プロローグ
急に寒くなって雪が降ってクソ寒いです。暖かくなったり寒くなったり気温の変化が激しいので体調管理を気を付けて行こうと思います
意識が徐々に鮮明になりこちらに迫る銀の刃を見て自身の死を悟る。それと共に体に出来た傷が痛みだし、これ以上動く事は厳しい事も理解した。俺は顔を上げて俺を殺そうとしている男を見上げて言う
「じゃあな」
刃を俺に向かって振るうその男は俺が死を前にしても落ち着いている事に驚いたのか僅かに目を見開く。しかし振るわれる銀に輝く死は決して止まる事無く近付いてきた。嫌に緩慢に迫って見えたそれも頸に当たると共に何の抵抗も無く頭を胴から切り離す。緩慢として見える視界は段々暗くなっていき、それとは別に今までの思い出が蘇る。最後に白いスーツの男が横たわる少女にナイフを突き立てて嗤う光景が浮かぶ
(次は、次こそはお前を殺す。それまで精々嗤えばいい。だが、絶対にお前に地獄を見せてやるぞ…!)
誰にも届く事の無いその誓いは俺の命の灯と共に闇に消える。そして視界は完全に黒く染まり、何も見えず聞こえなくなった…
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徐々に何か声が聞こえてくる。左から感じる冷気に意識が浮上して来ると大洲は腕を枕にして机に突っ伏していた顔を上げる。大洲のいる教室を見回すと一時限目の授業が終わり、二時限目の授業が始まっていた。窓の外を見ると白い雪がしんしんと降っている
「夢、か…」
大洲がそう呟くと数回小さく頭を振り眠気を払うと正面にある教卓の後ろで板書する30代位の男で担任の錦戸彰の方を見る。黒板と錦戸の話す内容から21年前に起きた太平洋の巨大地震に関するものの様だ
「この地震によって各国で―」
錦戸がこちらを向き、解説をしていると突然、教室の床一面に魔法陣が浮かび白く輝き出す
「な、何だ!?」
「何これ!?」
「皆、教室から出なさい!」
教室内は突然の出来事に一瞬で騒然となるが錦戸の指示で一斉に出口へと向かい、引き戸を開けようとする。しかし、
「あ、開かない!?何で!?」
クラスメイトの女子が後ろの引き戸を開けようとするがガタガタと音を立てるだけで開かない。それは前の引き戸も同様だった。中には窓から出ようとする者もいたが鍵を開けても開かず、ガラスを割ろう椅子をぶつけても罅一つ入らなかった
「な、何で!?」
「どういう事だ!?」
大洲はこの事態に混乱するクラスメイトをしり目に床に手を付き魔法陣を調べる
(遺跡で稀に見る固定型の《門》に似ている…転移系か。その中に紛れる様に補助の魔法陣が四つある)
魔法陣に込められた術式を一瞬で看破した大洲は魔力を操作して魔法陣の破壊を試みる。しかし、補助術式がデゴイとなって代わりに破壊され、他に二つ破壊された所で最初に破壊した補助術式の魔法陣が復活した。大洲が手を変えながら破壊を試みて数秒後、魔法陣が一際強く輝き教室内を呑み込んだ
光が収まった教室の中は荒らされた様に倒れた机や椅子だけが残され誰もいなくなった。異変に気付いた隣の教室の教師が警察に通報するも何の痕跡も見つからず大規模な集団失踪事件として捜査が開始された