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転校生は魔法使い04

 午前中で授業は終わり午後から文化祭の準備。


「文化祭?」


 購買部のコーヒー牛乳を飲みながら水月は眉をひそめた。


「そう!」


 と女子一同。


「ふーん……」


 特に水月は興味を持たなかったようだ。


「せっかくだから文化祭楽しもうよ!」


 女子一同。


「お前らのクラスは何すんの?」


「メイド喫茶!」


「出番ねーじゃん」


 真理である。


「どうせだから思い出作りに参加してみない?」


 女子一同。


「メイド服なんぞ着ないぞ?」


 さもあろう。


「役くんは執事服を着て執事役なってくれると嬉しいな!」


 女子一同。


「はあ」


 ほけーっと情熱の無い応答。


 何を意識してるでもないらしい。


「役くんが執事役やってくれたらめっちゃ客来るよ?」


「めんどい」


 ばっさりと一刀両断。


「そう言わず!」


 女子一同。


「だいたい執事服って……」


 コーヒー牛乳を飲む水月。


「燕尾服を作って文化祭に間に合うのか?」


 たしかにスケジュール的にはきついよね。


「大丈夫!」


 女子一同。


「何が?」


 口をへの字に歪める水月。


「ウルトラCがあるから!」


 まさか……。


「瀬川さん!」


 女子一同。


 やっぱりか。


「何でしょう?」


 聡い白雪さんの事だ。


 悟っているのだろう。


 小五とロリだと犯罪だけど二つ合わせれば『悟り』になるという。


 というネタは置いといて、


「役くんの燕尾服作って!」


 そんな女子一同。


 まぁ神田川さんのメイド服を一日で仕上げた白雪さんだ。


 仕事の早さには定評がある。


「お前も良い面の皮だな」


 飲み干したコーヒー牛乳の紙パックを握りつぶしてゴミ箱に投げ入れる水月。


「まず参加する意思はあるんですか?」


 白雪さんは根本的なことを聞いた。


「ヒフティヒフティってところだな。祭りは好きだが人込みは苦手だ」


 サラリと言ってのける。


「…………」


 大物だ。


「で?」


 白雪さんは誤魔化されなかった。


「参加するんですか? しないんですか?」


「するよ。するする」


 棒読みで水月。


「では採寸をとってしまいましょう」


 白雪さんはメジャーを手に持った。


 それからペタペタと喪服越しに水月の体を触るとメジャーを当てて採寸表にデータを記してのける。


「ふむ」


 と白雪さんは唸った。


「細マッチョですね。何かスポーツを?」


「特に自慢することはやってねぇな」


 なんというか……。


 はぐらかすような口調だった。


 嘘はついていない。


 しかして本質をついていない。


 そんな言葉。


「そうですか」


 白雪さんも覚ってはいるんだろうけど、特に何も言わずメジャーで採寸していく。


 これは後から聞いた話だけど、


「採寸なんてのは仮のこと」


 らしい。


 白雪さんは、


「相手のシャツ姿を見ればだいたいの寸法は見切れる」


 と人外なことを言ってのけた。


「パねぇ」


 と思ったけどプロならば普通の事らしい。


「白雪さんはプロなの?」


 と問うたら、


「まぁ色々ありまして」


 と返された。


「?」


 クネリと首を傾げてしまう。


 その場は何でもなさそうに流されてしまった。


 時間を遡行して現在。


 メジャーを当て終わる白雪さん。


 採寸表と自身の勘とを調整していた。


「まぁ大丈夫でしょう」


「間に合うのか?」


 問う水月に、


「ええ」


 サラリと返す白雪さんだった。

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