第十四話
続いて編集しました!!
おかしな点などがありましたら感想のほうでご指摘をお願いしますm(_ _)m
とうとう大砲の射程範囲に入ったようだ
軍艦から空気を切り裂くような爆音を鳴らして砲弾を撃ち出している
それから若干の間を置いて雨のように砲弾が降り注いでくる
魔物になって動体視力が飛躍的に向上したオレは何とか砲弾を避けているんだが・・・・・・・
やはりと言うべきか、リクは規格外だ・・・・・・
飛んでくるオレが避けきれず当たりそうな砲弾を空中で蹴り飛ばして海に軌道を変えると言う離れ業をしている
コイツがこれ以上進化したらどうなるんだろうな・・・・・・・・
まあそんなことをゆっくりと考える暇もなくオレは砲弾を避け続ける
周りの魔物たちは格が低い魔物は砲弾を食らったらひとたまりもない様で、避けているようだが
避けきれない奴は砲弾に当たって見るも無残な状態になってる
それに対して、格が高い魔物は一応砲弾を避けているけど流石に一撃くらいなら大丈夫なようで
当たってもダメージを感じさせずに道を駆けている
中には砲弾に当たり過ぎて倒れてしまう奴もいるようだけど・・・・・・
空は砲弾なんて当たらないかと思いきや空を埋め尽くすように飛んでいるから避けられずにどんどん
撃墜されていっている
高位のドラゴンとかは何か障壁を張っているようで当たりそうな砲弾が軌道を当たる直前で変えている
もちろん軌道が変わった砲弾は別の魔物に着弾!!
哀れ・・・・・・名もわからない魔物よ・・・・・・
海も空と同じでほとんどの魔物が海面から顔を出しているので砲弾の餌食になっている
海面から大きな影が見えるので大物が下に潜っているから格下が下に潜れないんだろう
どんどん魔物の沈んでいっている
逃げ場が少ない上で軍艦からの砲撃は避けるのが難しく、かなりの数の魔物が死んだようだけど
それでも後ろから続いてくる魔物もかなりの数でそこまで減っているように感じない
すると次は魔法で強化された弓や魔法が飛んできた
それと同時に後ろの軍艦に魔力が収束し始めているのがオレには見えた
本格的に危ない
オレはリクに近くに来るように呼び掛ける
リクはオレの呼び掛けにすぐにオレの元に駆けつけてくれた
口で話すのは無駄が多いから全部念話の様なもので指示を出す
(シバラクノ アイダオレヲ セオッテ オレヲマモッテクレ)
するとリクはわかってくれたようでオレに近づいてきたのだがコイツは予想外のことをしてきた
なんと所謂お姫様抱っこをしてきたのだ
コイツをぶん殴ってやろうと思ったけど時間が無いから取り敢えずは我慢をする
あとで覚えてろよ・・・・・・・
オレはすぐに目を瞑ってイメージをする
イメージは兵士達が持っていた大盾だ
形を鮮明にイメージする模様とかはどうでもいいから輪郭だけを思い出す
大きさや幅は俺たち2人を覆える程度
後は自分なりの盾に作り変えていく、力を左右に受け流すために湾曲した方がいいだろう
そうやってオレの頭にはハッキリしたイメージの盾が浮かび上がる
後は魔力を押し流して形を具現化させるだけだ
オレは少し目を開けてみる
軍艦への魔力の収束が既に止まっていた
オレはすぐに魔力を押し流して盾を具現化させる
すると一秒もせずに力の暴力ともいうべき魔力の濁流が押し寄せてきた
オレはあまりの圧力に無意識に全身に力を入れる
歯を食いしばって魔力を大量に流し続けて必死に盾を維持する
これはキツイ、キツ過ぎる
必死に魔力の濁流が去るのを待ち続ける
あまりにキツくて涙まで出てきた
するとリクが抱きしめるように腕に力を入れてきた
するとどうだろう
さっきまで途轍もなく辛かったのが若干ではあるけど楽になった
今ほどリクが力強く頼もしく見えることはないだろう
オレは改めて力を込める
そうやって数十秒するとやっと魔力の濁流は去った
周りを見てみたが、周りにいた魔物のほとんどが消し飛んでいた
一応生き残っている魔物もいるようだけど満身創痍と言った状態だ
空のほうも低空を飛んでいた魔物は軒並み消し飛んでいて、ドラゴンですら羽が傷つけられて地面に降り立っている
海のほうは道を照準に向けていたことでそこまで減っていないがオレが受け流したことで範囲がそれなりに広がったのだろう
前のほうは無傷なのに後ろは不自然に魔物がいなくなっているところがある
自分の後ろを見てみると、他と比べると圧倒的に生き残っているものが多かったが
それでも身体の何処かを怪我しているものがほとんどだ
かく言う俺も魔力の使いすぎでヘロヘロだ
けどまだ倒れるわけにはいかない
改めて気合を入れて前を見据える
すると魔物たちは魔力の濁流が止むのを理解して咆哮を上げて、すぐに人に向かって駆け始めた
オレもリクに降ろしてもらって自分で駆け出そうとするがなかなかリクが降ろそうとしない
オレはリクに降ろすように目を向けるがリクはこっちをジッと見ている
一応砲弾とか弓矢とかが飛んでくると避けているから周りは見えているんだろうけど目をオレに向けたまま外さない
何か気恥ずかしくなってオレはリクの頭を叩いて無理やり降りる
そしてオレは他の魔物と一緒に駆ける
少し後ろに目を向けるとリクはちゃんと着いてきているようだ
それを確認してオレは前に目を向ける
もう人と後数分で接触するくらいの距離にまで近づいた
人のほうも気を引き締めているようで明らかに雰囲気が変わってきてる
周りの魔物もあと少しで人にぶつかるので興奮は最高潮にまで高まっていた
そんな中、オレは作戦を実行に移す絶好の機会を図るために待ち続ける
その時兵隊の後ろのほうで急に魔方陣が展開されて空の魔物を薙ぎ払った
続いて幾つもの陣営から魔方陣が展開されて下位の魔物を打ち落としていく
高位のドラゴンたちはあまり効いていない様だが下位のワイバーンたちはそうはいかない様で必死に避けようとしている
海のほうでは魔方陣の展開はないものの急に何mにも渡って海が凍りついた
下に潜っていた巨大な魔物も海面に姿を現した
ドラゴンだ
海だから水竜と言った所か
姿を現したってことは恐らくこの氷が海の深く・・・・・・或いは海のそこまでいっているのだろう
人ヤバ過ぎねぇ?
海面に姿を現した水竜に向かって砲弾が一斉に降り注いでいる
水竜は歩くことには不慣れなようでなかなか氷の上を進めていない
その間にありったけの砲弾が竜に着弾している
始めのほうは平気なようだったが魔法も竜に降り注ぎ始め、とうとう水竜は倒れて動けなくなってしまった
その間に比較的素早い魔物が続々と氷を乗り越えていっている
あまりのことに思考が停止しそうになったが兵隊の戦列がだいぶ近づいていることに気付いて頭を切り替える
もうあと少しってところでオレは【火の玉爆弾三号】を空中に100個くらい作り出して、人に向けて放った
いきなりの魔法に人の陣営に動揺が奔っているのが聞こえてくる
あれ?
もしかしてオレ、とんでもないことをしたのか?
けどもう考えている時間なんてない
【火の玉爆弾三号】を左側の戦列の中央部と前列に落とす
人の方は慌てて身構えるが火の玉が一人にぶつかると数人を巻き込んで爆発した
あまりのグロさに吐きそうになるが我慢する
他の火の玉もそこら中に落ちては爆発して人の絶叫が聞こえてくる
耳を塞いで何処かに逃げ出してしまいたい衝動をどうにか抑えて前を見続ける
左側の戦列は既に混乱してぐちゃぐちゃだ
中央部の兵士にもそれなりの被害が出ているようで農民を抑えられないようだ
多くの農民が逃げようと後ろに向けて走りはじめる
それに釣られて他の農民も逃げ始めて戦列は完璧に崩壊した
後ろの兵士がどうにか押し留めようとしているが農民達も生きるために必死になって逃げようとする
そうやって押し合ってるとこに咆哮を上げた魔物たちが突っ込んでくる
魔物が人を踏み殺したり、一口で丸呑みや、口で咥え空に放り投げたりと殺戮が始まった
オレはそれから目を逸らさずに見続ける
これはオレがやったことの結果なんだから目を逸らしちゃダメだ
右の戦列を見てみると大盾はかなり硬いようで自分の2、3倍はある魔物を押し止めている
そして動きの止まった魔物を後ろから槍で突き殺したり、弓や魔法を放って徐々に減らしている
しかし後ろの魔物たちは戦列の崩壊したこっち側に流れ始めた
それに兵士は対応しようとするけど少なからずの魔物が突っ込んできて未だに対応できていない
そしてオレはリクに指示を出して行動を始める
手始めに手元に魔力で槍を作ってみる
流石にさっきの火の玉爆弾は目立つから目立たない方法で暴れるか・・・・
複雑にイメージをするのは面倒だから自分の身長程度の先の尖った棒をイメージする
ただの先が尖っただけの棒だから作るのは楽だ
手の中に作り出すと長い黒い棒が現れる
徐に横に走っていたウルフの首にそれを突き刺してみる
いきなりのことに対応が出来なかったことと当たり所が悪かったんだろう
一突きでウルフは絶命した
魔力ってのは恐ろしいものだと改めて思う
このオレが適当にイメージしただけの棒なのにあまり抵抗無く突き刺せてしまうのだ
オレの手には突き刺したときの肉の感触がまだ残ってる
吐き気を何とか堪える
今は堪えなきゃ・・・・・・・
今堪えないと立ち直れなくなる・・・・・・・
オレはその槍で他の魔物に突き刺し始める
リクの方に目を向けると魔物の首に拳を叩き込んで一撃で首の骨をへし折って地面に沈めている
アイツは何の心配もいらねぇな・・・・・・・
それから結構な時間が経った
人も態勢を立て直したようで隊列を組んで魔物と戦っている
しかし、魔物たちは未だに暴れまわって人の戦列を蹂躙している・・・・・・
オレは出来るだけ足元を見ないようにしながら魔物を殺していく・・・・・・
なぜなら足元には人の変わり果てた死体や魔物の死骸がゴロゴロ転がってるから・・・・・・
オレは必死になって魔物を殺し続ける
この戦列を突破して人の大陸に上陸したとしても今ここにいる魔物まで上陸しては此処まで来た意味が無いからだ
それにオレはこれ以上人が死ぬところを見たくない・・・・・
けど生きるためならまたオレは人を殺してしまうかもしれない
矛盾しているとは思うがそれでもオレは可能な限り人を殺したくないし、人が殺されるところなんて見たくも無い
だからオレは周りの魔物を殺す
最初は自分のレベルアップのためとか考えてたけど、考えが大幅に変わった
こんなのもう嫌だ
オレのせいで何百、何千、もしかしたら何万もの人が死んだ
目の前で悲鳴を上げながら死ぬ人、あまりの痛みに絶叫を上げながら苦しむ人、悲鳴すら上げられずに殺される人
魔物に人がどんどん殺されていく
人も魔物をどんどん殺していく
そしてオレも魔物を殺していく
もはやオレの中何かが堪えきれなくなってきそうだ
その時オレははじめて頬を伝う滴に気付いた
オレはこんな状況なのに魔物でも泣くことは出来るんだなと呑気に感心してしまった
そこでオレは辺りを見回してみる
するとさっきより周りに立っていた魔物が少なくなっていた
それと同時に人も魔物以上に少なくなっていた
そろそろ潮時だなと感じたオレは少し離れたところでまだ暴れてるリクを呼び寄せて人の戦列の突破を図る
人の陣営もかなり疲弊しているようで兵士一人ひとりに疲れの色が見える
こっちに意識を向ける余裕はないのを確認してから、オレはオレとリクの2人を包める程度の魔力の球体を作って海に飛び込む
予想通りだ
海の中でも水は魔力の壁に防がれて中には入ってこないし、息をすることも出来る
けど中の空気が無くなったら危ないから急いで陸に向かって移動する
何処かに海岸があればいいんだけどな~
そんなことを考えながらリクと一緒に戦場から逃げた