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荒んだ心から愛を込めて  作者: わんちゃん
少女達と腋あいあいしたい次第でそうろう
5/13

シークレット ミーティング




いつもの様にサラが部屋から出て、ベッドから起き上がり魔法を使い手から明かりをつけるといつしかのドライフラワーが目に止まり、同時にあの日の夕陽を思い出す。


そして考える


何故こうも嫌な気分が続くのだろうか?


このままで良いのだろうか?


食う物も寝床も困らない、ましてや前世では縁など無かった勉強も出来る。なのに何故こんなにも虚しさが続くんだ?何が不満なんだ?


自問自答するが結局考えていても分からなかった。

一息つき部屋から出ていつも通り屋敷の散策を始め、暫く歩き続けると足音が近づいてきた為物陰に身を隠す、金具の当たる音を聞きつつ警備兵の持っていた剣を見る。


(おい小僧、お前も走れ…)


(銃に興味があるのか?よし、あの的を狙ってみろ、まず銃の使い方は…)


(ッオラ!、ナイフはこうやって使うんだ!間違えたら何度でも蹴るぞ!実戦と違って死なないだけマシだと思え‼︎)


(いいかい坊や、弓を当てたいなら矢の先端をよく見るのよ…)


(馬?、お前にはロバがお似合いだ‼︎ギャハハハハ‼︎)


(斧や鉈だって十分使い道はある、枝や石ころだって人を殺す事は出来る。かかってこい、身体で覚えるのが一番だ)


思い付いた



そう言えばもうすぐ4歳になるしな、体の方も大分安定してきた…


まずは酒を探しに行こう、屋敷の何処かにあるはずだ。



………………………



警備をくぐり抜け厨房の奥、飲み物のある一室に入る。


思いの外警備が薄かった


「酒と…何言われるか分からんしジュースも持っていくか。」



片手にワインとジュースの瓶を持ち、もう片方にグラスを3つ持ちある部屋へと向かう。

流石に警備は厳しかったがセンサーやカメラよりはマシな程度だった。


目的な部屋まで到着し背の机と椅子を並べその上に瓶とグラスを置く、月明かりが強く明かりが無くとも部屋が見渡せる程である。


準備が終わりその部屋の持ち主の内の1人を起こす。


「ううん…リリーか、こんな時間にどうした?メイドか兵を付けないと危ないだろう…。何か用でもあるのか?」


「はい、大事な話があります。こちらの椅子にどうぞ」


状況が理解出来ないガルトだがリリーの言う通り予め用意した椅子に座る。


リリーも対面の椅子に座りワインを開けガルトのグラスに注ぐ


「この酒はどうしたんだ?」


「厨房から拝借しました」


「この部屋の前にも警備がいただろう、どうやってここまでたどり着いた?」


「警備をくぐり抜けてきました」


「普段とは裏腹にとんだヤンチャ娘だな、グラスが1つ余るが誰のだ?」


「お母様も起きた時の為に用意させて頂きました」


「色々言いたい所だが…それでもって用とはなんだ?」


「まずは乾杯としましょう」


そう言ってリリーは自分のグラスにもワインを注ごうとする


「それは止めなさい」


想定通り断られたので渋々予備で持ってきたジュースを注ぐ…

注ぎ終えると2人は小さくグラスを鳴らし小さな夜会を始めた。


「それで、こんな夜中に訪れて用とはなんだ?察するに言い辛いことなんだろう?」


「本当は言わない予定だったが親父には言っておこうと思ってな。」


足を組み、頬杖を付きながらグラスに口を付け微笑む。


「単刀直入にいう、俺は家を出ることにする。」


頬杖を付いたままガルトを顔を見る

ガルトは暫く複雑な表情をするがやがてグラスに注がれたワインを飲み表情を改める。


「理由を聞かせて貰おうか」


そう言うとガルトも足を組み頬杖をついてリリーを睨むように見つめる


「単に言えば旅に出たいからだ」


リリーは窓の方を見ながら軽い口調で言ってみせる


「ここに居て不自由はない、飯は美味いしベッドは常にふかふかで勉強も出来る、オマケに自分のメイドまでいる。」


「なら何故出て行こうと思うんだ?」


リリーの言葉に対して足を正し前のめりになりながらリリーに問う


「理由なんてない、旅に出ようと思ったから旅に出るんだ。」


溜息を吐く様にリリーは言う、ガルトは背もたれに体を預けリリーと同じ様に窓を見ながら溜息を吐く様につぶやく


「そうか…旅か」


暫く沈黙が続く、飲み物を飲み、無くなったらまた注ぐ、そうしながら2人は窓から見える月を眺める




……………………





「わかった、認めよう。」


沈黙を壊したのはガルトだった


「だが条件を付けよう、1つは期限だ。リリーははもうすぐ4歳だろう?7歳になる月の春の花が咲く前に帰ってこい」


「わかった、で?。まだあるんだろう?」


「もう1つある。この場の話は無かった事にする事だ。」


「…と言うと?」


「私の身分上娘を放っておくには少々無理がある、だからお前を連れ戻す為の追ってを出す必要がある」


「なる程…ついでに期限を破ったら?」


「総力を挙げて連れ戻す」


「そりゃ怖いな…所で俺の実力を確かめなくて良いのか?」


「ここにいる事が何よりの証拠だ」


リリーは察した様に頷きながらグラスに口を付ける。


「そろそろ行くか。」


「今日出て行くのか?」


「いや、キリの良い日に出て行く事にする」


そう言うとリリーは瓶に再びコルクを詰めグラスを回収する


「そうか…後1つ、定期的に手紙をよこしなさい。後わかっているだろうが名前は出すなよ」


「わかってるよ、上手にやる。」


そう言いながらリリーは部屋から出て行く、部屋に静寂が包む中ガルトは1人椅子に座り微笑む。


「一体何処であんな言葉を覚えたのか…」

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