
「なんで逃げたの?」
「一つ、魔王が悪とは限らない。二つ、あの国が信用できない。三つ、これが一番の理由であいつらみたいな狂信者が大嫌い」
「なるほどね」
「それでどうする?俺はこの通り化け物だが別れるか?」
「言ったでしょ?行くあてなんてないからついていくって。それに人間じゃない方が私に都合がいいしね」
その言葉に大洲は笑みを浮かべて何でもない様に言った
「そうか、取り敢えずフェンに《近接の武神》とか渡しといたから」
「…はっ?」
フェンがそう言いながら大洲が出したウィンドウを見ると
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名:フェン・オルト
性別:女 STR95
種族:獣人 (狼人族) CON58
スキル:身体能力強化 DEX47
:器用 POW19
:幸運 DEF52
:近接の武神 MDE34
:隠蔽 HP291
:適応進化 MP130
:鑑定
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「何やってんのよ!!」
「何って?」
「言い方を変える。なんてもの渡してるの!!」
「強いでしょ?」
「強すぎるよ!!」
「まぁ仲間への贈り物だよ。俺といるなら必要だしな」
「どういう事?」
「いやな、この世界を観光ついでにちょっと【フェルグリア王国】を潰そうと思っててな」
「いや、さらっと何言ってるの!?」
「何か問題でも?」
「むしろ何で問題ないと思っているの?」
「国の一つや二つ問題ないだろ?元の世界で狂信者を教団の建物ごと沈めた事あるぜ?」
「何やってんのよ」
「まぁ今すぐって訳じゃないから気楽に旅しようや」
「はぁ…。まぁよろしくね…」
「どうした?疲れてんのか?」
「貴方の所為でね…」
「じゃあ、そろそろこいつら起こすから待っててくれ」
「分かった。穏便にね」
「前向きに検討する」
「不安だ…」
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ギルマンが目を覚ますと見知った天井だった。何で俺は寝てんだと思いながら体を起こそうとして、ギルマンは両手足を縛られている事に気が付いた。その時
「よぉ、起きたか」
その声でギルマンは先程までの記憶が蘇る
(そうだ、この男が現れて仲間がまとめてやられて、その後…)
そこまで考えたところで
「取引をしよう」
一瞬で自分達を全滅させた男のそんな言葉が聞こえてきた
盗賊と取引します