表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代における魔法の定義  作者: 揚羽常時
RE:ラグナロック ~人々の黄昏~
329/545

プロローグ


「えーと……では会議を始めます」


 真理がおずおずと言った。


 時は昼過ぎ。


 場所はエキストラ・リベラル・アーツ・カレッジ。


 当カレッジを知る人間には、イクスカレッジという略称が浸透している。


 カレッジといっても言葉通りの面積ではなく、一つの都市としての規模を誇る。


 そして何より挙げるべき特徴は「魔法魔術を専門とする研究および教育のための機関」という馬鹿げた設計思想によって成り立っていることであろう。


 北大西洋のほぼ中央に建設された海上都市として機能し、国際化領域に属している。


(……絶海の隔離施設にして核実験場だぁな、ようするに)


 と、役水月はみもふたもなく切りすてるのだった。


 そんな素晴らしく頭の悪い学院の片隅。


 オーロール=コンスタンと呼ばれる新古典魔術師の開いている研究室がある。


 そのゼミで会議が行なわれていた。


 人数は四人。


 コンスタン研究室の生徒全員だ。




 役水月えんのみづき


 コンスタン研究室の筆頭と目されている人間。


 性格最悪で破滅主義者で不精者。


 平和主義者ではあるが、


「耐えかねる堪忍は暴力でぶっ飛ばす」


 を地で行く。


 頭が良い感じにシェイクされており、基本的に危ない人間ではあるが、ある種の人間たちからは好意的に見られるという不思議な魅力の持ち主。


 典型的な古典魔術師であり将来の夢は魔王というものすごく頭の悪い青写真を描いている。




 ラーラ=ヴェルミチェッリ。


 コンスタン研究室のポンコツ。


 イタリア系の美少女。


 魔術の才能を最近開拓しており、水月の影を踏む程度の能力は獲得していた。


 基本的に人畜無害。


 現代魔術師に分類されるが術式そのものは修験道。


 とはいえ修験者……山伏では当然なく、あくまで水月の影を踏んでいる都合上である。


 栄誉あるコンスタン研究室に配属されているだけでも、その才能は敬服に値するだろう。




 只野真理ただのまり


 コンスタン研究室の給仕係。


 ラーラと同じ茶髪だが、髪をリボンで括り、顔立ちも大和撫子。


 こと筆記面において無類の能力を発揮するが、それ故に面倒事を押し付けられる困ったちゃん。


 当人は何とも思っていないので世界は歯車で回っていると言うことだろう。


 神乃マリの芸名でネットアイドルをしておりイクスカレッジにおける人気もそこそこ。


 なお不死身であることを追記しておく。




 布都忍ぬのみやしのぶ


 コンスタン研究室の綺羅星。


 コンスタン研究室三人目の日本人であり中性的な容姿を持つ美少女。


 夏休みの終わりと共に流星のように現れ、年少組でありながらまんまとコンスタン研究室に所属することになった希代の新人。


 魔術旧家である布都の血統であるため本来なら古典魔術師としての才能を持つはずが、その才能を果てしない別ベクトルへと熱を注いだ結果、一種の現代魔術師となった残念な子。


 当人は気にしていないが。




 この四人に教授を加えてコンスタン研究室である。


 そして会議が進行していく。


「人形劇!」


 ラーラが挙手して意見を述べる。


「シールフォー。デシジョンスタート」


「認証」


「ラーラ」


「…………」


「シールブレイク……エラー……」


「何でよ!」


 うがーとラーラが吠える。


「めんどい」


 そんな水月の意見は置いておき、


「一応コンスタン研究室なのでそれなりの成果は上げるべきかと……」


 真理のぐうの音も出ない正論。


「じゃあメイド喫茶!」


「シールフォー。デシジョンスタート」


「認証」


「忍」


「ラーラ」


「…………」


「シールブレイク……エラー……」


「何でだ!」


「だから魔術を絡めましょうよ……」


 司会の真理は嘆息した。


 これで中々苦労人である。


「じゃあセルゲーム」


「シールフォー。デシジョンスタート」


「認証」


「水月」


「…………」


「シールブレイク……エラー……」


「だろ~な~」


 当人も通るとは思っていなかったらしい。


 コーヒーを飲みながら簡潔に諦める。


 他三人は冷や汗をかいていた。


 水月がセルゲームを開けば場合によっては死人が出る。


 それ故に賛同するわけにはいかなかったのだ。


「で、結局どうするんだ?」


「何かもっと魔術っぽいことを全面に押し出せるアイデアはありませんか?」


「と言われてもなぁ……」


「学祭までもう少しですからあまり時間はありませんよ?」


 イクスカレッジにおける学祭……イクスフェスは間近に迫っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ