表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代における魔法の定義  作者: 揚羽常時
冬のある日の唄
422/545

スノーマジックファンタジー08


「畏れ入らないのですね」


 凜とした声が、響いた。


 女性の声だ。


 声のした方を見やる。


 吹雪の中から、白い人型が現れた。


 ほとんど距離的に、プレッシャーを感じるほど近くだが、そうでもしないと、声の主の全容を、見ては取れないだろう。


 白い髪。


 白い瞳。


 白い肌に白いワンピース。


 どう考えても、猛吹雪に対処する出で立ちでは無いが、水月でなくとも察したろう。


 要するに、


「結界の主だ」


 とまで。


「アークティアか」


 今更だが。


 まるで、


「雪を材料の女性を造りました」


 と、言わんばかりの外見である。


「その金色のオーラは何です?」


「スーパーヤサイ人」


「?」


 アークティアには通じないらしかった。


 当然と言えば、その通り。


 が、特に吹雪に参っていないのは、理解出来るのだろう。


「便利な魔術ですね」


「まぁな」


 まっこと畏れ入らない水月である。


「で」


 水月は問う。


「お前は何なんだ一体?」


「妖精です」


「妖精ね……」


 妖精。


 主に、欧州で信仰されている、アークティアだ。


 人に恩恵を与えたり悪戯したり。


 犬や猫の妖精と云った、愛らしい逸話もある。


 愛らしさで言えば、目の前のアークティアも十分可憐ではあるが、問題はその周囲だ。


 荒れ狂う猛吹雪。


 そして妖精を自称する女性。


「要するに雪の妖精で良いのか?」


「ですね」


 雪の妖精も、肯定する。


「何故俺らを取り込んだ?」


 結界内に、だ。


「単なる悪戯です」


「妖精の面目躍如か」


「ですね」


 くっくと妖精は笑った。


「チェンジリングされてもなぁ」


 水月は、


「さも深刻です」


 と腕を組む。


 もっとも、金色夜叉が、全て裏切っているが。


「遊びませんか?」


「この吹雪の中でか?」


「雪は嫌いですか?」


「好きな方だぞ?」


「では問題ありませんね」


 ニコニコと、妖精は笑う。


「何して遊びます?」


「追いかけっこで良いだろ」


「この吹雪の中で?」


「鬼は俺な」


「譲ってくださると?」


「オンマユラキランデイソワカ」


 水月は、思考のリミッターを外した。


「――迦楼羅焔――」


 宿舎への帰宅途中の街路。


 その路を挟んでいるビルの一角に、迦楼羅焔を放つ。


 灼熱が、具現した。


 不浄を焼き滅ぼす不動明王の背負うソレが、水月の差し出した腕から、解き放たれる。


 ビルの一つが爆砕する。


 破片となって、ビルが完全粉砕されたのだ。


「…………」


 ことここにおいて。


 雪の妖精は、自身の襲った人間の如何を、察してのける。


 つまり、


「殺される」


 と、正しい未来予想図を、思考地図に描いたのだった。


「さて」


 水月は言う。


「十秒の猶予をやろう」


 酷薄の微笑でもって。


「出来る限り遠くに逃げろ。さもないと焼き滅ぼされるぞ?」


 当然、


「雪の妖精だ」


 と云った以上、妖精の体は雪で出来ている。


 雪とは、小さな氷の結晶だ。


 こと熱に於いては、致命的な弱点となる。


 もっとも思考リミッターを外した水月の迦楼羅焔は、雪の妖精でなくとも、脅威であることに相違はないのだが。


「ふわぁ」


 と、真理が感嘆する。


 妖精は戦慄した。


 人間であれば、冷や汗をかいていただろう。


「うにゃー!」


 妖精は、全力で逃げ出した。


 無論ではあるが、無精の水月は追いかけたりしない。


「とりあえず結界を出るぞ真理」


「はいは~い」


 御機嫌に酔っている真理も、大物と言えるかもしれなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ