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転校生はメイドさん12

 目を覚ますと昼だった。


「…………」


 時刻は正午。


 十二時を少し過ぎたあたり。


「くあ」


 欠伸をして眠気覚まし。


 ちなみに今日は日曜日。


 休日だ。


 別段白雪さんに何も命じてはいないけど、休日と云うこともあってか僕が自然と起きるに任せてくれたのだろう。


 盛大な寝坊だけど別に誰にとやかく言われるわけでもない。


 日曜に限って言えば文化祭の準備もお休みだしね。


 ダイニングに顔を出す。


 メイド服をかっちり着こなした白雪さんがテーブルについて新聞を読んでいた。


 両親が亡くなった後どうやって新聞の解約をするのかわからなくて困っていたけど白雪さんにとっては情報ツールとなっているようだったため継続してとっている。


 どうせ痛む懐は白雪さんの支度金からだ。


 テレビを付けてニュースを見ればいいんだろうけど白雪さん自身は、


「情報ツールとしては新聞の方が向いてます故」


 とのこと。


「おはよ」


 と僕が声をかけると白雪さんは新聞をたたんで立ち上がり、


「おはようございます。夏さん」


 と慇懃に一礼した。


「昼食をおとりになられますか?」


「ん~」


 少し悩んだ後、


「外食にしない?」


 そんな提案。


「夏さんがそう仰るなら」


 了解は簡単にとれた。


 そんなわけでショッピングモールへ。


 僕の着替えは白雪さんが手伝った。


 白雪さん自身はメイド服のまま出ようとしたので慌てて止めた。


 結果として先日にも着たワンピースに着替えてのこと。


 それからモールの外食店の並んでいる一角を回って、胃の具合と相談するに回転寿司が良いだろうということでそうなった。


 自身の食べる量が好きに調整できるのが利点だ。


「言ってくださればわたくしが握りましたのに」


 ありえないことを平然と言う辺り白雪さんだ。


 が、


「言葉通りなのだろう」


 と思わせる雰囲気が確かにあった。


 器用な白雪さんの事だ。


 本当に寿司も握れるのだろう。


 けど問題が発生する。


 家庭で寿司を握れば食材があまりにも余る。


 駄洒落じゃなくてね。


 一貫しか食べないのにその刺身をブロックで買うのも如何なものかと思うわけだ。


「ではせめて本当の寿司屋でもよかったんですよ?」


 十億円あるしね。


 けど小市民には回転寿司の方が気楽でいいのさ。


 そう言うと、


「そんなものでしょうか?」


 白雪さんはクネリと首を傾げた。


 僕はイクラをもむもむ。


「昼食後はどうしましょう?」


 寿司を嚥下した後、白雪さんは尋ねてきた。


「ええと……」


 としばし気後れした後、


「良かったらなんだけど……」


 そんな前置き。


「わたくしに遠慮する必要は夏さんにはありませんよ」


 白雪さんは微笑んでくれた。


「じゃあ。午後からはデートしない?」


「はやや!」


 白雪さんは真っ赤になった。


 うん。


 可愛い。


「お財布には幾ら入ってる?」


「二十万ほどですが……」


 僕から、


「あまり大金を持ち歩かないで」


 と命令されているため白雪さんはお金の扱いに慎重的だ。


 浪費豪遊は僕の胃を痛めるだけだから。


「まぁデート資金には十分か」


 僕がそう言うと、


「わたくしでいいんですか?」


 そんな白雪さん。


 こっちのセリフだけどね。


「白雪さんこそ僕でいいの?」


「畏れ多い事です。感涙にも値します」


「光栄だね」


 苦笑してしまう。


「じゃあとりあえず」


 僕はいったんそこで言葉を切って赤エビを食べる。


 咀嚼嚥下。


「ショッピングモールでダラダラした後、夕食の買い物をしてから帰ろっか」


「夏さんの仰る通りに」


 そゆことになった。


 とは言ってもアミューズメントコーナーを回ったり本屋で冷やかしたりだけど。


 途中何度か、


「夕餉にリクエストがありましたら遠慮なく仰ってください」


 なんていつものやりとりもあった。


 ゲームは白雪さんが空恐ろしいほど強かった。


 特に格ゲー。


 特級の美少女である白雪さんが台についてプレイヤー相手に十八連勝。


 ゲーセンの客たちの臨時的アイドルにもなった。


 ラスボスを倒して座を離れると拍手が起こったほどだ。


 そんなこんなでデートを楽しむ僕たち。


 白雪さんの新たな一面が見られただけでも特筆に値するだろう。

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