第九話
短くてゴメンね~(^▽^;)
俺は夢を見た
目の前は真っ赤な炎に包まれ、多くの人々が獣たちが悲鳴をあげている
オレはそれを呆然と眺めていた
そしてオレは足を誰かに掴まれたのに気付いて下を向いた
そこには・・・・・・・・・
血でどす黒く染まった歳若い男・・・・・・・・前世の俺が足を掴んで怨嗟の視線をオレに向けていた
オレはそこで目覚めた
今しがた見た夢のせいで心臓がバクバクと音をたてているのが手を当てなくてもわかるくらいに動悸が激しかった
今見た夢はなんなんだ?
そこでオレは目の前の光景を見て、自分が何をしたかを思い出す
オレは森を焼き払ったんだ
そこにいたであろう動植物、そこで棲んでいただろう魔物たちを・・・・・・・
有無を言わさず、だだの興味本位という自分勝手な理由で殺されたのだ
オレのことが大層憎いだろう・・・・・・
そうやってオレが思考の海に沈んでいたのを肩を叩いて引き上げてくれるやつがいた
リクだ
よく見てみるとさっきまでリクの方が背が高かったのに今は同じくらいになってる
そうか・・・・・・オレはまた進化したのか・・・・・・・
オレは進化したのに全く喜べなかった
それはやっぱりあの虐殺としか呼べない方法で進化したのが問題だ
オークとの戦いでの進化は一対一の真剣勝負じゃないが、それでも両者の生死を賭けた戦いであることには違いなかった
だが今回はどうだ?
これが真剣勝負か?生死を賭けた戦いか?
違う!!こんなの違う!!
オレは生き残るために戦っているけど、無意味な・・・・・無抵抗な奴を虐殺してまで生き残って行きたいとは思ってない!!
こんな力なんていらない!!
オレはもう人間じゃない・・・・・生きていくために生き物を狩ろう
襲ってくる奴には生き残るために戦おう・・・・・
けど魔物という存在でもそれは生き物だ・・・・・・
だからオレは襲ってこない奴とか無害な奴は狩り以外は無視してきた・・・・・
だからオレは無抵抗な奴らを虐殺するような性根の腐った奴にだけはなりたくはない!!
それがオレの中に残った人間としての数少ないプライドだ!!
けどオレはやってしまった・・・・・・・
虐殺を・・・・・・人の道を踏み外してしまった・・・・・・
これじゃあ、オレは心までもモンスターに成っちまったのか?
森を焼き払ったという事実がオレに深くのしかかる
オレは自分が怖い
このまま進化していったらオレという意識が失われていくんじゃないか?
オレはただのモンスターになってしまうんじゃないか?
力は時に精神をおかしくしていく
オレもその例に漏れず、精神がおかしくなってしまうのか?
オレが俯いているとリクが話しかけてきた
「ソラガ ナニヲ カンガエテ マヨッテイルノカハ オレニハ ワカラナイ
・・・・・・・・・ケド スギタコトヲ イツマデモ キニスルナ」
その一言で少しだけ胸のつっかえが軽くなった
そして頬を涙が伝っていった
おかしいな・・・・・・オレってこんな単純な奴だったっけな・・・・・・・
オレってこんな涙もろかったっけ・・・・・・・
そしたら何か笑いがこみ上げてきた
コイツ自分でわからないと言っておきながら、オレが何に対して考えているのかおおよその見当をつけてるじゃねぇかよ
そしてオレはリクが近くに居てくれたことに感謝した
普通なら進化したら他の種族になったオレをほっといて、どっかに行っちまうのが普通だろう
けどオレを心配して残ってくれた
そのことが素直にオレは嬉しかった
オレはリクに掠れそうな声で一言「アリガトウ」とお礼を言った