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四角い

餅それは四角くて白い食べ物だった。



「オモチ美味しい!!」


木炭の入った鉢の上に網を乗せ焼くのが正しいオモチの焼き方という。


なるほど、ジックリと焼かれた四角いオモチは時間がたつとみるみる膨らみ自らの食べ時を知らせてくれる。


海藻で作ったと言う紙みたいなノリで巻き、砂糖を混ぜた黒い液体に付けて食べる。


このあたりではライスは籾のついた状態のもので家畜の餌にしか使われていないが、杵突きをされた餅は至極美味い。


「一山いくらだから小麦より安くては助かるわ」


シャドはそう言うが、飢饉の時だってライスは食べません。


小麦もライスも水で煮て食べると言うから、美味しい食べ方をシャドに教えて貰おう。


「…コタツというのもいいです」


「文明の利器だから、野営しても寒くないよ」


ドテラという防寒服を羽織り、コタツでひと冬を越すヒキコモリと言う種族がいる理由もこれなら理解できる。



「シャド!モチよりにより雪をなんとかしてくれ!」


鎌倉を覗き込んだ無粋な男に、シャドはミカンの皮を投げつけ。


「あっつ!焼けた皮あっつ!」


もんどりうって転がるイグナシオ。

ホコホコと湯気を上げるミカンの皮、その皮雪の床に転がってたはずですが…


「流星とは石ころが大気圏にはいる摩擦熱で焼けて光るからみえるんです」


つまり、オモチも投げたら一瞬で焼ける…。


「…シャド、横にあるオモチを私に投げて」


「はいよ」


ポンとオモチを投げて寄越したが熱くない。


「シャド焼けてない」


「いや、焼いてないし…」


「なら、ミカンの皮みたいに…」


「食べ物で遊ぶのは許しませんが?」


「…わかった」


キロン☆と睨まれた。

ギロでもなく。


シャドは怒らせると可愛い…。

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