Rainy boy→Sunny boy
第2作目です。
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雨なんて大嫌いだ。僕は世間一般で言う、雨男と言うやつだ。だが僕はサッカー部の部長だ。だから、外で練習できないと仕事にならない。雨が降るたびに、僕のせいにされる。
「部長―。また、雨っすよ、今日は何するんすか?」
雨が降るとボールを蹴ることはできない。室内での筋トレか、階段ダッシュが相場である。
「じゃー、今日は階段ダッシュだ。体力を今のうちにしっかりつけておこう」
「へーい」
部員からやる気のない返事が返ってくる。それはそうである。階段ダッシュや筋トレなんてどこの部活だってやることだ。サッカー部ならばボールを蹴りたいのは当たり前である。僕だって同じだ。でも、これだけはどうすることも出来ないのだ。
「しょうがないだろ、これだけは僕にだってどうすることもできないんだから」
部室は静まりかえった。
「部長が雨男じゃなかったらよかったのに」
部員の誰かがそう呟いて、部室から出て行った。
僕が雨男じゃなかったら、僕はどう見られていたのだろうか。きっと目立たない存在だったのだろう。僕はキャプテンの真琴のように秀でた才能はない、言えば「こんちくしょーの気持ち」で這い上がってきたようなものだ。真琴は一年の頃からレギュラーで僕は今年初めてレギュラーに選ばれた。それがいい証拠だ。
そう考えたら僕は雨男でもよかったのかもしれない。僕は雨男だから、今レギュラーの座にいるのかもしれない。試合が中止になったから、勝ったり、優勝した試合や、大会があったかもしれない。僕は、僕で、雨男でいいのかもしれない。
古ぼけた部室の時計に目を向けると、五分を過ぎていた。僕は早く練習場所に向かわなければと思い、部室を出た。外の雨は止んで、虹が懸かっていた。僕は足が軽くなったような気がして、走り出した。
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九条 瑠実