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転校生は魔法使い07

「はふ」


 僕は湯船に浸かった。


 洗髪および洗体は白雪さんがやってくれた。


 その白雪さんは生まれたままの姿で体を洗っている。


 豊かな胸は興奮を覚える。


 引き締まった腰は垂涎に値する。


「白雪さん……」


「何でしょう?」


「水月の話は本当なの?」


「まぁ嘘であるのが一番良いのですが」


 それはそうだけどね。


「でも吸血鬼って……」


「信じられませんか?」


「そういう白雪さんは信じてるの?」


「警戒には値しますが……」


 シャワーを浴びながらそんな風に言ってくる。


 吸血鬼ねぇ。


 半信半疑。


 いや、疑いが八割を占めるだろう。


 仮に肯定しても白雪さんを間接的に狙っているという意味がわからない。


 メイドさん萌えなんだろうか?


 でも美少女……女の子って言ってたね。


 そっち系かは的外れらしいし。


 で、何で水月がそれを覚ったのかも気になる。


 結局僕の家に(短期間とはいえ)住み着くことになったし。


「夏さん。難しい顔してます」


 裸体の白雪さんが僕のすぐ横に座った。


 湯船の中。


 白雪さんは僕の腕に抱き着いた。


 ふにゅん。


 ムニュウ。


 二の腕が幸せ。


 六根清浄。


 六根清浄。


 生憎ともう一人の僕は正直だったけど。


「抱いてくださって構いませんよ?」


 つぶらな瞳で僕を見ないで!


 自身の劣情に折り合いをつけるのも大変なんだから。


「夏さんは実直ですね」


 クスと白雪さんは笑った。


「勿体ない気分」


 僕はプイとそっぽを向いて吐き捨てる。


「わたくしは何時でもいいですよ?」


「僕がダメなの」


「そうでしょうね」


 分かられちゃってるらしい。


「そんな夏さんが大好きです」


「水月なんか僕と比べることも烏滸がましいほどの美少年だよ? だから白雪さんは泊めたんじゃないの?」


「そんなことありません!」


 白雪さんは焦ったように声を張り上げた。


「わたくしが仕えるのは夏さんのみです!」


「本当に?」


「本当に……です……」


 僕の拒絶を怖れる。


 そんな声色だった。


 憂いとも取れる。


 相も変わらず。


 この口調に僕は弱い。


「わかったよ」


 スッと濡れた白雪さんのサファイア色の髪を撫ぜる。


「信じる」


「光栄です!」


 心底嬉しそうな白雪さん。


 どんな神経をしていれば水月より僕を選べるんだか……。


 それを言ってもしょうがないので黙ってはいるけどさ。


 それにしても、


「吸血鬼ねぇ」


「吸血鬼です」


 深刻に頷かれる。


 少なくとも僕をからかっている様子は見受けられない。


「日光に弱いということは昼間は大丈夫なの?」


「はい。おそらく」


 コックリ。


「じゃあ警戒するのは夜のみだね」


「ですね」


「それも招き入れなければ屋内には入れないんでしょ?」


「ですです」


「ならすぐに諦めるんじゃないかな?」


「そうなれば面倒は無いんですが……」


「そうじゃない可能性がある」


 と?


「序列が分からないためどこまで警戒すべきかもわかりませんし……」


「序列?」


「要するに強さの値です」


「はあ」


 ポカンとする僕だった。


「一応色々と吸血鬼の業界にも貴族主義があるんですよ」


 白雪さんは悪戯っぽくそう言った。


 ふにゅん。


 ムニュウ。

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