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警備と説得(?)

ここは、和光国が諸外国と物資の輸出入を行っている大きな港だ。

日々、多くの外国人スタッフや和光国の職員が国のために働いている。

だが今日、そこで働く目的ではない三人の若者が、職場の倉庫へ不法侵入していた。

しかも、現場警備を担当していた黒人スタッフを拘束し、尋問しようとしているのだ。


(えっと……誰!!!)


紫と石作がソメリカ行きの荷物倉庫を探しに走って行ったかと思うと、急に戻ってきて癒菜をとある倉庫へ連れてきた。

癒菜は最初、ここがソメリカ行きの倉庫なのだと思ったが──どうやら違う。

不思議に思いながら倉庫の片隅を見ると、知らない黒人スタッフが縄で縛られて倒れていた。


(もしかして…ここの警備の人なのかな…?きっと2人だよね、これやったの…。)


そんな癒菜の困惑をよそに、拘束されていた警備員が目を覚まし、3人に罵声を浴びせる。


「なんだ…?!おい!!お前ら、なんだこれは?イカれてんのか?この○○○の○○○○野郎が!」


突然怒鳴り散らされた石作が、売り言葉に買い言葉で怒鳴り返す。


「てめぇ、誰に言ってんだ?もし紫様に向かって言っているのなら、潰すぞ。○○○やろうが。」


(ちょっ…ちょっと!石作くん!!)


倉庫内で喧嘩が始まりそうになり、癒菜は青ざめる。

ここで騒げば絶対に誰かに気付かれる──発見されたら終わりだ。

すると、2人の間に紫が割って入り、両腕を広げた。


「はい、2人ともストップストップー!こんなとこで喧嘩はダメ!」


「黙れ!なんだお前!!誰が強盗共の言うことなど聞くものか!」


黒人警備は縄をほどこうともがき、周囲の物に引っかかってガタガタと大きな音を立てる。

あまりにも暴れるので、紫は冗談めかして奪ったテーザー銃を向けた。


「うんうん、ちょっと静かにしてくれないかな?さもないと撃っちゃうぞ♡うちらは、ちょっと協力してほしいだけだからさ♪」


「ハッ…。協力?撃てるものなら撃ってみろ?おお?ほら、撃て?お前に出きるわけないだろ?」


癒菜はメモを掲げて必死に訴える。


【お願いです、話を聞いてください。私たち、別に危害を加えるつもりなんてないんです。】


「もうすでに加えられてんだよ。頭沸いてるのか?それに話さずにメモ帳で書いて見せるって、アニメのキャラのモノマネでもしてるのか?笑」


「………」


全く協力する気がない黒人警備は、話を聞こうともせず紫達を煽って煽りまくる。

完全に舐めきった態度。

目の前の女子学生に撃てるわけがない──そう確信しているのが見てとれた。


「あぁぁぁ!!!くううう!ムカつくぅー!」


煽られ続けた紫は足踏みしながら怒りを爆発させる。

一方、背後では石作が目を光らせ、松葉杖をバットのように構えはじめていた。


(あ、あれ!?い、石作君が!まずいわ!!)


石作はそのままゆっくりと紫の後ろから黒人警備に近づいていこうとする。

このままでは、怒りに任せて黒人警備を話せないくらいボコボコにしてしまうと察した癒菜が慌てふためく。


だが、次の瞬間──


石作はその場で足がもつれてしまい、勢いよく前につんのめった。


「うおっ──!」


「えっ!?」


そのまま紫に突進する形でつこけてしまった。

紫は後ろから突然に石作から突進された形となり、謝ってテーザー銃の引き金を引いてしまう。


「「……あ」」


バチバチバチバチ!!!


「…なっ!?…うぁがああああああッッッ!!!」


テーザー銃の誤射は見事に黒人警備に命中。

全身が電流で震え、黒人警備は叫び声を上げる。

紫は慌てて銃を引き抜き、電流を止めた。


「ご、ごめん。」


「はぁ…はぁ…う…撃ったなっ!?…本当に撃ちやがったな!!」


黒人警備に怒りはある。しかし先ほどまでの余裕は完全に消え、明らかに恐怖が混ざっていた。


「あの…本当に撃つつもりはなくって…!その…」


紫は申し訳なさそうにする。紫の手元にあるテーザー銃には残り2発の弾丸が装填されているため、銃口が黒人警備の方に向く度に、「ヒィィ…!!」と怯えていた。

そして、それを見た石作はゆっくりと笑いながらテーザー銃を借りる。


「あんた、これがさっき撃たれた事で、相当コイツが怖くなったみたいだな?ほれ?」


「ひゃ…ひゃめろおお!!ヒィィ!!」


全身に汗をかきながら震えだす黒人警備に手応えを感じた石作はどんどんと行動をエスカレートさせ、銃口を何度も何度も黒人警備に向ける。


((お、鬼だ…))


そのやり取りは一時間ほど続き──

ついに黒人警備は力尽きたように叫んだ。


「わ、わかった!わかったから!!協力するから、もうやめてくれ!!」


「おっ。…ったく…遅いんだよ。紫様、やっとコイツ協力するみたいですよー!やりましたね!」


汗まみれの黒人警備の隣で、テーザー銃を持ちながら笑う石作。

それを見た紫と癒菜は、心底こう思ったのであった。


(この人……怖っ。)

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