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一発お見舞い

ノノカを救うと誓った石作・紫・癒菜の三人は、幸の家に置いてあった大きなリュックサックを背負い、それぞれ目的の場所へと向かっていた。


「はぁ…はぁ…くそー、松葉杖使いながら歩いていくのクソだるいな…。紫様、私も後からついていくので先に向かっててください。」


石作の後ろを同じ速度で歩いていた紫は、首を横に振る。


「いいよ。ゆっくりでいいから。」


紫は石作を気遣っていたが、実際には体調を崩した癒菜を支えながら歩いていたため、もともと早く進めなかった。


(なんて優しい人なんだ…!!流石はノノカ様の妹様。)


石作は勝手に感動していたが、紫は癒菜の様子に気を取られていた。


「ママ、大丈夫…?さっきよりも顔色が悪い。少し休もう?」


癒菜は首を全力で横に振り、メモを掲げる。


【大丈夫!今も怖い思いしてるノノちゃんを早く助けたい!】


癒菜は正直立ってるのもやっとの状態だったが、ノノカへの想いが身体を突き動かしていた。


「そういえば夢坂、倉持には連絡ついた?」

石作が前を見たまま問う。

「アイツが協力してくれたらソメリカなんて余裕で行けるのに。」


三人はソメリカへ渡るため、かつて関わりのあった倉持神子に連絡していた。

ソメリカ在住で政府関係者とも繋がりがある倉持なら、強力な協力者となるはずだ。しかし──


【ダメだって。危険すぎるからソメリカには来るなって…。結構強めに返されたよ…。】


メモを見た石作は「やっぱりかぁ~」と少し残念がる。しかし、こうなることを予測していたようで、特に気にする様子は見られなかった。


そうこうしているうちに、三人は作戦の第一段階を実行するための場所に到着した。

海風が強く、カモメの声が響く港。

背丈ほどのコンテナがずらりと並び、煉瓦造りの大きな倉庫が建ち並んでいる。

諸外国からの輸入や輸出をしている港のようだった。


(ここが…お姉ちゃんとネンネが間違ってソメリカに渡っちゃった港…。本当にあったんだ…。でも──)


そこは、かつてノノカとネンネが木箱に入ったまま間違ってソメリカにまで渡航してしまうこととなってしまった港だ。

以前、ネンネとノノカから当時の冒険談を聞いていた紫は、この場所からであれば同じようにソメリカに向かえるはずだと考えた。

そして、それが今回の作戦の第一段階目として選ばれるのだが、ここで問題が発生する。


紫は周囲を見回し、眉を寄せる。


(広すぎる…。どこの倉庫の荷物がソメリカ行きなのかわかんない…!)


紫と癒菜は簡単に考えていた自分たちを悔やむ。

ここから必ずソメリカに運ばれる荷物の中に紛れ込まなければならないのだが、それがどこにあるのか分からないのだ。

すると、紫は癒菜を倉庫の陰に座らせ、突然駆け出す。


「2人はここでまってて!私が探してくるから!」


「──!?」


制止する暇もなく、紫は遠くへ走っていってしまう。

立ち並ぶ倉庫達をキョロキョロと見ながら走っていると、倉庫の脇道から黒人の警備員が紫を見つけ、咄嗟に紫の腕をつかんだ。


「いたっ!?うわ!だれ!!」


「Hey! stop! おまえが誰?ここがどこかわかってる?子供が入っていい場所じゃないよ。」


突然現れた黒人の警備に驚いた紫は、手を振りほどこうとするが力が違いすぎた。

結局振りほどけず、紫が暴れたと見なした黒人警備は紫の腕を背中に回し、身動きが取れないようにした。


「イタタタタッ!!ちょっと離してよ!」


「Stop!お前まさか強盗か?!抵抗をやめなければ、テーザー銃で撃つぞ!」


足をバタつかせて暴れる紫の背中にテーザー銃を突きつける。

なにか危険なものを背中に突きつけられたと気づいた紫は大人しくなるが、その瞬間、黒人警備の後ろからものすごい勢いで松葉杖が振り下ろされた。


「ヘイイイッ!!!ユーアークレイジィィー!!?」


「ー!?」


ガチーンッッ!!!


紫の窮地を救ったのは、石作だった。

紫が1人で走っていった際、後ろから松葉杖を使いながら必死で追いかけていっていた。しばらく走った後、捕まってしまった紫を見つけると、自分の足の痛みを忘れ、無我夢中で黒人警備に渾身の一撃を叩き込んでいたのだ。


「ぜぇ…ぜぇ…紫様…ご無事で?」


白目を剥いて倒れた黒人警備を無視して、紫の両手を握ると石作は紫の全身を怪我がないかくまなく観察する。


「う…うん。ありがと。ごめんね、1人で突っ走っちゃって…ていうか、そんなに見られると恥ずかしいんだけど…。」


ずっと自分の身体を見つめられ続けた紫は、頬を赤らめ戸惑っていた。

それに気づいた石作は咄嗟に後ろに下がると、「し、失礼しました!」と叫んだ。

そして、冷静になった2人は取りあえずこのまま倒れた黒人警備をここに置いていくのは不味いと考え、2人で協力して近くの誰もいない倉庫の中に運び込んだ。


「これ、どうしよう?」


紫は石作に問いかけると、石作はなにかをひらめいたようにニヤつきはじめる。


「俺にいい考えがあります。……こうなった以上、逆に好都合かもしれません。とりあえず夢坂も連れてきましょう。」


そう言い、10分後、2人は癒菜も同じ倉庫へ連れてくるのであった。


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