第3章
「ちょっと、ケチャップ取ってよ。」
「やだ。」
「はい、睦月ちゃん。」
「ありがと。」
もぐもぐ。
「・・・。」
「今日のも、美味しいね。」
「ん。そう言ってくれると、うれしい。」
もぐもぐ。
「ちょっと、マヨネーズ取ってよ。」
「やだ。」
「はい、睦月ちゃん。」
「ありがと。」
もぐもぐ。
「…なんなんですか!?この空気!!一応これでも私は魔女で、貴方は魔王でしょう!!」
「だからなによ。」
「こう…もっと緊張感っていうか…」
「ご飯美味しくなかったかな?」
「いえ、すごく美味しいです…。」
魔女は、睦月ちゃんと話すのは諦めて、浩二に話の矛先を変える。
「貴方は、人間ですよね…?」
「一応、人間だねぇ。」
「一応、ですか…。」
「どうして、貴方がこの二人と一緒に居るんです?」
あれだけの呪いを平然と発動する人と、身体をエクス・クラインで裂いても再生する魔王。
「もしかして、貴方も、魔王ですか?」
ご飯を与えてくれたとはいえ、あんな呪いを出会い頭にぶつけてくる女性に怯えながら、問う。
正直な話、魔女じゃなかったら死んでたと思う。それぐらいの呪いだった。
「ん。ちがう。」
魔王じゃないのにあれだけの魔力を有するということなのか。
むしろ、この顔と肉体の造形は、人間を超えてるとしか・・・。
「ん。詮索したら、殺す?」
桃花は、じろじろ見てくる魔女の対応を、浩二に確認する。
「どうしよっかぁ?」
「ちょ、ちょっと詮索しませんから、物騒な事で悩まないでください!!」
魔女があわてて訂正を求める。
「だって。仲良くしよっか。」
「ん、分かった。」
「そろそろ、本題に入りなさいよ」
睦月ちゃんが話に混ざる。ご飯を食べ終わったようだ。
「あ、はい。」
魔女も気を取り直す。
「一緒に魔王を倒そうってのは気乗りしないんだけどね。あたしは。」
「いいじゃんー。折角面倒ごとしてくれるっていうんだからー。」
「まぁ、せいぜい雑魚処理でもしてなさいよ。」
「うんうん。ところで、魔女さんのお名前はなんて言うの?」
「・・・水無月です。水無月しづる。」
「しづるちゃんは、戦ったこと少ないでしょ。」
「!!そ、そんなことは・・・!」
しづるは、驚きを隠しきれない。
「いや、一応、今は同じ魔王を倒す訳だし、仲間だと思ってくれていいよ。昨日のあれだけの聖力を持ってて、睦月ちゃんのとっさの足枷に反応しきれないなんてそれぐらいしか思いつかないもん。」
「そ、それは・・・。いえ、確かに私は、魔女として一人前になってまだ経験は浅いです。魔物は倒したことは何度かありますが、魔王は今回が始めてとなります・・・。」
しづるが、申し訳なさそうに話す。
「いやいや、大丈夫。桃花ちゃんと睦月ちゃんがいれば、終わるから、今後の経験にでも生かしてよ。」
魔王を倒すと言うのに、魔王の仲間がそのやり方を勉強していいよという。おかしくて少し、笑ってしまう。
「浩二さんって、変わってますね。」
「そう?」
「ん、これ以上、仲良くなるようなら殺す?」
「殺してもいいわよ、私は、何時でも。」
物騒なことを話す二人に私はつっこんでしまう。
「あの、私たち、その、一応、仲間・・・に、なるんですよね?」
しづるは、この新しい仲間(?)に心配を隠しきれなかった。
WFです。おはようございます。
ようやく魔女の名前が出てきました。某ネトゲで作った名前そのままだということに後で気づきました(笑