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現代における魔法の定義  作者: 揚羽常時
冬のある日の唄
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炎と檻のカーニバル14


「結局何だったんだろうな?」


 水月は、鍋をつつきながら、反省会を開く。


「まぁプライドがどうのでは?」


 ラーラがサックリと。


「ですねぇ」


 真理が他人事のように。


「はふはふ」


 忍は、鍋に夢中。


「一応コンスタン研究室のアピールになったんじゃないですか?」


「ラーラはな」


「いやん」


 ラーラが、自恥した。


「水月的にはどうなんです?」


「結果が全て」


 水月に負け。


 忍に負け。


 ラーラに負け。


「コレでどうこう言うのならそっちの方が問題だ」


 と。


 実質的には、その通りなのだが。


 そんなこんなで、鍋を囲んでいる四人は、玄関ベルの音を聞いた。


 ピンポーン……と一つ。


「はいはい」


 と真理が接客。


「ふや」


 と驚く。


 理由は、すぐに知れた。


 客が炎術師であったためだ。


「よっす」


 気さくに声を上げる炎術師。


「役先生。布都先生。ヴェルミチェッリ先生に只野先生」


「リベンジか?」


 水月が問うと、


「いやいや」


 炎術師は、首を振る。


「コンスタン研究室の人外性は身に染みた。俺ではどうにもならん」


 悟ったらしい。


「いいんだがな」


 と水月。


 鶏肉を取って、あぐあぐ。


「お、鍋か」


 むしろ炎術師の興味は、食事に向いたらしい。


「鍋だ」


 水月が肯定すると、


「ご相伴」


 と、炎術師が、提案する。


「構わんが」


 水月は、あっさり受諾。


「いいの?」


「いいんですか?」


「いいのか?」


 かしまし娘が問うが、


「構わんだろ」


 ヘラヘラと水月。


 殊更、構える状況でもない。


 それは確かだ。


「役先生は偉大だな!」


 コタツ机を囲って、炎術師は言う。


「恐縮だ」


 水月は謙遜する。


 心底がどうあれ。


「で、この鍋は何だ?」


「水炊きです」


「ふぅん?」


 とりあえず、


「わからない」


 と云う意味では、納得したらしい。


「コンスタン研究室は奥が深いな」


「人外と言われるのは不本意だが」


「人外だろ」


「…………」


 反論もなく、忍は長ネギを食べるのだった。


 真理は、余っているお椀を、炎術師に差し出して、相伴する。


「どうも」


 と炎術師は言った。


「後戦ってないのはアンタか」


 炎術師は真理を見た。


 至極道理だろう。


「勝てるかどうか?」


 なら、


「無理だ」


 と水月は答える。


 この場合は、炎術師への忠告だ。


「無理か」


「無理だ」


 少なくとも、アンデッドの基本スペックは、途方もない。


 水月。


 並びに威力使徒。


 これらが対抗出来るのは、それなりの理由がある。


 少なくとも、炎術師に、コレは当てはまらない。


 本当に今更だが。


「とりあえず」


 炎術師は言う。


「俺にもついでくれ」


 椀を、真理に差し出す。


「ええ」


 真理も、爽やかに笑う。


 人肌恋しい冬の季節。


 鍋は、優しい温もりだった。


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