バイオレンスカウンター09
「はあ……」
ポカンとするアシュレイ。
「ジュワユーズ……贋作……レプリカでしたっけ?」
「然り」
「それがチャーマーズアクチュエータということはわかりましたの」
「良かれ良かれ」
「では他にもマジックアイテムの分類は存在しますの?」
「する」
簡潔に水月は頷く。
「するんだ」
と真理が肯定する。
「おいおい」
水月が呆れたように真理を見る。
「まさかお前も知らんのか?」
「それは知りませんよ。魔術師でなかった頃の私は魔術の基礎の講義しか習ってきませんでしたから」
「馬鹿が二人に増えた……」
本音を吐露する水月。
「聞き捨てなりませんよ」
真理が抗議し、
「聞き捨てなりませんの」
アシュレイが抗議する。
水月は、
「はぁ……」
とうんざりと溜め息をつくと、
「マジックアイテムにはいくつか分類があるんだよ」
そう説明した。
「分類……ですの?」
アシュレイの確認に、
「然り」
確たる言葉で水月は返す。
「で?」
と真理。
「どういう分類が存在するんですか?」
首を傾げる。
「ええと……」
と天井を眺めながら水月は指折り数える。
「チャーマーズアクチュエータだろ」
「…………」
「マンアークインタフェースだろ」
「…………」
「ウィッチステッキだろ」
「…………」
「他にもアークコネクタにインテリジェンスソードにレジェンドクラスにホーリーレリックにアナザーアスペクトに……ああ、もう面倒くさい」
そして数えるのを止めた。
「つまり色んな分類がマジックアイテムには存在するんだよ」
「チャーマーズアクチュエータはその一つ……と?」
真理の問いに、
「そゆこと」
と水月は頷く。
「で、できれば覚えておいてほしいのはチャーマーズアクチュエータとマンアークインタフェースとウィッチステッキの三つだな」
「チャーマーズアクチュエータ……」
「マンアークインタフェース……」
「ウィッチステッキ……」
真理とアシュレイとシアンが呟く。
「色々と言ったが……基本的にマジックアイテムについてはチャーマーズアクチュエータとマンアークインタフェースとウィッチステッキについて理解を深めていれば問題は無いと言っていい」
「「「…………」」」
真理とアシュレイとシアンが沈黙する。
「チャーマーズアクチュエータについては先ほど言ったな?」
「構成不変の原則を用いた魔力を供給することで魔術という出力を吐き出すためのマジックアイテム……」
そんな真理の確認に、
「そ」
頷いて水月は言葉を続ける。
「マンアークインタフェースは名前通りだ。人間とワールドバックアップたるアークとを繋ぐインタフェースだ」
「マンアークインタフェース……」
「そゆこと」
「…………」
「つまりアークと自身とを接続して仲介し、持ち主に聖術を与えるマジックアイテムの総称だな」
「…………」
「魔力を用いず魔術……この場合は聖術か……を行使できる故に重宝されているマジックアイテムだ」
「はあ……」
ポカンとするアシュレイ。
「最後のウィッチステッキについては既に知っているだろう?」
アシュレイを見ながら水月は問う。
「魔術的細工の無いマジックアイテム……ですの」
「他には?」
「魔術を使うにあたって条件付けをするために用いるマジックアイテムの総称……ではなかったの?」
「正解」
水月は肩をすくめる。
「つまり魔力を込めて扱うのがチャーマーズアクチュエータ」
「…………」
「魔力を用いないでも扱えるのがマンアークインタフェース」
「…………」
「そのどちらでもない条件付けのためにだけ存在するマジックアイテムがウィッチステッキってわけだ」
「さっき言っていたアークコネクタにインテリジェンスソードや諸々の分類は覚えなくともいいんですの?」
アシュレイの問いに、
「然り」
水月は肯定する。




