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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

大変な物を盗まれました(父親の心境)

 某有名アニメのセリフを英語にすると生まれる勘違いってあるよね(笑)

「おぉ…。娘よ一体どうしたというのだ?」

 とある王国で最も偉い男はある部屋の前で心配そうに右往左往していた。

 というのも、彼の娘――つまりはこの国の姫が数日前から寝込み、一切姿を見せないからだった。元々重度の親バカだった王はこれ大層取り乱した。それこそ政務が滞り、妻からは呆れられるほどに。

 娘は王妃と彼女の世話をするメイド長以外の誰とも接触していない。食事も碌に取っていないので王は心配で何もできないのだ。


「陛下」

「おおっ!どうであった?」

 そんな王に声をかけるのは、娘と会うことが出来る女性であるメイド長だった。

 王妃に頼んでも親バカに言っても無駄だと取り合ってくれないので、その他の人物で唯一入室を許されているメイド長に理由を尋ねてくるように頼んだのだった。


「はい。姫の不調の原因が判明いたしました」

「なんとっ!で、原因はなんじゃ!?解決できる物ならばどんな問題でも解決して見せようぞ!!」

 それこそ自分の持てるすべての力を使ってと宣言する王。

 今の王ならば軍を動かしかねない――従うかどうかは別として――ので周囲に控えていた者達は何気ない様子で聞き耳を立てるのだった。


「…………」

「…ど、どうしたのじゃっ?」

 いつもならば仕事に愚直と言えるほどに忠実なメイド長が言い淀んだのを見て、王は珍しく狼狽する。


「…陛下は先日の泥棒を覚えておいでですか?」

 なかなか言い出さないメイド長に業を煮やした王が問い質そうとしたが、その前にメイド長は口を開いた。


「……泥棒?先日、我が城に侵入しておきながら何も盗んでいかなかったという……あの泥棒か?」

 最近、国を騒がせている泥棒。

 貴族などを襲い、金品を奪ったのちに奪った金品を貧しい者にばら撒く行動を繰り返すことで義賊と持て囃されている存在。

 王としても国の対面を保つために捕まえねばと思う反面、民を助けるためにはどうするべきかと頭を悩ませる問題だった。

 しかも、厄介なことにその泥棒は腕が良すぎるのだ。

 どんな警備を敷こうとも、その包囲網を掻い潜る。どんな厳重な金庫であっても瞬時に開いて盗んでいく。ご丁寧に予告上を届けた上での犯行を百回以上及んだが、捕まることなくすべて盗み出していた。そう、前回――王城に入るまでは。

 王城に入る事には成功した泥棒だったが、何も盗まずに逃げて行った。


「……そう言えば、あの時姫は泥棒と対面したのだったな」

 何を考えてか娘の寝室に忍び込んだということに怒りが再燃するが、もしやその時に何かあったのか?と首を傾げる。

 よく考えれば、娘の様子がおかしくなったのはあれ以降だったような…。


「陛下、姫はこうおっしゃっておりました。『私はあのお方にハート(心)を盗まれたのです』と」

「何っ!?ハート(心臓)じゃと!?」

「はい。大層胸が苦しそうに…」

 淡々と告げるメイド長と真逆の反応を見せる王。

 一大事じゃと執務室に飛び帰っていったのだった。


「……本当にそんなことを言ったのですか?」

「いいえ。姫は『あのお方のことを考えるだけで、胸が満たされて』としか」

 王が帰った後で王妃と話すメイド長。

 勘違いした王も王だが、淡々と告げる内容ではないと思うんだが。


「以前、陛下に『お前は真面目すぎて肩が凝る』と言われましたので、少しジョークを混ぜてみたのですが」

 何かマズかったでしょうか?と告げるメイド長に、大きく嘆息する王妃。

 このメイド長。仕事は真面目なのだが、表情に変化がなさ過ぎて冗談を言っても深刻そうに聞こえるから性質が悪いのだった。








 その後、本気を出した王によって姫の前に引きずられた泥棒が求婚し、それに姫も応じたことで王がさらに乱心。

 今度は王VS姫連合(王妃&メイド長)の戦いが繰り広げられ、王が敗北。

 元泥棒の国王が誕生することになるのだが、それはまだまだ先の話。

 ちなみに、二人は仲睦まじく王として国のことを第一に考えた治世を行ったという。
















 さらにおまけだが、娘の結婚問題で王妃とメイド長が意気投合。何故かメイド長はその後側室に納まることになるのだが、それはまた別の話。

 ただし、生まれた男の子は母親に似すぎて義兄を悩ませる辛辣な執事になったとかならなかったとか。

 なんとなく書いてみようと思ったので。Heartって英語では心臓ですからね!心ではなくそう思っちゃう人もいるじゃないかなと。一応世界はなんちゃって王国的な。

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