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転校生はメイドさん04

 放課後のホームルーム。


 二学期最初のイベントである文化祭の準備……の前段階の話し合いと相成った。


 僕はサボっていたけど始業式の日から話は進んでいたのだろう。


 正確には会議が進んでいて話は一歩も進んでいないようだったけど。


 何故かと云えば出し物がいまだ決まっていないためだ。


 どちらにせよ興味の対象外。


 なにをするにしても億劫の一言で片が付く。


 無論反動的な楽しみもある。


 白雪さんと文化祭デート。


 出来ればいいなぁ。


 白雪さんにも都合はあろうけど。


「出し物のアイデアを考えてこられたでしょうか?」


 司会進行役が問う。


「はい!」


 と男子の一人が挙手した。


「メイド喫茶とかどう? 瀬川さんなら満員御礼だと思うけど」


 本物のメイドにメイドの仮装をさせるのかしらん?


 ツッコミは野暮だろうけど。


「賛成!」


「ナイスアイデア!」


「白雪さんのメイド姿!」


「見てみてぇ!」


 ちなみに僕は既に見ています。


 虚しい優越感だった。


 ともあれ熱は伝搬する。


「メイド喫茶」


 なるサブカルチャー文化も文化祭には適応している。


 女子たちも存外乗り気だった。


 メイド服や仮装に興味を持った生徒が一定数いるらしい。


「ではメイド喫茶で構いませんね?」


 反対意見は出なかった。


 そんな感じに決まった。


「では次に準備と配役ですが……」


 飲食店を披露するクラスは検便をしなければならない。


 これには大多数が難色を示したけどメイド喫茶自体はポシャらなかった。


 男子は、


「白雪さんのメイド服を見るためなら……!」


 的な葛藤を抱えていた。


 気持ちはわかるけどなんともなぁ。


 そんなわけでクラス三十人から役割を適応させる。


 僕は雑用を選んだ。


 というか他に選ぶべきものもない。


 接客はメイド喫茶であるため女子が担当し、メイド服の調達も女子がメインだ。


 男子は裏方並びに雑用係と相成る。


 僕の意見を聞いて黒板の『雑用』の欄に蝉川と書かれる。


 次に意見を求められたのは右隣の白雪さん。


 瀬川白雪さん。


「瀬川さんは当然接客よね」


 さも当然。


 そんな空気。


 が至極あっさりと、


「嫌です」


 と白雪さんは撥ね付けた。


 だろうね。


「え?」


 と司会進行役。


 拒否されたことに対して意識が追い付いていないらしい。


 駄目押しとばかりに白雪さんが言う。


「わたくしは雑用がやりたいです」


「理由は?」


「表舞台に立ちたくないからです」


 まったく脈拍変わらず。


 というか白雪さんのメイド服姿が見たいがためのメイド喫茶なのに、当人が空気を(あえて)読まないという暴挙。


「でも白雪さんは接客に回ってほしいんですけど……」


「男子の視線がいやらしいからやりたくありません」


「「「「「…………」」」」」


 一分一厘反論の余地のない言葉だった。


 気まずい空気がクラスを覆ったけど、白雪さんにとってはそんな事情こそ知ったこっちゃなかった。


「雑用でお願いします」


「衣装担当でいいですか?」


「ダメです。夏さんと同じ雑用にしてください」


 あちゃあ。


 とそこに、


「ちょっと待った」


 冷や水。


「瀬川さんは接客に回すべき」


 男子生徒の一人だ。


「嫌です」


 白雪さんはけんもほろろ。


「文化祭はクラス全員で取り組むべきだ」


「それで?」


「個人の我が儘で文化祭の出し物のクオリティを下げていいわけがない」


 ふむ。


 一理ある。


 が、このやりとりは白雪さんの決定的な言葉を引き出すだけだった。


「わたくしは夏さん以外の人間に奉仕したくはありません」


 僕が吹き出したのもある種当然。


「蝉川が……?」


「ええ」


 涼やかに言葉を紡ぐ白雪さんだった。


 気後れが少しも見て取れない。


「あなたたち……男子生徒の煩悩と欲情の供物になってやれるほどわたくしは寛容ではありませんよ?」


「誤解だ!」


「ならわたくしが雑用に回っても問題ありませんね」


「あ」


 そういうことになるのだった。

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