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プロローグ
歓喜に満ちた顔。恐怖でそらされる瞳。憐れみ、あるいは侮蔑の眼差し。
理不尽に与えられる使命も、請われる愛情も、無条件に求められる力も、なにもかも。
えぇ慣れました。なんの新鮮味もありません。
そうですか、またですか。
この頃はなかったから油断してました。
いやらしく付きまとう煙に、足元で光り輝く円陣。
焼けたような匂いに甘ったるい香りが混ざり、非常に不快です。
下卑た眼差しで薄ら寒い微笑みを浮かべる小太り中年おじさんも、目の前に立つ無駄に美形なお兄さんたちも、みんなみんな不快でなりません。
わかってます。『ここはどこですか、あなたは誰ですか』なんて野暮なことは聞きません。
えぇ、そうです。慣れっこですから。
だから、簡潔にわかりやすく教えてくださいね。
私だって、早く用事を終わらせて帰ってゆっくり縁側でお昼寝をしたいのです。
そして、私は今回も同じ言葉を投げかけます。
笑顔でにっこり。
「ご用件をどうぞ。」