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現代における魔法の定義  作者: 揚羽常時
ブレンドブレードブレイカー
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禁じられた御手07


 全てを切り裂く零戦が利かなかった衝撃の度合いは大きい。


 そしてそれを待つ暇を餓鬼が持ち合わせているわけでもない。


 金鬼と衝突して零戦の動きが止まるや否や、好機と襲いかかってくる。


「ちいっ!」


 零戦を振るって餓鬼を切り滅ぼす。


 そして、


「――委細承知――」


 ブレードをブレンドする。


「――大和――」


 次に現れたのは大和。


 海を断つ巨剣である。


 刀身は十メートルと規格外。


 鋭い二等辺三角形の鋭角が刃で、その反対にブースターが付いた力業で敵を叩き切る剣である。


「射ぁ!」


 ブースターが点火する。


 凄まじい勢いで振り下ろされた大和を、


「ふむ」


 と金鬼は軽く受け止めた。


 金鬼の足下が陥没したあたり凄まじい威力が金鬼に当てられたのは推定できるが、それでもなお金鬼は飄々としている。


 単純に体が金剛で出来ているため、こと物理に於いては問題にならないらしい。


「――委細承知――」


 ブレードをブレンドする。


「――轟天――」


 次に現れたのはもはや剣ですらなかった。


 刀身は十メートル。


 これは零戦や大和と変わらない。


 規格外のでかさだ。


 そして、


「――――!」


 吠え狂っていた。


 ドリル。


 地を穿つ巨剣。


 即ち轟天である。


 鋭いドリルと表面に無数に点けられたエッジ。


 それらが超高速で回転し、触れる物をフードプロセッサーのように粉砕してのける。


 空の零戦。


 海の大和。


 陸の轟天。


 この三つをブレンドするのがアニメ『ブレンドブレードブレイカー』の主人公の持つブレンドブレードの真骨頂である。


 が、さすがにそこまで水月は忍に期待していない。


 案の定、轟天は金鬼に通じなかった。


「しゃーない」


 水月が空から援護射撃を決意すると、


「待った」


 とコールがかかる。


「ここは僕に任せてくれ」


 気絶から回復したアンネがそう云った。


 正確にはアンネではない。


 カイザーガットマンは自身を、


「僕」


 と言った。


「お前……」


 水月は機敏に察した。


「マリーか?」


「ああ。久しぶりだね友よ」


 くっくとアンネ改めマリーは皮肉気に笑った。


「さて、ではとりあえず邪魔を片しよう」


 マリーがそう云うと、


「――SicutEratInPrincipio――」


 呪文を唱えた。


 本来なら魔力を生み出すはずの入力。


 が、ことマリーにはこの常識が通用しない。


 反魔力の入力。


 要するに万物を再現する魔力と対になる万物を消去する反魔力の顕現。


 圧倒的な虚無の力。


 そしてうじゃうじゃ居た餓鬼は綺麗さっぱり消え失せた。


 文字通りの意味で消え失せたのだ。


 完全なる消失。


 それこそが反魔力……ひいては反量子の効果である。


 当然それは金鬼とて例外ではない。


 が、


「ふむ」


 と呟いてマリーは、


「――SicutEratInPrincipio――」


 呪文を唱えると、足下の空間隔絶を消滅させて落下した。


「は?」


 ポカンとする水月。


 しかし気にすることなくマリーは落ちる。


 さらに、


「――SicutEratInPrincipio――」


 反量子の顕現。


 風を起こして静かに着地する。


「まさか……」


 水月が唾を飲み込んだ。


 そのまさかである。


「とりあえず……」


 マリーは言う。


「色々試させて貰おうか」


「何を……っ!」


 困惑する忍だったが、


「後は僕に任せてくれ」


 不敵に言うマリーに首肯しか返せなかった。


「魔術師か……」


 金鬼が皮肉る。


「いいや。禁術師さ」


 マリーの返答も中々だ。


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