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荒んだ心から愛を込めて  作者: わんちゃん
少女達と腋あいあいしたい次第でそうろう
9/13

変態と変態

「ふざけてんのかいあんたはぁぁぁあ‼︎」


「ごめんなさい‼︎ごめんなさい‼︎」



俺の前で先程からこんな茶番が繰り広げられている中女の家であろう家を背もたれにして座っていた。


「こんな小さい子供に葉巻を売りつけた挙句大銀貨に吊られて連れて来ちまうとは‼︎何処まで落ちぶれたら気が済まんじゃぁぁぁあ‼︎」


「ごめんなさいぃぃぃ‼︎」



先程から続いているやり取りを聞き流すのも飽きて来たので葉巻を加え親指から火種の出し葉巻を炙り火を付ける


このやり取りをしている間ユーナ達から貰った魔術書を読んだら種火程の火を出す魔術が載っていた為早速使える様にしたは良いがどうも結果に差異がある。魔術書のやり方通りにすると恐らくマッチ程の大きさの火が出てくる筈だが…


「指に魔力を集めて指先から魔力を少し放出させた後、先に放出した魔力に後から継続的に魔力を放出させる様に魔力をぶつけると…」


シュ、ボォォ


ターボライターじゃねぇか。ま、火が付くから良いか…



「大体あんたはいつもそう!家の手伝いのしない!ギルドで仕事もしない!町で商人ごっこなんかしてまともに働かないじゃないか」


らちが明かないので話に割り込む


「宿を紹介しろ、それ含めての契約だ」


「紹介する分には構わんがあんた小さい金は持ってんのかい?」


町で出会った女とは別の女が機嫌悪そうに聞いてくる


「いいや?」


「んじゃ追い返されるだろうよ、この村で大銀貨を使うにしても釣りを返せる奴なんていないよ」


薄々分かってはいた…


この世界の金の概念は以下の通り


大金貨1=小金貨10

小金貨1=大銀貨10

大銀貨1=小銀貨10

小銀貨1=円銅貨10

円銅貨1=大銅貨10

大銅貨1=小銅貨10


菓子が小銅貨2枚で葉巻が3枚と考えると余り変哲なものでは無いが日用品の物価が安く小銀貨までしか使わないらしい


村まで来る道中、金の種類と基準を教えて貰ったがチンケな村で大銀貨をまともに扱える訳など無かった


唯一の金を使えないのは痛い



「ッチ!わかったよ…」


とリリーは言い立ち上がり村の外へ歩き出そうとする


「待ちなさい、あんた何処に行くつもりだい?」


不機嫌な女に襟首を掴まれ止められてしまう


「宿が無いなら野宿するしか無いだろう」


渋々といった様子でリリーは答える


「んじゃウチに泊まれば良いだろう」


「あぁ?」


「部屋はマリーの所を使いなさい」


意味ワカンネー、と言いたげなリリーを他所にその女は話を進めリリーを引きずり家の中へ入っていった…






「ここがあんたの部屋さ、ベッドは一つしか無いけどマリーと上手く使いなさい」


リリーが引きずり地獄から解放されたのは部屋に入ってからだった部屋まで連れ込まれるとポイっと摘み出される、その後から慌ててマリーと呼ばれた女が部屋のドアの縁に捕まり部屋を覗き込んで来る


「おおお母さん⁉︎ホントに泊めるの?」


「あんたが蒔いた種だろう?寧ろアタシが被害者だ!」


「でも!寝る時どうすんの⁉︎」


「なんか文句ある訳?それとも女の子1人で野宿させる気かい?」


「そうゆう訳じゃないけど!」


マリーと呼ばれた女は焦れったく足踏みをしながら言う


「あんたのベッドならあんたとその子2人でも大丈夫だろう?私は夕飯の準備をするよ、後は勝手にしな‼︎」


そう言って女は部屋から出て行き部屋に残されたリリーと未だ部屋を覗くマリーの間に沈黙が続く



「どうすれば良い」


いつも通りのしかめ面でマリーを見つめるリリーと


「と、取り敢えず…荷物置こっか!」


開き直って笑顔を作るマリーであった…







ーーーサラーーー


サラはリリーの冒険者経験のある者を募り捜索隊を編成し部屋に集め作戦会議をしていた


「今朝、白い服にスカートを着てる裸足の少女を見たとの情報がナムルの衛兵から情報が入り逃げられたとの事です、この事からリリー様は誘拐では無く自力で屋敷を抜けた事になります」


サラが淡々と目撃情報が書かれている紙を処理していき


「じゃあ今からナムルに行けば今日にでも捕まえられますね!」


サラの隣で同じように書類を処理している茶髪ショートヘアーのリサが希望を呟き


「しっかしリリー様は一体どっから逃げたんでしょうね〜」


シャーリーと言うブロンドと言うより金髪のストレートヘアーを持つ女がダルそうに机に顎を乗せボヤキを言う


そしてその他の4人のメイド達は武器や馬の支度をする為部屋に居ない

リサが書類の束を整理する中一枚の紙を取る


「あ、でもこっちの情報だと行商人らしき女と町の外に出ていったとの事ですよ?南門の

門番さんから…」


リサが紙に書かれた情報を簡単に読み上げるとサラは両手で机を叩き叫ぶ


「それだぁぁあ‼︎リリー様はその女に誘拐されたに違いありません!」


「やめて下さいよサラさん!」


サラとリサがやいのやいのと騒がしくしている中シャーリーは机の上で伸びをする


「とするとリリー様は既にナムルには居ない事になりますね〜」


「何でリリー様は私を置いて出て行ってしまったんですか〜」


「サラさんが変態するからですよ、でも南って事は比較的栄えているバードン方面かメーム方面の山岳地帯に続きますよね?」


「もーどっちに行ったんだー!」


「リサだってリリー様の誕生日に一緒にやってたじゃないですか〜」


「最悪の場合売られて、何て事もあり得ますね…」


「ウワァァァアワダジノリリー様ぁぁあ‼︎」


「サラさんのではありません、でも〜そうするとバードン方面の方が有力じゃないですか〜?」


「となると1番近い街のバストラでしょうか?門を出た時間的にも歩けない距離では無いでしょうから…」


「うぅ…仮にバストラでリリー様が見つからなかったら売られてる可能性が低くなるならまずバストラに行きましょう…」


「あ、復活した…」


「じゃあ荷物がまとまり次第バストラに行きます?隊長〜?」


机や床やリサに散々叫き散らかしたサラがようやく落ち着き決定を下す


「そうしましょう…では私達も着替えましょうか」


「おぉ‼︎もしかして遂にガルト様直々の命令を受けた者しか着る事が出来ないと言う親衛隊仕様の侍女装備が着れるんですか私達⁉︎」


リサが憧れの装備が着れると思い息が上がる中サラから残酷な一言が放たれる


「いえ…一般的な装備よ」


「え…?じ、じゃあ戦闘用メイド服…?」


「いえ、今回リリー様の存在が公になる事を防ぐ為にも私達も一般の冒険者を装って捜索に当たります」


「ヤダヤダヤダー‼︎親衛隊が良いメイド服が良いー‼︎フリフリが良い可愛いのが良い鉄ヤダ革ヤダ臭いのヤダー‼︎」


「今度はリサかよ〜」


「そんな事言っても何も変わりません、リリー様を助ける為には裸にだってなる位の意気込みが無ければなりません、ほら行きますよ!」


「ヂグジョォォォォオ‼︎」



こうしてサラは本人含む変人だらけのリリー捜索隊を指揮しリリーを屋敷に連れ戻す為に動き出した

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