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現代における魔法の定義  作者: 揚羽常時
ザ・ワールド・イズ・マイ・ソング
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プロローグ01

 俺の名前は役水月。


 自分で言うのもなんだがごく平凡な学生だ。


 今日も今日とて私立聖ゲオルギウス学園に通う……のはいいんだが、


「遅刻だーっ!」


 そう、俺は遅刻しかけていた。


 トーストを齧りながら一人暮らしの家を飛び出す。


「あちらへ急げー! やれ急げー!」


 大慌てで学園へと向かう。


 途中曲がり角なんて飛び出す寸前だ。


 エンジン音で確認をとっているから本当に飛び出すことはないけども。


 つまりそういうわけで車が来ていないと確認をとると俺は曲がるべき曲がり角を曲がった(重複表現か?)。


 そして、


「おわ!」


「きゃん!」


 誰かとぶつかった。


 精度を車を認識する程度にしておいたから人の足音までは気付かなかった。


「いてて……」


「いったー……」


 俺はぶつかってきた人間に目をやる。


 そいつは黒いポニーテールのすんげえ美少女だった。


 制服はうちの。


 そして俺とぶつかった衝撃故だろう。


 腰を落として股を半開きにしてスカートからスキャンティが丸見えになっていた。


「…………」


 ちょっと魅入ってしまう俺。


「ちょっとあんた!」


「違う! 見たくて見たわけじゃない!」


「はあ……?」


 何を言ってんだこやつは、という顔をした後美少女は……俺の視線を辿り自身のスキャンティに目が行きつく。


 オーマイゴッド(無神論者だけど)。


 バッとスカートを押し付けてスキャンティを隠すと、


「この変態!」


 と罵ってきた。


「不可抗力だ!」


「だいたいどこ見て歩いてるのよ! 普通曲がり角くらい減速するでしょ!」


「そういうお前はどうなんだ!」


「女性優遇に決まってるじゃないの!」


 呆れ果てた畜生だ。


 ……ってそんなこと言ってる場合じゃなかった。


 遅刻だ遅刻……やれ遅刻。


「すまん。謝る。じゃ、俺はこれで!」


 そう言って素早く俺は通学路を駆けるのだった。


「ちょっと待ちなさいよ! レディにぶつかったお詫びがその程度!?」


 なんか後方から叫んでいたが聞いても面白くなさそうだったので精度を落とす。


 そして何とかギリギリで正門を通過したのだった。


「セーフ……」


 席についた時にはくたくただった。


 そこにチャラく制服を改造した認めたくないが親友であるところの健吾が声をかけてくる。


「なあおい心友」


「なんだ辛友」


「今日うちのクラスに転校生が来るんだってよ」


「ふーん」


 俺は聞き流した。


「センコーに聞いたが女子らしいぜ。きっと美少女だな」


「何でわかる?」


「俺の勘」


 軽薄そうな格好をしている童貞が何かをほざいた。


 そんな折、


「おら、席につけ。ホームルームを始めるぞ」


 担任の教師が入ってくる。


 ホームルームの始まりだ。


 健吾もチェッとか言って自身の席に戻る。


「あー、まずは」


 コホンと担任は咳をつくと、


「転校生を紹介する」


 そう言った。


 だろうな。


 健吾から聞いていたので驚きはしなかった。


「ではリリー=カナン……入りなさい」


「はい」


 澄んだ声がした。


 どこかで聞いたような声だな……なんて精度を高めて聞いていると、


「「「「「……っ!」」」」」


 ザワザワとクラス中が転校生を目にしてどよめいていた。


 うちの制服。


 黒いポニテ。


 顔立ち整った美少女。


「あ……あ……あ……」


 俺は言葉を失った。


 今朝のぶつかった美少女……リリー=カナンは教壇に立ち、


「リリー=カナンです。こんな名前ですが日本人……」


 とそこまで自己紹介しかけて、俺と目が合った。


 俺はポカンとした。


 リリーもポカンとした。


「今朝の変態!」


「なんでだよ!」


 あまりの罵倒につっこんでしまう。


 クラスメイトたちが俺と俺を指差すリリーとを交互に見やる。


「なに? 知り合い?」


「役……羨ましい……」


「ていうか恨めしい」


「水月……お前って奴は……」


 健吾含めたクラスメイト達は俺とリリーの仲を邪推する。


「変態のクラスだったなんて!」


「だから違うつってんだろーが!」


「なんだ。お前ら知り合いか?」


 これは担任の言葉。


「「違います! 誰がこんな奴!」」


 リリーとハモってしまった。

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