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現代における魔法の定義  作者: 揚羽常時
もしも源義経がエクスカリバーを握ったら
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ヴァンパイアカプリッチオ03

「あー……」


 水月は夕食後に風呂に入っていた。


 毎度毎度の露天風呂である。


 風呂に盆を浮かせて熱燗を嗜む。


 それだけで水月は幸せだった。


「水月」


「水月様」


「役先生」


 纏わり付く三人が居なければ、だが。


 一応水月を含む全員が水着姿ではあるのだが、あまり意味はなかった。


 プロポーション抜群の只野真理は、その乳房の大きさも比較できない。


 プライムは男だが人格上は女性だ。


 なおその人格は葛城さくらを基板としている。


 教師びんびん物語。


 そうには違いないのだ。


「水月様……」


 寄り添うように体を近づけるプライムであった。


 男の娘。


 そう呼んで良い概念だ。


 そして最後にザナドゥー。


 こちらは平均的なプロポーションだが、


「美少女には相違ない」


 と水月は結論づける。


「――現世に示現せよ――」


 ザナドゥーは魔力の入力の呪文を唱える。


 そして演算。


「――ローズワールド――」


 出力。


 魔術が顕現する。


 結界だ。


 ある一定範囲で薔薇の花びらを乱舞させる魔術。


 今日のソレは青色である。


 それも一般的なブルーローズではなく真っ青なコーンフラワーブルー。


 乱舞は浴場を支配した。


 水月が触れようとすると、朝日の前の雪の様に花びらは消失する。


 この辺りは水月の木花開耶と同等だ。


 質量魔術であるが故に、こういった制限は必要なのである。


「見事なもんだな」


 心底から水月は言った。


「役先生ならもっと華麗に出来ますよね?」


「桜を愛でるのは日本人だけだと思うが……」


「そんなことありませんよ」


 ザナドゥーはパチンと指を鳴らした。


 薔薇の乱舞が消え失せる。


「先生の木花開耶を久しぶりに見てみたいです」


「そこまで大した魔術でも無いんだが……」


「それでもです」


「まぁお前がソレで納得するのなら」


 水月は、


「――木花開耶――」


 とマジックトリガーを引いた。


 桜の乱舞。


 それが裏ロンドンを支配した。


 異世界。


 異空間。


 ロンドンに対する鏡像世界。


 その全てを支配して、


「何だかなぁ……」


 水月の木花開耶は空間を蹂躙した。


 桜吹雪。


 そう呼んで良い光景だ。


 幻影でもあるのだが。


「すごいですね……」


 感嘆とするザナドゥー。


 裏ロンドンの全てを支配して桜の乱舞を誇示してみせたのだ。


 これ以上の演出は誰にも不可能だろう。


「だから何だ?」


 と水月は言うのだが。


 さて、


「こんなところか」


 水月はパチンと指を鳴らす。


 同時に桜吹雪も消えせしめた。


「さすが……」


 ザナドゥーは感嘆とした。


「水月の魔術では一番害意が無いですよね」


 真理が言う。


「ですから私との絆というモノですけど……」


 プライムが妄言を吐く。


「男に興味はねえよ」


 容赦ない水月。


「ああん」


 とプライムは悲しげに体を寄せる。


「水月様は意地悪です……」


「殺されないだけマシと思え」


「なんだかんだで役先生は優しいですね」


「何処を見たらそう思える?」


「仮に私が役先生なら即座にプライム先生を殺してますよ?」


「まぁ殺してどうなるもんでもないからな」


 ケッと水月はふてくされた。


 図星を突かれた。


 そうには違いないのだ。


 後はどうすればいいのかと云うテーゼのみだ。


 まだ葛城さくらには遠い。

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