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現代における魔法の定義  作者: 揚羽常時
ザ・ワールド・イズ・マイ・ソング
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セナという少女09

「ルールはハーフヒット制。ステータス均一。スキル無制限。装備無制限。アイテムの使用不可。……そんなところか」


 確認するようにセナが言って、


「メニュー」


 とレイが口にする。


 そしてレイにしか見えていないだろうイメージコンソールを操って水月にコネクトした。


 水月の視界にウィンドウが表示される。


 すっかりこの現象にも慣れた水月。


 それは決闘の申し出だった。


 ルールの案内とともに、


「決闘を受けますか?」


 とウィンドウが尋ねてきており、水月は同意のボタンを押す。


「っ!」


 次の瞬間、水月たちは空間を転移した。


 驚愕する水月は、少しの浮遊感の後、地面に足をつける。


 そこはもう食事処ではなかった。


 コロシアムである。


 円状の闘技場を中心に、観客席が取り囲んでいて階段状になっている。


 そしてたくさんの観客が席についてワーワー騒いでいた。


「何ぞ?」


 と不可解な気分で首を傾げる水月。


 ちなみにセナはいなかった。


 心眼で探すに観客席の一席にて見つける。


 こういう技術においては水月を超える者はそうはいない。


 元々一対三……つまり水月一人にレイとアーチャーとマジシャンだけの決闘だ。


 セナが観客席にいるのはある意味当然と言えただろう。


 事実、闘技場にいるのは水月とレイとアーチャーとマジシャンだけだ。


 水月とレイたちがコロシアムの対極の位置にて互いに睨み合う。


 そしてハツラツとした声がコロシアム全体に響き渡る。


「レディースアンドジェントルメン! 此度の決闘はなんと巷を騒がす戦闘ギルド……マーチラビットのレイたち三人に無謀にも一人で立ち向かおうという猛者だ! その名も水月! 一体如何ほどの実力者か! 興味がつきないカードだ!」


「そうまで持ち上げるか」


 とは水月は言わない。


「…………」


 ある意味で無謀なのは百も承知だ。


 朗々と垂れ流されるマイク係の声を無視して、水月は初期装備の剣とセナからもらった抗魔剣を抜く。


 抗魔剣の方は攻撃能力は一切なく完全に防御用のソードブレイカーのような剣だが、水月は躊躇わず握る。


「おおっとー! なんと水月選手! 二刀流だー! 無謀か……はたまた達者か……これは見逃せない!」


 水月は右手に片手剣を、左手に抗魔剣を持って構える。


 それはレイたちも同じだった。


 レイは優秀な片手剣を両手で持って構える。


 アーチャーは矢筒を背負って弓をギュッと握る。


 マジシャンは杖を持ってレイの背中に隠れるように移動した。


「さぁさぁ緊張が高ぶってきたぞ! では始めようか諸君! マーチラビット対水月……戦闘開始!」


 そんなマイクの声に合わせて決闘が開始された。


 先制はアーチャーだった。


「シャイニングレイ!」


 とボイススキップをして弓につがえた矢を放つアーチャー。


 過程を省略して発動した戦闘スキルによって一本の矢は複数の光の雨となって天空から降り注いだ。


 初撃……ファーストコンタクトにしては派手な部類だ。


 しかして水月は、


「…………」


 上空から迫る光の矢の雨を片手剣で全て弾いてみせる。


「な……っ!」


 と驚愕するアーチャー。


 アーチャーの驚愕とは反対にレイが冷静にアーチャーに指令を出す。


「シオン。作戦通りお前は水月の側面に回れ。基本的な対応は俺がする」


 そんなレイの言葉にシオン……アーチャーは頷きコロシアムの壁に沿って水月の側面に回る。


 同時にレイが水月目掛けて襲い掛かった。


 片手剣を両手で持ち、


「スターラッシュ!」


 と戦闘スキルをボイススキップで起動させる。


 高速の連撃が水月を襲ったが、水月は難なく斬り弾く。


「ほう。カウンターに力を入れているわけか」


 とレイが感心する。


 水月には言っている意味がわからない。


 そもカウンターとは何なのか。


 それが不明なのだ。


 カウンターというのは要するにツウィンズにおける防御スキルの一つで、剣撃や矢や魔法に対して自動的に反応する防御行動だ。


 例えばカウンターのレベルが6だったら連続して六回の攻撃まで剣で弾くことが出来るという塩梅である。


 無論そんなことを水月は知らないし、カウンターなど使っていない。


 水月は自身の技量によってレイの斬撃を弾いたのである。


「ミーティアラッシュ!」


 とさらにボイススキップをするレイ。


 先ほどのスターラッシュすら叶わぬ高速の連撃を放つレイに、水月は片手剣で全てを弾いてみせる。


 同時に水月の側面にまわったアーチャーが、


「ハリセンボン!」


 とボイススキップをしてスキルを放つ。


 一本の矢が千本に増えて水月とその周囲を襲う。


 そして、


「ミーティアラッシュ!」


 とレイが高速の斬撃を放つ。


 水月は片手剣でレイの斬撃を弾きながら、抗魔剣でアーチャーの無数の矢を弾き飛ばす。


「な……!」


 とレイたちが驚愕するのも無理なからぬことだろう。


 ミーティアラッシュは既に水月が防いでいるので驚くに値しないが、アーチャーのハリセンボンは一本の矢を千本に増やして撃ちだす高レベルスキルである。


 その内ヒット判定のある矢だけを選別して全てを切り払うなど常軌を逸している。


 しかしてその驚愕を容認する水月ではなかった。

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