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第13章 人形の広間
“あなたの妹はどれ?”
それが三つ目の謎かけ。
1
館の奥にある円形の
広間の円天井からは、
幾百の鳥籠が吊り下げられ、
黒曜石の鏡をした床には、
幾百の人形がありました。
「お前の妹は、
この中にいる。
見つけ出せたら
返してあげるわ」
美しいけれど
笑うことのない、
氷の仮面のような
ノゥスィンカの人形が、
綺麗だけれど
歌うことのない、
氷の音色のような声で
いいました。
2
「これだけはお助けできません。
あなたご自身にしかできないことです」
下女が耳打ちします。
「けど、お気をつけてください。
みせかけに騙されないよう。
どんな姿も、
どんな声も、
どんな仕草も、
魔女様は似せられます。
あなたの胸の中に秘められた、
深い深い井戸のようなところ、
そこををお探しくださいませ。
それは人形にあった魂の
残り香のようなもの――」




