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現代における魔法の定義  作者: 揚羽常時
冬のある日の唄
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炎と檻のカーニバル05


「なめてんのか?」


「お前の勝ちで良いから帰れ」


「それだと他の連中が納得しねえんだよ!」


「他の連中?」


「俺が魔術師として役先生に劣っているとみる奴らだ」


「劣ってるだろ」


「それを証明して見せろ!」


「寒い。ウザい。めんどい」


「うーがー!」


「兄貴に喧嘩売る時点でどうかと思うが……」


 忍としても、彼我の戦力差は、把握出来るらしい。


 こと、この面においては、命のやりとりを繰り返してきた人間の方が、嗅覚として鋭い物を持っている。


 水月や忍が、その顕著な例だ。


「とりあえず」


 水月は、テーブル席の一角を指した。


「座らないか?」


 円形テーブルに椅子が一つ追加され、ホットコーヒーとショートケーキの注文が追加された。


「それでどうして周りの連中がどうのって話なんだ?」


 ホットチョコをお代わりして、水月は尋ねる。


「俺を差し置いて役先生が強いって風潮が俺の学校で溢れてる」


「さいか」


 別段、誇らしいわけでもない。


「なら俺に勝ったって吹聴して回れ。俺も否定しないから」


「先輩……」


「水月……」


「兄貴……」


 そろってジト目。


「ほら」


 と炎術師。


「少なくともそっちの知己は納得してないぜ?」


「だから戦えと?」


「んだ!」


「どう思う?」


 水月は、かしまし娘に聞いた。


「クーパー先生の言葉もわからないではないけどさ」


「水月なら苦もなく勝てるのでは?」


「兄貴は強いぜ!」


 かしまし娘は、水月の敗北を、勘定に入れていないらしかった。


「お前らな……」


 水月は嘆息。


「というわけでやるぞ! 役先生!」


「落ち着けクーパー先生」


 水月は、炎術師に一定の遠慮をする。


「戦うっつったってルールは幾らでもあるぞ? どういうルールで俺に勝てば納得するかは決めてあるんだろうな?」


「むぅ」


 ないらしい。


「とりあえず命を賭けて殺し合うぞ!」


「魔術師はイクスカレッジの財産だ。無闇に減らすのは学益に適っていないが?」


「殺されたら俺はそこまでの男だ」


「意気込みは買うが……」


 水月としては、ジョークの類だ。


 言動ではなく状況が。


 タルトをサクリ。


「火の一現たるクーパー先生にもしもの事があればメンツが保てんのだが……」


「気にしないぜ!」


「お前の話はしていない」


 忍と話している気になる水月であった。


「別段現代魔術は強さを求める物じゃないだろ?」


「なら役先生はどうして強さを求めた?」


「そういう風に造られただけだ」


 魔術旧家のしがらみ。


 その一点に尽きる。


 チョコを飲む。


「ちなみに火以外の魔術は?」


「使えん」


 清々しかった。


 天を仰ぎ見たくなる水月。


 屋内であるため、叶いようもないが。


「というわけで決闘だ役先生!」


「少し待てクーパー先生」


「何故だ!」


「喫茶中だ」


「むぅ……」


 一応正論ではある。


 炎術師の目的は、水月の正面粉砕。


 闇討ちや油断に付け入る戦い方では、名誉が得られない。


 それは当人以上に、水月が心得ているため、平然と茶を飲めるのである。


 茶ではなくチョコレートだが。


「受けてくれないのか?」


 少し寂しそうに炎術師。


 どこか飼い主に裏切られた子犬を連想させる。


「別段戦うのはいいが怪我させるのもな」


 今更ではあるが、紛う事なき水月の本音だ。


「その増上慢をへし折ってやる!」


「応援してるさ」


 チョコを飲む。


「じゃあ場所は……」


「そこでいいだろ」


 水月が指をさしたのは、甘味処ロマンスと隣り合う、図書館だった。


 ダアト図書館。


 グリモワールを所蔵している施設。


 当然、場所は広く取られ、芝生の庭もある。


 雨や雪の日はともあれ、天気の良い日は、ベンチでグリモワールを読む学生も、多く居る。


 環境的に広いのだから、魔術決闘としては向いているだろう。


 炎術師としても、


「真正面から叩き潰す」


 がモットーであるため、事項としては上々だ。


 そんなわけで、そんなことになった。


「はぁ」


 水月の嘆息。


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