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現代における魔法の定義  作者: 揚羽常時
RE:ラグナロック ~人々の黄昏~
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祭りの気配07


「水月。水月。起きるんだ」


 椿の声が聞こえた。


 すぐ傍からだ。


「ん……」


 呻いて眼を開ける。


 飛び込んできたのは絶世の美少年の顔。


 渡辺椿。


「おはよ。水月」


 椿は軽やかに笑んだ。


「あー……」


 そういえば、と思い出す。


 とりあえず水月は椿と一緒のベッドで寝たのだ。


 より正確には椿が、


「水月と一緒に寝たい」


 とベッドに潜り込んできたのである。


 特に気にしていないため水月は唯々諾々。


 かしまし娘が、


「ズルい!」


 と当然のように抗議したがまぁ効果は無かった。


 水月とて別段何をするでもないが仮に襲われたら対処療法で済ますだけだ。


 で、目を開ければ椿が寄り添って水月の寝顔を観賞しているのにも納得はいく。


「良い夢は見れたかい?」


「さぁてなぁ」


 ガシガシと頭を掻きながら水月。


「水月の寝顔観察は至福だね」


「喜んで貰えたようで何より」


 自身の寝顔を確認する術は主観的には無いため水月には知りようがない。


 別段自身の寝顔を写真や動画で見せられても困るだけだ。


「水月……」


 ギュッと寝転がったまま椿が抱きしめを強くする。


 水月の腕に抱きついて寝ている椿だ。


「ふふ」


 本当に嬉しそうに。


 蠱惑的な笑みを浮かべる。


「あー……」


 水月は寝起きの頭でボーッとしながら、


「何だコレ?」


 という原点的な疑問を覚えた。


 無論椿の知ったこっちゃない。


 水月と一緒のベッドに寝て、水月の腕に抱きついて、それだけで幸せなのだ。


 ほとんどノリは、


「恋する乙女」


 である。


 実際に一目では女性と疑う美貌の持ち主である。


 ちょうど一目で少年と疑う忍の反対だ。


 そんな愛らしい椿の笑みはオリオン三連星にも勝る輝きだ。


「お前は本当に残念だな」


「ま、良いんじゃないかな?」


「お前良ければ全て良し……か」


「有り体に言えばね」


 クスリと笑む。


「それにしても」


 とは椿。


「水月は朝に弱いんだね」


「無精だしな」


 毎度のことだ。


「ま、僕は水月で楽しんだから別に良いんだけど」


「そうなのか?」


「何したか教えてあげようか?」


「あんまり良い情報じゃ無さそうだ……」


 嘆息。


 後の疲労。


 さりとて目の前の問題が片付くはずもない。


「ふにふに」


 マーキング。


 水月の肩に自身の頬を押し付けて擦る椿だった。


「可愛いなお前は」


 水月としては苦笑しか出来ない。


「水月。昼は付き合って」


「何にだ?」


「鍛錬」


「まぁ構わんが」


「本当かい?」


「嘘と言って欲しいのか?」


「駄目だとも」


「だろーなー」


 そんなわけでこんなわけ。


 水月の今日のスケジュールはそういうことになった。


「あは」


 軽やかに笑う椿。


「先に言っておくが刀は使うなよ?」


 殺されてはたまらない。


 言外にそう言い含める。


「それはもちろん」


 一応自身の能力に一定の理解は持っているらしい。


 元よりそれ故に殺人鬼と化したわけだが。


 今では牙の抜けたワンコである。


「クウーン」


 と水月に懐く。


 尻尾があればパタパタ振っていたことだろう。


「さて……起きるか……」


 腹筋運動の要領で水月は起き上がった。


 ついでに椿も。


「水月……そろそろ昼食が……」


 とキッチンから真理が現れる。


「先輩」


「兄貴」


 宿舎の向こう側からラーラと忍も現れる。


 そしてかしまし娘は、


「…………」


 水月とベッタリしている椿に呆気にとられた。


「何を!」


「して!」


「いるんだよ!」


「……まぁそうなるよな」


 いつも通りと云えばその通り。


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