シュタール族の予言
ノノカの部屋への訪問を終えるマック・カーター長官は、その場を後にする。
ペイラはそのまま長官を見送る為に一緒に部屋を出ることにした。
「今日は隣の部屋には行かないの?久しぶりに挨拶でもしたらいいんじゃなーい?」
ペイラにノノカの隣の部屋に行くことを勧められる。
ノノカの隣の部屋には、これまで地球に不時着したり、降り立ったりした地球外生命体達が収容されていた。
クロノア人以外の文明に興味のない長官は、他の地球外生命体を捕まえた時、ペイラの実験体として、その身柄を提供していたのだ。
その数は年々増加し、今では同じ収容場所に30種程の地球外生命体達が閉じ込められている。
「私は、あの気色の悪い生物達に興味がなくてな。別に見なくてもいい。」
「そんなこと言わずにさあー!うちの子たち、可愛いんだから!ほらほら、こっちこっち!!」
言われるがまま、服を引っ張られて無理やり隣の収容所に入る長官。
その部屋もノノカと同様の作りになっていたが、より大きく作られており、全体がよく目をこらさないと見えないくらい暗い部屋だ。
部屋に入るとガラスの手前に居た多くの地球外生命体達がガラスの奥深くにまで一斉に下がっていく。ただ一体を除いて。
ガラスの1番手前側の端に座る、人間と大差のない大きさの、カエルとナメクジが混ぜられたような地球外生命体は、ガラスの手前に頭を伏せて座っていたが、扉を開けられるとゆっくりと頭を上げて2人を見はじめた。
「Ü$РÜ’??▽Ф……ヒサし…ブリダな…。ニンゲ…オス…。まタ…ツ…みを…をかし…たか?」
その地球外生命体は、最初地球外の理解できない言語を話していたが、徐々にこちらで覚えたのか、地球の言語を話し始めた。
キィー!!……Ё#∞'^'∞¥…$??Р?#??ЁЁ’Ф!!!!
後方に隠れるように姿を見せない別の種の地球外生命体達は、地球の言葉を発さずに、独自の言語で薄らと警戒するような声を出している。
「相変わらず気味が悪いな、お前たちは。声を出すのは、シュタール族のお前だけにしろよ。俺はお前達が好きではないからな。」
ナメクジとカエルの混じったような姿の話す者は、シュタール族という宇宙種族だ。
地球外生命体達の中でも、知性に優れていると見られている。
「みんな悪い子じゃないのにねー?カーターがさ!久しぶりにこっちに来たから、シュタちゃん達に挨拶させたんだあ!」
気色悪がる長官に、ペイラは地球外生命体側を擁護する形で話す。
シュタール族は、少しニヤけると長い舌で口元を舐める。
「な…ぜ…ここキた?…こ…ンど…また…ツれて…キた?われ…ワれの………ナかま…。」
地球外生命体である彼らは、数ヶ月から1年周期でこの地に来た仲間達がどんどんとNASUに捕まり、連れてこられて、ここに閉じ込められる状況を自分達含めて目の当たりにしていた。
大体、長官が来る時にそれらの行動が行われていた為、また仲間が拘束されたのではないかと心配しているのだ。
「そうだな。今回はお前達よりも、更に高度な奴でな。これから研究なり実験なりなんなりしていくつもりだ。最後は拷問と解剖までしてもいいかもしれんな…ハハハ」
∞ÜÜ∞$₩|Ё………。
薄ら笑いを浮かべながら恐ろしいことを呟く長官に、地球外生命体達は恐怖を感じているようだ。
「ツみ…をかすか…。おまえたチ……忌まわ…シ…。」
シュタール族は、しきりに罪というワードを人間である長官やペイラに投げかける。
そのような事をいわれて面白くない長官は、反論した。
「罪か?俺達の何が悪い?この為に、ここまでやって来たんだよ!クロノア人こそ忌まわしき存在!お前らのような醜い存在には、分からないだろうがな!!」
長官が大声でシュタール族に反論した時、
後ろでざわついていた地球外生命体達が突然静かになった事に2人は気づく。
静寂に包まれた空間の中で、シュタール族が突然全身から水を出しながら立ち上がり、ガラスに全身をくっつけた。
「…ヲ…ヲまえ……」
「「?」」
「ヲまえ…!!!なに…イう!!?」
「ん?な、なんだよ急に。だから、俺はクロノア人こそが忌まわしき存在だと言ったぞ。俺達が今回捕まえたのはクロノア人の小娘だからな。」
シュタール族はその名を聞いた途端震え上がり始める。
後ろに隠れていた数体の地球外生命体は、後ろで恐怖に駆られたように叫ぶ者と、突然ガラスの前に姿を表し、ガラスを思い切り叩きながら怒り狂った様子で何かを叫ぶ者とで別れた。
?∞₩Ü?Ü#ФФФω|Мω!!!
₩$$^'▽∞∞’ЁР……!
ωФМ^#エ|Ф##М||$М…!?
「え!え!?なにこれ…?こわっ!みんな!どうしちゃったのー?いつものみんなじゃない!」
「おいおい…。憎悪や恐怖って所か?お前達知ってるのか?クロノア人について。」
あまりにも激しい反応は、もはや存在を認知しているとしか思えなかった。
宇宙内において、とてつもなく有名な種族なのか?長官の興味が惹かれ始める。
「……シ…」
「……し?」
「ヲまえ…たち…。イや…このほし……ワた…したち……ミな…シが…むかエに…くる…。ホし…と…ともに……。アクナエリィ…クる……。」
予言のように言い渡されたその言葉には、人間、地球、全ての終末を予期させる内容だった。




