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初めまして。

「ここだ…。どうなってもしらないからな。」


日が暮れた頃、癒菜たち三人は黒人の警備員に案内され、ソメリカ行き輸送船の荷物置き場へ辿り着いた。 そこには、コンテナに積み込まれる直前の大量の木箱が並んでいた。


「お前らのせいで、俺はこれから上司に説教されるんだぞ。急に連絡が取れなくなって現場は大混乱、作業は一時中断。警備は厳戒態勢だ。まったく、なんて日だ。」


警備員が姿を消したことで現場は大騒ぎになり、数十人の警備員が捜索に動員されたのだ。


「お前ら、この恩は決して忘れるな。」


「恩に着るよ。すまなかったな。」


「ありがとね!おじさん!」


3人はお礼を言い、黒人の警備員と別れると各々が自分達に合った木箱を探しはじめた。

木箱は様々な大きさの物があり、全てに食料品や電子部品などがぎっしりと詰まっていた。癒菜と紫は2人ではいれるくらいの大きさの木箱を見つけると、中に入っていた物を建物の影に隠して一緒に入り、石作も別で一人分の大きさの木箱に入る事となった。

それから、数時間が経過し3人は無事に朝を迎える。



ガチャ、ガチャッ



「おーい、ここの荷物はオクトーマだろ?ウェンデン行きの荷物も混じってるぞ。誰がやったんだ?」


「「「!!!」」」


3人が目覚めると、外から声が聞こえる。

どうやら荷物の運搬が始まったようで、各州に送られる荷物を整理しているようだった。

息を潜めていると、しばらくして、3人が潜んだ荷物も運び出されて、輸送船は早々に広大な海へと出港を始めた。


「すごい!本当に成功した…!けど…」


癒菜と紫は無事に作戦が進んでいる事に喜んでいたが、しばらくして顔面蒼白となる。

2人は今回お互いに初めて船に乗船していた。

しかも、しっかりとした席ではなく、からだの自由が効きにくい狭い木箱の中でだ。

乗り心地は最悪、大きな揺れに酔い、吐き気を必死にこらえる羽目になっていた。


((き、きもぢわるいッ…うぇ…))


2人はしばらくの間、うつむいて口を押さえながら嘔吐した。


さらに、4時間が過ぎた頃に2人はあることに気付く。

ソメリカ行きへの船に乗ってから4時間もの時間が経っているのにも関わらず、未だにソメリカにたどり着きそうに無いことに。


「ねね、ママ。私喉乾いたし、お腹空いたんだけど、ソメリカまでどれくらいかかるのかな…?それに、お手洗いも…」


紫は冷や汗をかきながら癒菜に訪ねる。

癒菜もソメリカへの道のりまでは考えていなかった。

ネンネとノノカがこの方法で向かったとは知っていたが、その日数までは頭に入っていなかったからだ。


【分からない…。私もおんなじ気持ちだよ。そこまで考えてなかった。ごめんね、どうしよう…。】


焦りが募る。このままではソメリカまで持ちこたえられない事は間違いなかったからだ。

さらに石作の木箱もどこか別の配置に運ばれたようで、どの木箱が石作なのかも分からなくなってしまっていた。

この状況は2人だけ打開する他無い。

困難な状況になればなるほど、その行動をしたいという欲望は更に強みを増す。

2人に時間はなかった。


(やるしかない…。これ以上ここで我慢するなんて出来ない。それは恐らくママも同じはず。)


紫は決意し、癒菜と2人でこの状況を打開するため、木箱の外に出ることを決めた。

2人は話し合うと、物音を立てないようにそっと木箱の外に出る。

幸い人影はまばらで、積み上げられた木箱が良い遮蔽物となった。


(トイレと食料はどこだろう…ついでに石作さんも見つけられれば良いんだけど…)


2人はそのまま船員の目を盗みながら、進み続ける。


―――


一方のその頃―――。


とある現実とは異なる特殊な空間にて、ノノカの名を呼ぶ声が響いていた。


【ノノカ…ノノカ…】


「………」


特殊な空間の中心には大きく成長したノノカが仰向けに倒れており、意識はないようだった。

どれだけ声が鳴り響いても起き上がらないノノカに向けて放たれる声は最初、か細い声だったが次第に大きくなっていく。


【ノノカ…竹取ノノカ…!起きて!!】


「………ッ」


ノノカはゆっくりと目を開く。


「ここ…は…?さち?ママ…?どこ??」


目を覚ましたノノカは、自分の状況やこの謎の空間に戸惑い、辺りをキョロキョロと見回した。

そこは、とても美しく、自然や透き通った水が流れているような空間であったが、人の気配がまるでない。

その世界にただ一人だけしかいないような気すらしてきていた。

ノノカは怯えながら恐る恐る立ち上がろうとすると、突然目の前に光の塊が現れる。

どこか懐かしいような、温もりを感じるその光に思わず手を伸ばそうとすると、光は突然に弾け、弾けた光の粒子は人の形を成していく。


「……!?」


【…ようやく会えて、嬉しいです。竹取ノノカ…。】


人の姿をした光の塊は、やがて輝く桃色の髪の毛をした美しい女性へと変わっていった。

女性は完全に顕現すると、閉じていた瞼をゆっくりと開け、美しく透き通った青色の眼で目の前にいるノノカを見つめる。


「だ、だれ!?あ、あなたは…?」


【怖がらないで、私はノノカ・リリアル・ファレ・クロノア。もう一人のあなたです】


ノノカは目の前に現れた自分に瓜二つの存在の呼び掛けに言葉を失ってしまった。


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