表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代における魔法の定義  作者: 揚羽常時
ブレンドブレードブレイカー
296/545

誰にも優しく愛に生きる人03

「兄貴はブレブレ知らないのか?」


「いや、知ってるさ」


 ブレブレ。


 ブレンドブレードブレイカーと呼ばれるアニメ作品の略称だ。


 巨大な剣を振るって正義を貫く主人公のバトルアクションアニメーション。


 人気もそれなりでコミマの同人誌でもちらほら見受けられた。


 アニメ作品なのだから主人公が格好良いのは当然だが、ヒロインもエロく、だいたい同人誌では慰み者になっている。


 南無阿弥陀仏。


「まさか魔術で再現したのか?」


 他に可能性はなかったが、とりあえず肯定が欲しくて水月は問うた。


「おうともさ!」


 忍は少年らしくニッカリ笑う。


「ブレブレの剣を再現したんだ! うちは剣の魔術の家系だからな!」


「怒られなかったのか?」


「怒られた!」


 だろうよ。


 口にはせず心中ツッコむ。


 布都忍は日本の魔術旧家の一つ……布都家の血統だ。


 布都は古くはフツと読み、物が切られるときの音を現わす。


 その名を抱えた布都御魂を信仰とするのが布都家である。


 当然剣術と魔術を極めることに傾倒した家柄であり格調高く封建主義。


 家主が魔術によるアニメの再現なぞ許可するはずもない。


「だから家出してやった!」


 あっさりと忍は断言した。


「意味分かってんのか……」


 水月の本音はそんなところだ。


 先にも言った。


「鬼に襲われた」


 そんな忍の言葉。


 理由は布都の名前にある。


 日本に於いて神道はやんごとなき御方の統治正当性を主張するプロパガンダだ。


 である以上、神道系の家柄はそれ以外の思想と対立する。


 神仏習合もあるため異教と直接敵対するわけではないが、鬼の類には古くはやんごとなき御方と対立した豪族を骨子としたアークティアも存在する。


 そういう背景を持つ鬼にとって神道系の大家である布都の御曹司は鬱憤を晴らすにちょうどいい相手。


「鴨が葱を」


 な状況なわけだ。


 もっとも水月にしてみれば布都の御曹司に喧嘩を売ることはイコールで間接的な自殺ではないかとも思うのだが。


 本能で生きる類の鬼はその辺のことを理解していないため、発生しては滅ぼされると云うことを繰り返している。


「ていうかコミマにでも現れなくていいじゃんね?」


「同意を求められてもな……」


 水月は頬を掻いた。


「とりあえずソレしまえ」


 大和のことだ。


 結界から抜け出す。


 あるいは結界が支えを失って消失する。


 そんなことになれば大和が公の目に受けられる。


 それは強制検閲の対象だろう。


「――委細承知――」


 そう忍が呟くと光子と化してヤマトは光って消えた。


 同時に結界が崩壊して水月と忍はコミマ会場に戻ってきた。


 突然の出現だが誰も気にしない。


 そういう風に出来ているのだ。


 当然座標は準拠するため場所はコスプレ会場。


「あっつ……」


 外のうだるような日差しが水月には毒だった。


「兄貴! 匿って!」


「何から?」


「実家から!」


「ソレは構わんが……俺の家で良いのか?」


「とりあえず我が家に同人誌置いとくと捨てられるからさぁ。当主とはいえ馬鹿親父に殺意向けちゃったよ」


 あっはっはーと笑う忍だった。


「良い性格をしている」


 水月は苦笑するばかり。


「てなわけで同人誌を保管しとく場所がいるんだ」


「へぇへ」


 水月は受け入れた。


 それから真理と合流する。


「そちらは?」


 真理の誰何。


「布都忍! そっちは?」


「只野真理です。よろしくお願いします」


 とりあえず布都の家については説明しておいた。


「鬼に襲われて大丈夫なんですか?」


「大丈夫!」


 忍はグッとサムズアップ。


 根拠薄弱だが無いでは無い。


 ブレブレの魔術による再現。


 こと力押しなら鬼すら凌駕する。


 ソレは既に証明されている。


 とりあえず、


「鬼を討伐したんだから何処かに名誉を売れるな」


 人を襲う類の鬼や変化を討った場合、その名誉を魔術結社に売って金銭を得ることが出来る。


 マジックビジネスの常識だ。


「とりあえず倭人神職会が波風は立たないだろうな」


 日本の魔術結社の一つだ。


 テキパキ状況を伝えて家出資金を捻出する忍だった。


 とりあえず旅の道連れが増えたらしい。


 そんな事実確認を水月は行なった。


「兄貴!」


「何だ?」


「お腹空いた!」


 脳みそを使って喋っているのか?


 少し疑問に思う水月。


 計画性という言葉には縁の無いさっぱりとした忍である。


 そういうところは弟分としては加点だ。


 とりあえずホテルに戻る。


 ホテルの食事はバイキング形式。


 水月はそこそこ。


 真理は質素に。


 忍は大量に。


 それぞれ食事をとった。


 いくらかのイレギュラーはあったが、とまれコミマの体験は水月にとって悪いことではなかった。


 こう云った業界が日本を支えているとも為れば中々味深いというものだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ