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現代における魔法の定義  作者: 揚羽常時
RE:ラグナロック ~人々の黄昏~
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怪物と呼ばれる者よ14


 それ以降の干渉も無く、コンスタン研究室に帰る、水月と椿。


 二人揃って、最後の風呂に入る。


 かしまし娘は、異論を唱えるが、


「聞く耳持たん」


 が結論だった。


 南無三宝。


 先に体を清めて、水月は風呂に浸かる。


「どう思う?」


 体を清めている、椿に問う。


「何が?」


 中途経過は大事である。


「仮に教会協会が裏じゃないとして……じゃあなんだ?」


「国連は?」


「どうだろうな」


 肯定は出来ないが、否定もまた出来ない。


 水月としては、


「国連が何を考えているか?」


 は想像の埒外だ。


 魔術師の交流は、魔法メジャーが管理しており、その大元はシルバーマンに帰結する。


 二大財閥の一角。


「くしゃみをすれば負け組総自殺」


 とも言われる、財界に影響を与える……トップの中のトップ。


 もう片方の財閥が、兵器に特化しているため、


「その対処として魔術に傾倒するのも頷ける」


 とは水月も思う。


 が、それが国連には、繋がらないのだ。


「とはいえ」


 水月は、湯に浸かって嘆息。


「教会協会の意図もな……」


 先には、リッチと交戦した。


 次が、グラシャラボラス。


 そして漆黒の狼である。


 どれもこれも神威装置にとっては、利用するより前に、滅却する対象だ。


「敵が本能寺に無いのでは?」


 との理屈は、水月でなくとも、自然な決着と言える。


「でも何で狼?」


 と、洗体している椿。


「先にも言ったが、欧州では悪魔の遣いだからな」


「狼がねぇ……」


 椿は、


「ふぅむ」


 と首を傾げる。


「一神教の三大悪を知ってるか?」


「寡聞にして知らないね」


「悪魔。ドラゴン。吸血鬼」


「あー……それっぽい」


 うんうんと頷く椿だった。


 水月は、握り拳を見せて、指を一本立てる。


「悪魔は一神教にとって忌避すべき存在の総称」


 二本目を立てる。


「ドラゴンは自然悪の象徴」


 三本目を立てる。


「そして吸血鬼は悪に奔った魔術師の総称」


「ふむふむ」


「こと吸血鬼は狼と縁が深い」


「というと?」


「吸血鬼には変身能力があってな」


「便利だね」


「茶化すな」


 指を戻す。


「狼に変身する能力も備えている」


 ピチョン、と、天井の水滴が、落ちて跳ねる。


「吸血鬼の祖先はヴェアヴォルフとも言われている」


「ヴェアヴォルフ?」


「人狼……狼男と言えばわかるか?」


「あの満月の変身したりする……」


「そ。ヴェアヴォルフが月の影響を受ける必然、吸血鬼もそれに倣う。これについては異説あるがな」


 椿が、キュッとシャワーを止める。


「実際に第一真祖……クドラク……な……ん……か……は……」


 そこまで言って、水月の声は、凍り付く。


 そしてその通りだった。


 第一真祖クドラク。


 吸血鬼の元祖であり、漆黒の狼の姿をとる者。


 ある種のルールに通ずる埋葬をしなければ、更に強力になって蘇るイモータル。


 不死の体現。


 どう考えても、今夜の狼が、ソレに該当する。


「やっちまった……」


 頭を抱える水月だった。


「まぁいいじゃないか」


 全身を清め終えた椿が、風呂に入ってくる。


 湯船は狭いため、体を重ねる水月と椿。


「次にまた殺すだけだろう」


「出来れば良いがな」


 ある種の植物の杭で串刺しにするか。


 膝下の腱を切って埋葬するか。


 二つに一つだ。


「そのセイヨウサンザシ……は手に入るのかい?」


「威力使徒は抑止力として持ってるだろうな」


「となれば腱を切って埋葬する……かな?」


「そっちだろうな」


 嘆息。


「今更気づくとは……耄碌したな……」


「まぁ結果論で考えれば大した問題じゃないよ」


 ギュッと湯船の中で、水月の裸体を抱きしめる椿。


「今はただ僕を見て」


 漆黒の瞳には、烈火の情熱が乗っていた。


 そうやって、水月と椿の入浴は、過ぎていく。


 どうなったかは、観測せねば決定できないのが、量子力学である。


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