セナという少女14
セナは顔を赤らめて言う。
「どう……かな……?」
「似合ってるぞ」
水月は淡白だ。
しかして嘘偽りはない。
それ故に、
「えへへ」
とセナは照れるのだった。
それからセナは水月のすぐ隣に入浴した。
髪を洗う必要も体を洗う必要もない。
そんなツウィンズの世界ゆえの行動だ。
そしてセナは水月の腕に抱きつく。
ムニュウとセナの大きくはないが決して小さくもない乳房がビキニ越しに水月に押し付けられた。
セナにとっては一大決心だったその行為も、
「…………」
水月にとっては些事に過ぎない。
そもそも女性とのきったはったに慣れている水月には今更である。
「…………」
「…………」
しばしの沈黙。
後にセナが言う。
「水月……」
「何だ?」
「私じゃ不満?」
「何のことだ」
わかっていながら水月はとぼける。
「私……魅力ない?」
「魅力的だが?」
「でも水月は平静……」
「ま、人生経験豊富でな」
「こんなことじゃ落ちないの?」
「有体に言えばそうだな」
どこまでに率直に水月。
「ふ」
とセナは溜め息をつくと、話題を変えた。
「水月」
「何だ?」
「水月は何歳?」
「さてな」
その言葉は誤魔化しではない。
本当に水月は自身の年齢を知らないのだ。
十万年単位で生きてきた水月の業である。
「身体年齢だけで言うのなら高校生くらいだが」
他に答えようもなく答える水月だった。
「やっぱり学生?」
「そうだな」
「どこの学校?」
「いわゆる一つのリベラル・アーツ・カレッジ」
「リベラル・アーツ・カレッジ!」
セナは驚愕した。
「超エリートだね!」
「そんな大層なもんでもねえよ」
水月は皮肉る。
「やってることに意味が伴うかもわからない学園都市だ」
「どこのリベラル・アーツ・カレッジ?」
「エキストラ・リベラル・アーツ・カレッジって言うんだが……」
「エキストラ・リベラル・アーツ・カレッジ……」
そうエコーのように呟いて、
「そんな名前のリベラル・アーツ・カレッジ……日本にあったっけ?」
クネリとセナは首を傾げる。
「ねえよ」
水月はどこまでも率直だ。
「海外のリベラル・アーツ・カレッジってこと?」
「だな」
「留学生?」
「ということになるのか?」
自分でもわからない水月だった。
「すごい!」
とセナは褒める。
「そんな大層なもんじゃねえよ。良いように使われているだけだし」
「学校に?」
セナの問いに、
「学校に」
頷く水月。
事実、それ故に水月はツウィンズの世界に関わったのである。
「でもでもリベラル・アーツ・カレッジってだけですごいわよ。さっきも言ったけど超エリートじゃない」
「とは言ってもな……」
溜め息をつく水月。
「エキストラ・リベラル・アーツ・カレッジは多少毛色が一般的なリベラル・アーツ・カレッジとは違うんだよ」
「どういう風に?」
「エキストラって言っただろ?」
「エキストラ……番外ってこと?」
「そ」
水月は首肯する。
「エキストラ・リベラル・アーツ……それを学ぶための学園都市がエキストラ・リベラル・アーツ・カレッジだ。いちいち長い名前を呼ぶのも面倒だから関係者の間ではイクスカレッジって略称が浸透しているがな」
「イクスカレッジ……」
水月の腕に抱きついたままセナはそう呟き、
「なにがエキストラなの?」
水月に問うた。
「番外リベラル・アーツを学ぶが故にエキストラだ」
「番外……」
「正確には第八リベラル・アーツって呼ばれてるがな」
「え?」
ポカンとするセナ。




