一面の銀世界
シャドに習い床に毛布を敷いて寝ていた私は、異様な寒さで目を覚ました。
「…なんか寒い」
毛布を抱き寄せテーブルの下から抜け出す。
まだ秋に入りきってはいないというのに、いきなり冬に入ってしまったかのようだ。
そこらにあったイスに腰掛けて身震いを一つ。
「お嬢さん、目が覚めましたか」
エスキモーと呼ばれるフード付の防寒着を着たイグナシオが店の入口から顔を覗かせた。
「…外は寒いのか?」
「寒いですよ。
雪なんかメッタに降らないってのにシャドがかき氷なんて言ったからですかねぇ?」
「…雪?」
「ええ、雪です。本格的に降り始めたから皆雪掻きしてるんで…」
「イグナシオ、気は確かか?」
「わからないでもありませんが、俺は正気です。それより自分の目で見た方がわかりやすいですよ」
「…動いたら負けだと思ってる」
そう言えば、クリシュナとかいう男性の肩には白いのが乗っていたな…寒いから戸を閉めてくれないか?
「普通は働いたら負けじゃないんですか?」
「…シャドは」
「氷でカマクラを作ってモチ食べてます」
「…モチ?」
食べてますって事は食べ物なのか?
「仕方がない手伝うとするか」
―食べる方をだが。
なし崩しにシャドの影響力が明らかに




